旅とカメラ。いつだってその相性は抜群です。
ただ、その風景をどう撮っていいかわからないなんてかたもいらっしゃるかもしれません。
一眼レフに慣れてきた初心者の方、さらには一眼レフの購入を考えている人も知っておきたい旅先での絶景写真の撮り方10のコツを、大の絶景マニアで休みのたびに撮影旅行にでかけるsaizouが徹底解説します!
「朝の日の出直後」と「夕方の日没」までのほんの数十分の時間帯のことを「マジックアワー」と呼びます。
直訳すると「魔法の時間」
この時間帯はまさしくその言葉のとおり何を撮っても魔法のようにすべてが美しく撮れちゃいます。素晴らしい絶景に出会えたのならぜひ、その時間帯を狙って写真を撮ってみることをオススメします。
撮りたいものが夕日に照らされるよう場所や構図を工夫することで真っ赤に染まった美しい光景を写すことができます。ホワイトバランス(白が白色に見えるよう調節する機能。光源により赤や青などの色を補正する)を「曇り」や「日陰」にすることでさらにその鮮やかな赤を強調することができるでしょう。
日によってその焼け方はまったく変わってきます。いろんな日に訪れてさまざまな絶景の表情を楽しみましょう。
夕景を撮影した後、日が沈みきったらそそくさと帰り始めるカメラマンたち。いやいやいや。まだまだシャッターチャンスは続きますよー!
日が沈む、もしくは日が昇る、ほんの一瞬、世界は青く鮮やかに染まるのを知っていますか?その時間は「ブルーアワー」と呼ばれています。このブルーアワーの時間も絶景をさらに美しく撮影するチャンスですのでしっかり見逃さないようにしましょう!
ブルーアワーの特徴はその青い光景。ですので、青が強調されるようホワイトバランスを「電球」にしてやると、クールな雰囲気が出ます。また「蛍光灯」などでもおもしろい雰囲気になりますのでいろいろ試してみてましょう。この時間になるとだいぶ暗くなってきます。手ブレしないよう三脚を用意しておくと安心です。
ワンポイントで車のテールランプや船の光跡などいれてもおもしろいですね。
冬になると絶景に雪が降ることもしばしば。冬にしか見ることのできないこのチャンスもしっかりゲットしておきたいものです。
雪はフラッシュを焚くことで止めて写すことができます。
雪を綺麗な丸に写すコツはf値(絞りの開き方を表す数字。小さいければ小さいほど絞りが開きたくさん光をとり込むことができる)を小さめにすること。f値を小さくすることで手前の雪がいい感じにボケて綺麗な丸になってくれます。f2.8〜f4くらいでいろいろと試してみましょう!
内臓のフラッシュで充分撮ることができますが、あまり大きいレンズをつけているとレンズが陰になることがあるので、そういった場合は外付けのストロボを用意しましょう。
また、夜景やライトアップなどは雪をフラッシュで止めるのに相性がいいのでぜひ撮ってみてください。手持ちで撮るときは手ブレに注意して。
キレイなイルミネーションも撮りたい被写体の一つですよね。
イルミネーションのように電球を使った光は「丸ボケ」を狙う絶好のチャンスです。「丸ボケ」とはこの写真のように光が丸くボケている様子。このように光が丸くなることによって幻想的でロマンチックな表現をすることができます。
丸ボケは単焦点レンズ(ズームができないレンズ。そのかわりにズームレンズに比べると明るさや解像度に優れる)のようなf値の小さくできる明るいレンズがあると作りやすいでしょう。f1.4〜f2.8くらいが一番きれいに丸くなります。また、被写体と光源の距離も大事。メインの被写体とイルミネーションとが少し離れた位置になるように工夫します。
この写真では番傘の手前に電球があるのがわかります。電球をレンズぎりぎりに、そしてちょっと離れた場所にメインの番傘を配置することで手前の光源がきれいに丸くボケるのです。
被写体の奥にイルミネーションがあるような時も丸ボケを作るチャンスです。いろんな場所からイルミネーションを狙って見ましょう。ライブビューで見ながら構図を決めるとわかりやすいです。
滝の名所も絶景のひとつです。滝の撮影もいろんな表現ができますが、ぜひスローシャッターで白糸のような滝を撮ってみましょう。
スローシャッターで撮影するので、三脚が必要になります。あまり日が昇ってくると光が強すぎてスローシャッターができなくなるので早朝や曇りの日がいいでしょう。もし明るすぎるならNDフィルターという光量を調整できるフィルターがあるのでそれを使います。
滝の流れの早さにもよりますがシャッタースピードが0.5〜1秒あればキレイな白糸になります。滝も少し青みがかっていたほうがクールなイメージになるので、ホワイトバランス「電球」などで撮ってみましょう。
滝は思いのほか水しぶきが飛んでくるのでレインカバーをつけるなど対策をしておきましょう。また、川の近くですべりやすいので、長靴などがあると安心です。
