春の桜で有名な吉野は熊野・高野山と共に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。ここは険しい山々が続く大峯連山の北端に位置し、修験道の開祖と言われる役行者によって1300年前に開山された霊場なのです。
そして、有名な桜も信仰によるものでお花見のために植えられたものではなかったということです。吉野から見渡す山々は霊場にふさわしい雰囲気に溢れています。
吉野には古くから多くの歴史上の有名人が訪れています。その中の一人が西行で、ここに小さな庵を結び三年ほど過ごしていたのです。
西行は平安時代に名門の武士の家に生まれ、エリートコースを歩んでいた二十代前半に突然家と地位を捨てて出家し、放浪の歌人となった人です。なぜ若くして出家を?については諸説があるようですが、自由人となった西行がどんな思いでこの吉野を訪れていたのでしょうか?
西行は俳聖芭蕉をはじめ後の世に大きな影響を与えた人物ですが、そう言えば西行にちなんで東行と名乗った有名な人もいましたね。
吉野の桜は麓から下千本・中千本・上千本と続き、さらにその上に奥千本があります。西行はこの奥千本と言われる山中に庵を結んでいました。
この西行庵へは遊歩道を歩いて行くしかありません。
まずは奥千本口のバス停から世界遺産の金峯神社へ向かいます。この先はぐるっと一周できる周遊コースになっているので、桜の時期には一方通行となる左周りで歩いて行きましょう。この遊歩道にはいくつか分岐があるので道標に注意です。
金峯神社から20分くらい歩いた山中の平地に西行の庵跡があり、今も小さな庵が木々に囲まれて建てられています。この山の中で西行は何を見て、感じていたのでしょうか?
ここは西行法師になったつもりでしばし日常を忘れ周りの景色を眺め風を感じてみましょう。
西行法師がどのような思いで吉野の山中に一人寂しく暮らしていたのかは分かりませんが、四季を通してこの西行庵の周りの景色が美しいのは確かです。
西行庵からの帰り道、高台から望み見る山々は幾重にも重なり素晴らしい景色です。実はこの遊歩道は、大峯・熊野への修行の道「大峯奥駈道」につながっています。遠く眺める山々は修行・信仰の山として何か神秘的です。
吉野には世界遺産の寺社や歴史の舞台となった多くの観光スポットがあります。静かな奥千本から山を下ってにぎやかな中千本エリアに立ち寄ってみましょう。
ここには金峯山寺蔵王堂や吉水神社などの世界遺産があり、人気スポットになっています。特に蔵王堂は東大寺大仏殿に次ぐ大きな木造の建物で迫力あります。そして、門前にはいろいろなお店もあってぶらぶら歩くだけでも楽しいですよ。
かつて西行法師が庵を結んだところは静かで自然以外に何もありません。庵を取り囲む木々や遠く重なり合う深い山々があるだけです。
でも自由に生きた西行になったつもりで日常を忘れここにたたずめば何かを感じ、何かが見えてくるかもしれません。
そんな昔の人を偲びながら、今の自分を見つめる旅に出てみませんか?
自然と信仰が融和した吉野はそんな旅に最適なところです。
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(2024/4/19更新)
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