南禅寺から水路閣・インクラインへ〜歴史の変遷たどる京の旅

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南禅寺から水路閣・インクラインへ〜歴史の変遷たどる京の旅

南禅寺から水路閣・インクラインへ〜歴史の変遷たどる京の旅

更新日:2017/03/13 11:37

澤 慎一のプロフィール写真 澤 慎一 放送局ディレクター

京都らしい重厚な寺院だけでなく、古代ローマの水道橋を思わせるようなアーチ橋「水路閣」も見られる観光スポットが、京都・東山にある「南禅寺」。桜や紅葉の名所で知られ、名物の湯豆腐のほか、サスペンスドラマのロケ地としても有名です。琵琶湖の水を京都に流すための水路(琵琶湖疎水)が流れる南禅寺は、インクラインと呼ばれる急傾斜鉄道の跡地も見られる不思議なスポット。歴史の変遷をたどる京の旅へと出かけませんか?

桜や紅葉の名所!臨済宗南禅寺派の大本山・京都「南禅寺」

写真:澤 慎一

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桜や紅葉の名所でも知られる京都・東山にある南禅寺。臨済宗南禅寺派の大本山です。黒っぽく変色した太い円柱の柱に支えられた三門(写真)は、荘厳な重みが感じられ、歌舞伎「金門五山桐」(きんもん ごさんの きり)で石川五右衛門の名セリフ「絶景かな、絶景かな」でも知られています。

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三門(山門)というのは、仏道修行で悟りを得るために通過しなければならない三つの関門を表したもの。「空」「無相」「無作」の三境地を経て仏の国に至る門とされ、寺院を代表する正門です。南禅寺の三門は急な階段を登って上まであがることができるので、ぜひ「絶景かな」を確かめて下さい。

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南禅寺は兵火で焼失したため、創建当時の建物はなく、現在の寺院は桃山時代に再建されました。三門も再建されたものです。この三門は必見ですが、南禅寺には江戸初期の代表的な枯山水庭園である「方丈庭園」といった見どころもあり、さらに座禅を体験することもできます。

古代ローマの水道橋!サスペンスドラマの聖地「南禅寺水路閣」

写真:澤 慎一

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南禅寺のもう一つの見どころは、写真の「水路閣」。木立ちの中に突然現れたような廃墟。古代ローマの水道橋を思わせるようなアーチ橋は、サスペンスドラマのロケ地として有名な観光スポットです。

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重厚なレンガ造りのアーチ橋は、琵琶湖の湖水を京都市内に引く「琵琶湖疏水」を通すため、明治23年(1890年)に建てられた橋で、正式名称は「南禅寺水路閣」(全長93.2メートル、高さ14メートル)。

「南禅寺水路閣」の右わきに階段があり、上まで登ると水路閣を流れる疏水の流れを見ることができます。これが「琵琶湖疎水」。運河や用水路の役割を果たしていま。もともとは山中に水路を通す計画だったのですが、計画していたトンネルに天皇家の分骨があることがわかり、計画変更となったのが現在のコースです。

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この写真は、水路閣の橋の部分を真横から眺めたものです。橋脚が形づくるアーチの連続がずっと奥の方にまで続いていて、ちょっと不思議でおもしろい風景。「南禅寺水路閣」は完成当初は、古都の景観を破壊すると反対の声がありました。しかし、レトロな西洋風のアーチ橋は昨今、サスペンスドラマなどにも登場し、すっかり京都の景観に馴染んでいます。

「南禅寺水路閣」から蹴上へ。京都の歴史の変遷をたどる小さな旅

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「南禅寺水路閣」から、東山の山麓にある蹴上(けあげ)と呼ばれる場所まで、琵琶湖疎水沿いに散策を楽しむことができます。桜や紅葉のシーズン以外では、訪れる人も少なく、古都らしい静かな散歩が楽しめます。

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疎水の小さな流れに沿って歩くと、やがて視界が広がります。蹴上の地を見降ろす広場。そこには図面を手にした若き技術者の銅像が建っています。凛々しい表情で京都の街を見下ろす彼こそが、不屈の精神で琵琶湖疏水を開通させた田辺朔郎(たなべ・さくたろう)。

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田辺朔郎は、21歳という若さでありながら、南禅寺水路閣の設計・デザインを手がけ、琵琶湖疎水を利用し、水力発電所を蹴上に建てました。この水力発電によって、蒸気の力ではなく、日本で最初の電車が走ったのが京都。これをきっかけに、京都は急速な近代な都市へと変わっていきます。

京都の片隅にたたずむインクライン跡地

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実は、琵琶湖の水を20キロも離れた京都にまで山々を貫いて運ぶという水路の建設計画は、豊臣秀吉の時代にも考えられていたのですが、あまりにもの難工事のために断念されています。

この世紀の大事業の責任者として白羽の矢が立てられたのが、当時の工部大学校(現・東京大学工学部)を卒業したばかりの田辺朔郎。今、目の前に見える「南禅寺水路閣」に、不可能を可能にした、彼の若い情熱と才能を感じることができます。

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琵琶湖疎水は、京都市民の飲料水だけでななく、物流の役割も果たしていました。輸送を人馬に頼っていた明治時代。琵琶湖疏水が完成し、船によって物資の輸送ができるようになったのです。

しかし、琵琶湖から延びてきた水路は京都市内に入ると蹴上で落差が激しくなり、船は転覆してしまいます。そこで、考え出されたのが「インクライン」と呼ばれる傾斜鉄道。写真が蹴上にあるインクライン(跡地)ですが、水路とは別にゆるやかな傾斜地を地面に作り、荷を積んだ船を台車に乗せて運ぶシステムです。

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こちらは、さきほどのインクラインの台車を近くで見た写真です。船が台車に乗せられて運ばれていく様子が復元されています。

京都の桜の穴場!インクライン跡地の桜並木

写真:澤 慎一

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こちらは、蹴上から南禅寺(手前)と向かって伸びていくインクライン跡です。

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写真は、さきほど同じインクライン跡を撮影したものですが、ゆるやかな坂道に沿って桜並木が続き、ここは京都で穴場の桜の名所。当時の面影を残す線路跡地と、船を運搬した台車が保存され、今でも人々の記憶に残り続けています。

おわりに

京都の禅寺でも、最も格式の高い寺院、京都「南禅寺」。近代化への夜明けとなる「南禅寺水路閣」をはじめ、琵琶湖疎水の流れやインクライン跡地も見ることができます。

そこは、桃山時代から明治、近代日本への幕開けへと抜ける不思議なタイムトンネル。京都に観光に来られたら、京の美しい四季を感じながら歴史の変遷をたどる旅はいかがでしょうか?

なお、京都の桜の名所については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/03/30 訪問

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