幕末の志士「吉田松陰」の足跡を訪ねて〜伊豆・下田市〜

幕末の志士「吉田松陰」の足跡を訪ねて〜伊豆・下田市〜

更新日:2015/03/30 12:12

外国への密航を企てたことで知られる吉田松陰。2015年のNHKの大河ドラマ「花燃ゆ」に登場するなど、脚光を浴びている人物です。
海外への渡航を夢見た歴史舞台となった静岡県下田市には、松陰が実際に隠れ住んだ「寓寄処」、奉行所によって拘束された「拘束の跡」など、ゆかりの場所が点在!
吉田松陰に思いを馳せながら、巡っていただきたいスポットをご紹介します。

運命を変えた!?癒しの湯

運命を変えた!?癒しの湯
地図を見る

こちらは、下田市蓮台寺にある共同風呂「上の湯」。
伊豆急蓮台寺駅から徒歩で約10分。周りは小さな集落のためか、人通りが少なくひっそりとしています。

吉田松陰は、初めて下田へ来た時「岡村屋(現在の下田屋旅館)」に宿泊していたそうですが、ここは、下田での松陰のストーリーの始まりと言っても過言ではない場所。
その当時、皮膚病を患っていた松陰が、病を癒そうと蓮台寺の温泉へ訪れたのがこちらなのです。

入浴中、偶然にもこの村に住んでいた医師の村山行馬郎に声をかけられ、その後、行馬郎が隠れ住む場所を提供してもらうなど、運命的な出会いを果たしたお風呂です。
今も昔と変わらず、上の湯は、この地域に住んでいる方の専用のもの。そのため、松陰は村人の目を盗んで夜中に入ったそうです。
湯船など、中を見学することはできませんが、周囲には古民家や石畳の小道など、当時と同じような雰囲気が漂っています。

現存する松陰の隠れ家

現存する松陰の隠れ家
地図を見る

温泉で出会った行馬郎の世話になる事になった松陰は、この村山邸に数日間、身を寄せることに。この村山邸は「吉田松陰寓寄処」と呼ばれ、県指定史跡になっています。
この場所は、先程ご紹介した「上の湯」と目と鼻の先にあります。

趣のある茅葺屋根が風情を感じさせ、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。ここで松陰は、行馬郎と開国や文明についてなどを語り合ったと言われ、入浴したと伝わる風呂や、実際に使ったとされる机や硯箱などの貴重な品々が見られる、必見スポットになっています。

当時のまま、変わらない情景

当時のまま、変わらない情景
地図を見る

こちらは、松陰が身を隠していたと言われる部屋。
八畳程の広さで、実際にここで寝泊まりしていたそうです。寓寄処内では、こんな希少な場所に入れてしまうんです!

ここは、寓寄処の外観からは想像もつかないかもしれませんが、2階にあります。
寓寄処は実は、2階建てになっていて、この部屋は言わば屋根裏部屋。
階段を外してしまえば、2階に部屋があることすら気づきません。

身を隠すのに、絶好の場所だったようですが、松陰はこの部屋から寓寄処の前を通る魚売りを呼び止めて、魚を刺身にしてもらい酒盛りをしたという大胆な行動も。身を潜める立場なのに、こんなエピソードがあるなんて面白いですね。

ここでの逸話や松陰についてなど、詳しい事を知りたい方は、寓寄処に案内の方がいらっしゃるので、是非聞いてみてはいかがでしょうか?

【吉田松陰寓寄処】
入館料:有料
※写真撮影可能ですが、一言声をかけてから撮影するなどマナーを守って下さいね。

踏海の地

踏海の地
地図を見る

こちらは変わって、伊豆急下田駅から徒歩で約25分。下田湾に突き出たような島、弁天島の近くにある公園です。
この公園には、吉田松陰と弟子の金子重輔の「踏海の朝」と題された像があって、ここは言うまでもなく、密航を試みた場所。

この凛々しく立派に建つ像は、罪を覚悟で船に乗る意志の高さ、男息を感じられる見所。
松陰像は、大海原が広がる青い海の方向を指刺しています。かつて黒船が停泊していた海は、現在、遊覧船の黒船「サスケハナ」を見ることができます。

小舟を漕ぎ出し、実際に黒船に向かったのは弁天島からと言われていて、ここからそんな島全体を、見渡すことができます。以前は「島」と名がつくだけあって島でしたが、今は埋め立てがされ陸続きになっているので、近くで見ることもできます。
吉田松陰と言えば「来航していたアメリカの黒船に乗り込もうとした」と言うのが有名な話なので是非、立ち寄っておきたいところ。

黒船は、開国を迫ったアメリカのペリー提督艦隊の船。「サスケハナ」は、四隻ある船のうちの一隻の名前。遊覧船に乗れば、函館と共に日本で最初に開国した街並が、一望できますよ。
※遊覧船についての詳しい内容は、下記のMEMO【伊豆クルーズ】よりご覧下さい。

幕末開国、第一級の資料館

幕末開国、第一級の資料館
地図を見る

こちらは先程の公園から5分程歩いた場所にある「玉泉寺」。
このお寺の「ハリス記念館」では、吉田松陰の着物などの遺品を見ることができます。
着物は、160年も経っているというのに、しっかりと保管されているためか、紺色がしっかり残り鮮やかな色合い。本物を目にすることによって、当時を少しだけ垣間見ることができますよ。

このお寺は、日本で最初にアメリカ総領事館が置かれた場所で、国指定史跡になっています。記念館の名前にある「ハリス」とは、総領事館を務めた「タウンゼント・ハリス」の名前から。ここを訪れれば、開国の歴史を知ることもできます。

記念館には、ハリスが愛用していた葉巻・パイプ、ロシアのディアナ号の乗組員が写した日本最古の銀板写真など、幕末時代の沢山の資料も展示されています。
資料館の他、境内には牛乳発祥の地など、ちょっと変わった歴史も残されているので、散策しながら足を運んでみても楽しいですよ。

【ハリス記念館】
入館料:有料

おわりに

下田ボランティアガイド協会では「吉田松陰先生ゆかりの地を巡るガイドツアー」も行っているので、興味のある方は参加されてみては?
詳しい内容は、下記のMEMO【しず旅】よりお問い合わせ下さい。

下田市内には、岡村屋跡がある「下田屋旅館」、下田市立中央公民館の前には、奉行所によって拘禁された「拘禁之跡」など、ご紹介した以外にも見所は、沢山あります。

寓寄処がある蓮台寺は「下田の奥座敷」とも言われ、吉田松陰を癒した湯と同じ温泉が楽しめる宿もあります。泊まって、ゆったり歴史に触れてみても良いですね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/01/05−2015/01/25 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -