ここ数年日本も含めて世界で人気のAirbnb(エアービーアンドビー)。アメリカでスタートしたこのビジネスは現在世界で約190ケ国に広がっています。そのなかで今回は、旅行会社の社員として実際にヨーロッパ駐在10年の経験を持つ筆者が、プロの目から見たイタリアのAirbnbの使い方、注意点をご案内していきましょう。
ご存知の通りAirbnbは、ホテルに宿泊するのとはひと味違った滞在ができることでも人気。例えば、朝食は市場に出かけて新鮮な野菜やチーズを買い込んで部屋のキッチンで料理したり、近所のバールによってエスプレッソと甘い菓子パンつまんで済ませる。こんな朝のスタートもイタリアらしいスタイルです。日中は美術館で名画や彫刻に触れたり、街中を散歩して疲れたら広場のカフェでのんびりしたり、劇場やコンサートホールでオペラやクラシック音楽を鑑賞したり。街の中のAirbnbに泊まっていれば、まるで昔から住んでいたように過ごすことができます。
さて、うまくイタリアに暮らすように旅するには、借りようとするAirbnbの物件の場所選びが重要です。選ぶ際のポイントは!
□物件の設備の良さ、立地の良さを求めるなら、やはりある程度の出費は覚悟する
□安さを追うばかりに、一般旅行者があまり立ち入らない方が良いエリアの物件を選ばない。
□これまでその部屋を借りた人のレビューをしっかり読む
□各都市の危険エリア情報などインターネットで調べる
□オーナーに事前に質問して物件の周りの状況を聞く
物件選びでは、安全を買うという意識も大事。特にローマやナポリ、ミラノなどの都会では選ぶエリアは慎重に。
またAirbnbで物件を選ぶ際は、その施設の大体の場所がマップに示されます(正確な住所は予約が済んでからになります)ので、そのエリアがどんなところか、最近はグーグルストリートビューなどでも雰囲気がわかると思いますので、確認してください。
物件のある場所が、有名観光ポイントや街の中心のショッピング街付近のエリアなら比較的安心ですし便利です。
また何の目的で旅をするかということで、場所選びも変わってきます。
オペラ、クラシックなど音楽鑑賞がメインなら劇場の近く、買い物中心ならば繁華街の近く、自然を満喫するならば郊外の静かな場所、というように旅の目的で選ぶ場所も変わってきます。現地観光バスツアーに何度も参加するなら、移動時間と費用を減らすために発着集合場所の近くを選ぶ、なんてことも考えられます。現地でのそれぞれの滞在をイメージして便利な場所を選んでみましょう。
この段落はじめの木の扉の写真は、私自身が借りたアパートですが、ヴェローナで毎年開かれる人気の夏の野外オペラを見に行くため、探したアパートでした。
劇場からわずか数分の旧市街のメインショッピング街から少し入った好立地の物件で、オペラが夜中の12時過ぎに終わっても、数分で帰ることができ非常に便利でした。Airbnbは一般住宅の一部を貸し出してくれる仕組みなので、ホテルの立地ではありえないような、街中の便利な場所に位置するものもあります。ご自身の目的にあった場所を予約のマップで探してみてください。
さてここまで物件の場所選びについてみてきましたが、次にヨーロッパの物件の一般的な特徴をみていきましょう。
・建物は日本と違って歴史ある石の作りがほとんどで、夏涼しく、冬寒い。
・重厚ないかめしい扉を開けて中に入る造りが多い。中に入ると何世帯もの個別の部屋に分かれている。
・道路に面した扉の次に、内扉がある作りもある。
・物件の入り口の扉には鍵が二、三箇付いている場合もある。開けにくい時も多々。
・古い建物ですので、エレベーターがなく重いトランクを持って階段を上らなければいけない物件もある。
・クーラーが備え付けられている物件は数少ない。5つ星ホテルでもない場合がある。
・バスタブがあるところは少ない。ほとんどはシャワーのみ。
・日本のように靴を脱いで部屋に入る習慣がないので、部屋用のスリッパは必需品。
など、日本とヨーロッパの文化や気候の違いで建物の構造はだいぶ違ってきます。大抵が同じような作りのホテルと違って、Airbnbの物件はまさにその土地の文化を肌で感じることができます。
■簡単な英語は必要
上記は実際のオーナーとのやりとりのメールです。
