写真:渡部 洋一
地図を見る赤道にほど近い、ジャワ島。雄大な自然と魅惑の王朝文化が旅人を惹き付ける、インドネシアを代表する魅惑の島です。その中央部に位置する、古都ジョグジャカルタ。8世紀、ヒンドゥー教の王国によって建設され、18世紀以降はイスラム教のマタラム王国の首都として栄えた街です。
街の中心部に建つ王宮(クラトン)は、「スルタン」と呼ばれる国王が代々暮らしてきた場所。現在もスルタンが実際に暮らしている住居でありながら、その一部が一般に公開されている、ジョグジャカルタを代表する観光名所です。
1756年、ジャワ建築の粋を集めて建造された王宮内部では、王朝の伝統文化に触れることができます。
写真は、王宮の門。魔除けの神カーラや龍の装飾が特徴的な、いかにも南国といった趣の王宮への入口です。
写真:渡部 洋一
地図を見る入口の門をくぐるとすぐに迎えてくれる、魔除けの神「カーラ」。門に施されているカーラの装飾よりも巨大で、記念撮影の人気スポットです。
「カーラ」はインドネシアの魔除けの定番といった神様で、ボロブドゥール等の有名寺院でも頻繁に目にします。ギョロッとした大きな丸い目と大きな口。そのインパクトある顔は最初は少し怖くも見えますが、見慣れてくるといかにもアジア風のかわいい神様に見えてきます。
王宮の守り神「カーラ」は、インドネシアの人々に大変親しまれる国全体の守り神でもあります。
写真:渡部 洋一
地図を見る17世紀初頭にはジャワ島全域にまで勢力を広げたマタラム王国ですが、やがてオランダによる政治介入のもとで衰退。
現在の王宮を管理しているのは、かつてのスルタンの家臣の子孫たちです。王宮を守る「武士」である彼らは、無給のボランティアで働いています。その数は約2000人とも言われ、王宮内部のそこかしこで民族衣装をまとった守り人たちに出会うことができます。
王国は衰退しても、その伝統と文化は確かにこの場所に息づいているのです。
写真:渡部 洋一
地図を見る無給のボランティアとして王宮を守る、かつてのスルタンの家臣の子孫たち。その腰には、東南アジア南部の伝統の刀「クリス」が差されています。その名前はジャワ語に起源を持つというクリス。武器であると同時に霊的なものでもあり、幸運もしくは悪運を持つもつ存在と考えられています。
14世紀には存在していたとされる、クリス。その歴史的価値が評価され、2005年、インドネシアのクリスはユネスコの無形文化遺産に登録されました。
観光客へのパフォーマンスとしてだけではない、王宮の武士たちがその背中で守っているのは、歴史であり伝統であり、世界に誇る文化なのです。
写真:渡部 洋一
地図を見る王宮内部にある、儀式の間。壁が無く開放的なこの建物は、伝統文化とヨーロッパ様式が混在しています。ここでは、定期的に宮廷舞踊や民族音楽などの伝統芸能が上演され、多くの観光客を楽しませています。
王朝文化の伝統を受け継ぎ、中央ジャワの伝統芸能の中心地であるジョグジャカルタ。格式あるレストラン等で上演されることの多い伝統芸能ですが、ここ王宮ではリーズナブルに観賞することができます。
この儀式の間には、数々の楽器が置かれています。王朝時代から奏で続けられている、インドネシア伝統の民族音楽、「ガムラン」を演奏する楽器たちです。「ガムラン」は「叩く」という意味を持ち、その名前の通り、打楽器によって演奏されます。演奏者も歌い手もまた、家臣の子孫たち。ガムランは演奏される地域によって趣が異なり、ジャワ島では穏やかでゆっくりした音色を楽しむことができます。
壁の無い室内を吹き抜ける南国の風を感じながら、インドネシアの伝統音楽に耳を傾けてみませんか?アジアを感じる極上の一時となるはずです。
「ガムラン」をはじめとした各公演の日時等最新情報は、現地の観光案内所等で確認できます。
いかがでしたか?
かつてのスルタンの家臣の子孫たちによって守られる、古都ジョグジャカルタの王宮(クラトン)の魅力をご紹介しました。
インドネシア観光というと、多くの人はバリ島を思い浮かべるかと思いますが、ジャワ島も負けてはいません。特に古都ジョグジャカルタに息づく伝統文化は大変興味深く、歴史好きでなくとも一見の価値ありです。ジョグジャカルタ周辺にはボロブドゥールやプランバナンといった世界遺産の遺跡も点在しており、見所満載のエリアといえます。
インドネシアを訪れる機会があるのなら、是非ともジャワ島に、そしてジョグジャカルタの王宮に足を伸ばしてみてください。魅惑のアジアが、そこには待っています。
王宮(クラトン)へのアクセス、入場料、入場時間等の情報は、記事下部にある「MEMO」よりご覧いただけます。
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(2024/4/20更新)
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