雲海をはじめて目にした時は心が震えるくらい感動できます。雲海の撮影で一番むずかしいのが「雲海に出会う」こと。ここでは雲海の見やすい場所の探し方書いてみます。
雲海とは霧が溜まって雲に見える現象のことをいいます。ですので、盆地でなおかつ川が近い場所というのが雲海がたまりやすい場所です。
雲海が出るのもいくつか条件があります。よく晴れた翌日、放射冷却で夜から朝にかけて一気に温度が下がること。風が吹いていないこと。湿度が充分に高いこと。撮影の2日前くらいに一雨ふって、撮影の前日から朝にかけて雲ひとつない快晴、そして無風。そんな日を狙ってみましょう。
さまざまな条件が折り重なり、幸運にもそこに立てたあなたは今まで見たことのない世界を写すことができるはずです。
各地にさまざまな絶景がありますが、そこに天の川を見つけることができればさらにその絶景が引き立つことでしょう。
天の川を撮るための条件は肉眼でもハッキリと見れるような場所と時間に行くことです。新月の日は月の光が邪魔しないので天の川を撮るチャンスです。遠くの街の光もカメラには写ってしまうため山奥などの光害の少ない場所のほうがよいでしょう。
天の川を見つけることができればf2.8 シャッタースピード20秒 ISO2400くらいの設定で撮ってみます。天の川はかなり空に大きく広がっているので広角のレンズを使うほうがいいですね。
f値やISO感度(カメラが光を捉える数値。数値が大きいほど弱い光を捉えるがノイズが出てくるので上げすぎに注意)はカメラによってはあまり明るくできない場合があるかもしれません。そんな時はもう少しシャッタースピードを長くします。
ただ、30秒以上のあまり長いシャッタースピードにすると日周運動によって星が動いてしまいます。そんな時はポータブル赤道儀という星を追尾して撮影してくれる道具があるので、それを使うのもいいかもしれません。現像時にコントラストをつけて天の川をあぶり出すようにするのもコツのひとつです。
お目当ての被写体の前に池や川などがあればリフレクションを狙うチャンスです。肉眼で見るより写真のほうが、写りこんだ姿というのははっきりと出ます。見落としてしまわないよう、よくよく観察してみましょう。
風のない日はまるで鏡の中の世界のような不思議な写真を撮ることができるでしょう。
日中のリフレクションも素晴らしい写真が撮れますが、やはりオススメはライトアップなどのイベントの時です。いろんな場所でライトアップイベントが開催されていますので、ぜひ狙ってみてください。
星のような微かな光でさえ、きちんと水面には反射しています。長時間露光(長時間シャッターを開けっ放しにすること)で星の軌跡を狙うのもおもしろい表現ですね。
せっかくの旅行なのにあいにくのお天気、なんて経験ありませんか?
ふてくされて部屋の中に閉じこもっていないでぜひ外に絶景を撮りにいきましょう。晴れの日では見ることのできないしっとりとした写真が撮れるはずです。
雨の日に注意したいのはカメラの防水です。レインカバーや傘などでカメラが濡れないように気をつけましょう。また、光が少ないので手ブレしがちです。しっかり三脚を使いましょう。
曇った空をいれてしまうとコントラストが低くなることがあるのであえて空を入れないのもいいかもしれません。雨が降ると霧がでてくることがよくあります。しっとりとした雰囲気を出すことができますので狙ってみましょう。
決まりきった写真より、こういった悪天候の時こそ最高の1枚を撮るチャンスですよ!
逆光だとどうしても手前の被写体が黒くツブレてしまいます。そんな時はいっそシルエットを狙ってみましょう。
絶景の中に人が入ると邪魔になりがちですが、シルエットにすることで逆にドラマチックな光景を演出することができます。シルエットにするには逆光が必要になります、朝日や夕日の時間が作りやすいでしょう。
また、ライトアップ、水族館、夜景などシルエットを作れるチャンスはたくさんありますので、見つけたら挑戦してみましょう。
シャッターチャンスは一瞬なので難しいですが、シルエットになる人がどんな人で何を考えてるんだろう?と想像できるような写真が撮れるとおもしろいですね。
絶景、なんて大げさな言葉を使うと、どこか遠い国だったりテレビの中の世界だと思ってしまいがちです。けれど、今まで見たことのない、心が震えるくらい感動できる世界があなたの住んでいるほんとすぐそばにあります。
そう、世界は美しいんです。
ちょっと足を運ぶだけで見ることのできる、そのすばらしい世界。
せっかくなら、ちょっと上手にカメラに収めてみましょう。
今回ご紹介した、10個のコツも最初は難しいかもしれませんが、やってみると案外簡単なものです。
いろんな場所へ行きたくさんのシャッターを切ることで、きっとあなたも素晴らしい絶景写真を撮れるはずですよ!
さあ、ステキな旅に出かけましょう!
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