写真:吉川 なお
地図を見る台北市の隣の新北市にある山あいの小さな街「深坑」。その歴史は、1755年に中国福建省泉州から渡ってきた人々がこの地を開拓したことから始まります。町の中央を流れる景美渓の水便により、茶葉、染料、樟脳などの集散地として栄え、日本統治時代は台北の東南方面の中心として「深坑廰」という役所も置かれてさらに発展し、現在見られる街並みの原型もこの頃築かれました。
ところが、第二次世界大戦が終わるとその景気は激変。道路が整備され、陸運が水運に取って代わると、街も活気を失ってしまいました。
そんな深坑の街に、今から30年くらい前に一大転機が訪れます。鉄分を含まない良好な水質を利用して豆腐を固める「にがり」の製法が開発されて、上質な豆腐を作り上げることができるようになったのです。その品種改良によって深坑産の豆腐はおいしいと評判になり、調理法のバリエーションの多さも加わって、今では「豆腐の街」として名を馳せるようになりました。
写真:吉川 なお
地図を見る深坑老街の目印は、【深坑神木】と名付けられた樹齢百年の2本の大樹。ここから老街がスタートします。2012年に全面リニューアルされた300mほどの道の両側には、自慢の豆腐を売る店が軒を連ねています。さぞかし匂いがすごいのかと思いきや、むせ返る感じはなく、初めは感じたその匂いにも次第に慣れてきます。
豆腐料理には、普通の豆腐を使うものとそれを発酵させた臭豆腐を使うものがあり、調理法もさまざま。
サクサク食感の定番の酥炸臭豆腐、辛味スープで煮た麻辣臭豆腐のほかに、黒豆から作った黒豆腐やとろみスープの豆腐羮、醤油やゴマ油、砂糖でじっくり煮込んだ紅焼豆腐などいろいろな味が勢揃いしています。臭いのも辛いのも苦手という人も、これなら食べられるというものがきっと見つかるはず!
食べ歩きには串刺しの臭豆腐がオススメ。豆腐のカリカリ感と甘辛タレの白菜漬けのバランスが絶妙です。
写真:吉川 なお
地図を見るその名の通り、大樹のそばにある『大樹下豆腐店』はいつも混んでいる人気店。「豆腐三吃」は看板メニューをセットにしたもので、紅焼豆腐、魚の姿焼きの豆腐あんかけソースかけ、豆腐羮の3種類。それぞれ異なった食感と味付けで旨さを堪能できます。
この街の鎮守「集順廟」の脇にある『深坑廟口小吃』も老舗の人気店。1956年創業の深坑豆腐発祥の店で、紅焼豆腐が評判です。
写真:吉川 なお
地図を見るここの名産は豆腐だけではありません。台湾たけのこ「緑竹筍」と「黒豚」、台湾でしか産出されない「文山包種茶」も深坑名物で、「深坑四宝」と呼ばれています。これらをメニューに取り入れている店も多数あるので、あわせて食したいものです。
豆腐料理を満喫したら、次にデザートはいかがでしょう?豆腐アイス、客家風の草餅、ちまきや芋圓など甘味処も満載です。花生糖(ピーナッツ飴)は実演販売もしています。
お土産ゲットで完璧なグルメ旅行の出来上がりです。
ここで、赤レンガの建物が連なる街並みにも目を向けてみましょう。台湾でよく見られるアーケードつきの騎楼形式で、使用されている赤レンガは防火用に用いられている「土角厝」という資材です。
昔の老街は道幅2mにも満たないぬかるんだ道で、道沿いの家々はみんな藁葺きでした。ある時火災が発生し軒並み全焼してしまった教訓から、瓦屋根に土角厝の壁の家屋を建て、水石を敷いて道路を舗装。日本統治時代には「亭仔脚」と呼ばれる住宅と店舗を兼ねた家並みが完成しました。
老街に残る「徳興居」はこの地で財を成した黄家の邸宅跡で、バロック風の装飾とカラフルなタイルが印象的です。
商店を営む家は、狭い空間を有効利用して人字形の木製の屋根を持つ半二階の閣楼を造り、倉庫や居住に使用していました。「硬山擱檁」と呼ばれる遺構で、これも老街で見ることができます。
写真:吉川 なお
地図を見る深坑は豆腐だけの街ではありません。このように人々が歩んできた歴史と軌跡を感じるスポットも見どころのひとつと言えます。
独特な匂いに馴染めず、常に苦手なものにランクインされてしまう臭豆腐ですが、こんなに店舗が集結している場所はありません。怖いもの見たさで街歩きをしていたら、いつの間にか食わず嫌いが克服できていた?!なんてこともあるかもしれません。
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(2024/4/26更新)
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