イタリアで物件を借りる場合、オーナーはほとんどがイタリア人ですので、相手にとっても英語は第二外国語。
予約の際のオーナーとのやりとり、質問、条件確認、現地情報収集、現地へ着いてからの連絡など、基本的な英語はどうしても必要になりますが、ご覧のとおり簡単な中学程度の英語で十分です。
英語もやはり現地に暮らすように旅する、地元の人とコミュニケーションをとるための楽しみの一つと考えてみてください。更に簡単なイタリア語も覚えていくと、ぐっと人との距離が近づきます。
■現地で使える携帯電話も必要
現地での物件のトラブルや不明点、緊急事故や病気などの場合もとりあえず連絡を取るのはオーナーになります。そんな時のために現地で使える携帯、海外用SIMなどを準備していくことは必要です。オーナーの連絡先は予約が完了してから教えてもらえます。
ホテルに滞在であれば何か困ったことや緊急の場合、フロントに駆け込んで、身振り手振りでなんとか伝えられますが、Airbnbの場合オーナーにとりあえず連絡を取ることになりますので、携帯と簡単な英会話力は必要です。
Airbnbで借りられる部屋のタイプは以下の通りです。
■まるまる貸切
このタイプは、アパートの部屋又は一棟まるまるを貸してくれて、オーナーは全く別の場所か、同じマンションでも違う階に住んでいたりと、基本的には直接会うことはあまりありません。完全に自分達だけでその部屋のオーナー気分です。
■個室
個室は、オーナーが住んでいる一部の部屋を貸してくれる場合で、基本的にはオーナーと一緒ですが、自分の部屋はプライバシーが保たれます。その他の部分(キッチンやリビングなど)は基本オーナーと共有で、直接話す機会も多く色々な相談にも乗ってもらうこともできます。その土地に住む人との触れ合いを求めるならこのタイプが良いでしょう。
■ルームシェア
ルームシェアは他の人と寝室もその他の部分も全て共同利用になります。現地で友達を作りたい、宿泊費を安く抑えたい方には良いでしょう。
チェックイン=鍵の受け渡し方法もいろいろなパターンがあります。
アパートまるまる貸切の場合一般的にはどこか(オーナー指定の場所)でピックアップして部屋に入ります。例えば郵便ポストの中とか。
私が借りた際には、わざわざ到着日の朝オーナーがアパートの前まで鍵を持ってきてくれました。
個室の場合はオーナーがその物件に住んでいますので、基本的にはその物件に着けば出迎えてくれます。ただしチェックインの時間に留守であったりする場合は、貸切の場合と同じようにどこか置き場所を指定してくれます。
個室を借りた際、こんな受け渡しの例もありました。
オーナーに空港出迎えの車の予約をお願いしたら、友達のタクシードライバーが出迎えに来てくれて、彼がその物件の鍵を預かっていて渡してくれました。
いずれにしても、このチェックイン時の鍵の受け渡し方法や時間などは、事前にオーナーとのメールで決めておきます。
上述のメールが実際にオーナーと交わしたものですが、鍵の受け渡しの方法、時間などの他に、チェックイン時間よりも早く着いた時の荷物の保管方法などもこのメールの中でオーナーが親切に答えてくれています。
ただ受け渡しの時間や方法などを事前に打ち合わせていても、双方の事情で間に合わないなどトラブルがあったこともありますので、前述した携帯と簡単な英語の理解力は必要になります。
海外に暮らすということは、日本のように安全で、どこも綺麗で、サービスがスムーズで、言葉が通じるとは全く違うという意識を持ってください。
逆に言うと、その不便さや安全に注意を払うこと、地元の人とのコミュニケーションを図ることなどが、Airbnbを使って海外で暮らすように旅をするということなのです。日本では経験できない、その土地の普段の表情なのです。
借りる物件は一般的なアパートや住宅がほとんででしょうが、イタリアの貴族の館やワイナリーの農家、お城など、一般のホテルでは経験できない物件もAirbnbにはあります。一度Airbnbを経験して楽しさがわかった方は、次回の滞在でそんな変わった物件を選んでみるのもおすすめ。また違った体験ができることでしょう。
Airbnbを利用して是非その土地の人々の暮らしや習慣を直接肌で感じて楽しんでください。
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