会場に入ると真っ先に目にとびこんでくるのが、関ヶ原合戦図屏風だ。大小合わせて3点の展示は迫力。戦勝組の東軍の諸将が、江戸幕府創立に貢献した手柄を子孫に伝えるために作らせたもので、とても豪華だ。
二点目の重要文化財の屏風は東京展の目玉で、現存する最古の関ヶ原合戦図屏風。徳川家康の養女・満天姫の嫁入り道具だったそうだ。一つの屏風の中に数々のエピソードが盛り込まれていて、東軍の意気軒昂ぶりにくらべ、三成陣営が炎上しているのもなるほどと感じるだろう。
今回の展示は、天下人豊臣秀吉の死の直前からはじまる。代々の家臣をもたない秀吉は、病床から何度も諸侯に対し一子秀頼への忠義を誓わせた。そのなかから、「織田信雄等二十八名連署血判起請文」※などが展示されている。秀吉の死後いよいよ風雲急を告げるなか取り交わされた数々の書状や朱印状から、関ヶ原での決戦にいたるまでの駆け引きがおもしろい。
上の写真は、徳川秀忠から上杉景勝に宛てた書状で国宝に指定されている※。後に二代将軍となる秀忠だが、上杉・真田の連携プレーにはまり決戦に間に合わなかったことを思うと、この「変わったことがあったならば連絡する」と知らせた書状にも因縁めいたものを感ぜざるを得ない。
戦場で徳川家康の所在をしめす馬標(うまじるし)は、2mほどもある巨大な金の扇だ。西軍の総大将毛利輝元は大阪城にこもったきりで、西軍にかつがれた豊臣秀頼も大阪城の奥深くにいたことを考えると、戦場を行くこの馬標が東軍諸将にあたえた影響ははかりしれない。
勝者である東軍ゆかりの品々が数多く残っているのは当然のことだが、その中に「三成コーナー」ともいうべき展示がある。西軍の実質上の総大将石田三成の刀剣二点、重臣島左近の兜など。会津征伐が家康の罠と知りつつも、直江兼続と呼応して「勝機のあるときに」挙兵した「義」の人・石田三成。実際に初期の布陣を見れば西軍優勢は間違いない。しかし三成の勝機はことごとく摘み取られてしまうのである。
また、今回のもう一つの目玉が「ジオラマ・プロジェクションマッピング」。4分ほどの上映だが、地形、布陣、各部隊の動きがとてもよくわかるので、歴史初心者にもおすすめだ。本展のスペシャルサポーターを務める杏(あん)さん一押しの、西軍島津義弘の敵中突破はジオラマでも胸がすく。
今回特に注目されているのが、この薙刀から作られた「骨喰藤四朗(ほねばみとうしろう)」だ(上の写真)※。源頼朝の時代から伝説の残る名刀で、切る真似をするだけで骨まで砕けたという話からその名で呼ばれてきた名刀だ。
もう一つ、徳川四天王の一人本多忠勝所用の「蜻蛉切(とんぼぎり)の槍」も、本物が公開されている。鏡を置いて裏側の彫も良く見えるようになっている。
この展覧会は時系列に沿って展示されているので、音声ガイドを借りるとまるでドラマを見るように鑑賞できる。音声ガイドは杏さんと「戦国無双」で家康役の中田譲治さん、三成役の竹本英史さんの会話形式になっていて楽しめる。
オフィシャルテーマソングはミュージシャン「レキシ」が担当!
また、東京展の後半には「直江状」がお目見えした。会津上杉の一家臣にすぎない直江兼続が家康にたたきつけた果たし状をじっくり見てみよう。
さて、興奮さめやらぬ「大 関ヶ原展」。東京に続き京都、福岡にも巡回する予定で、開催地ごとにある時期にしか見られない貴重な出陳品もあるので、是非ご覧いただきたい。
平日でもチケット売り場には長蛇の列ができる盛況ぶりなので、ゴールデンウィークなど特に混雑する時期にはチケット予約がおすすめだ。
各会場、会期、チケット予約などの詳細は下の「MEMO」から公式サイトで。
※の出陳品は東京展展示終了。
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(2024/4/26更新)
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