しかし、千百年という歴史は簡単に積み重ねられて出来たわけではありません。毎年、春になると美しい花を咲かせた臥龍桜でしたが、枯死の危機も訪れました。
それはやはり強い雨や風などの天災でした。伊勢湾台風では大きな枝が折れ、平成3年(1991年)の台風でも再度枝が折れたり、裂けたりして枯死寸前となりました。しかし、そういった大きな災害にあっても、臥龍桜は繰り返し再生し続け今も生きています。
それを可能にしているのは、桜を守りたいという多くの人々の強い願い。この写真を見たら言うまでもないでしょう。多くの支柱に支えられ、樹木医や専門家の指導も受けて、この樹は守られています。また最近では、大規模な土壌改善なども行われています。その結果、樹勢を取り戻し、多くの花を咲かせ、臥龍桜が見事に甦ったのです。
臥龍桜は、大幢寺(曹洞宗)の境内にあり、周辺は臥龍公園として整備されています。
種類は、エドヒガンザクラ(江戸彼岸桜)で、高さが約20m、枝張が約30m、幹周りが約7.3mと、その大きさを誇っています。枝が折れてしまわないように、枝を支えている支柱の本数も、この木の大きさを象徴していると思います。でも、何よりも驚かされるのは、その花の数です。桜の木を守ってくれた多くの人々に心から感謝したい、そんな思いがたくさんの花を咲かせているのでしょうか。
臥龍桜の開花時期は4月中旬から下旬。咲き始めてから満開までは濃いめのピンク色、徐々に色が薄まり、散る頃には白色に近くなります。そのため、日によってかなり印象が違います。
開花期間中は、いつ訪れても、優雅で美しい姿を見せてくれます。でも、何回か訪れ、色味や形が微妙に変化していることに気付くと、毎日でも見たくなります。それも、樹齢千百年の桜の魅力だと思っています。
なお、臥龍桜を撮る撮影ポイントは幾つかありますが、JR高山本線の飛騨一ノ宮駅の跨線橋の上からがお勧めです。ここからは、全景を簡単に撮ることができます。
開花が始まると、臥龍公園一帯を会場に桜まつりが行われます。会場では、コンサートやお茶会などの様々なイベントが開かれ、週末には多くの人で賑わいます。また、地元の飲食店が出店した屋台村では、郷土の味覚を楽しんだり、土産物を買い求めることができます。
桜まつりの期間中、午後5時から8時までは、ぼんぼりの薄明かりで桜の木が照らされます。灯光器などによるライトアップとは違い、ぼんぼりのやわらかい明かりに照らされた臥龍桜は、暗闇の中で幻想的な風景を創り出します。昼とは違った雰囲気の臥龍桜も必見です。昼間に臥龍桜を見た後、一度高山市内の観光などをしていただき、帰りにもう一度立ち寄ってみるのはいかがでしょうか?
なお、地元にある宮小学校では、6年生の子ども達が臥龍桜の歴史を調べ、観光客にガイドをするという体験的な学習を取り入れています。こうした取り組みによって、臥龍桜を愛する気持ちが育つことと思います。もし、あなたがガイドをしている子ども達を見かけたら、是非、ガイドを頼みましょう。
臥龍桜
岐阜県高山市一之宮町226−2(臥龍公園内)
JR高山本線飛騨一ノ宮駅下車 徒歩1分
宮川河川敷駐車場から一ノ宮駅の構内を経由して 徒歩10分
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(2024/4/26更新)
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