西表にしか咲かない「サガリバナ」。○○○にしかないという表現にとても弱いので、なんとかして行かなければ・・・と思ってしまいます。それで行ってしまいました西表へ。
やんばるに咲く花・・・サガリバナ。別名サワフジとも呼ばれるこの花は、実は西表だけでなく、奄美以南の中国南西部からアジア、オーストラリアにかけて分布します。6月から8月の間だけ夜に開花し、明け方に散るというはかなげな花です。後でわかったことですが、「西表にだけ」というのはどうやら間違いのようです。ただ、豊かなマングローブの森が見られるのは、日本では西表の仲間川だけ。日本では西表でだけサガリバナが見られるが正しい表現でした。私の思い違いだったかしら・・・?
サガリバナはカヤックに乗って見に行きます。仲間川を目指すカヤックは、まだ星が夜空に残る明け方にスタート。波はなく静かな静かな海に漕ぎ出しますあまりにも穏やかな海なので、ときどき漕ぐのをやめてただ水面を漂っていたくなります。川を下る時とは違って、広大な海に向かうカヤックは自分自身が小魚になったような気分。視界、視線がここまで下がると、ほんとうに自然の大きさ、偉大さを身体で感じます。恐いくらいなのですが、ちょっと安心なのはこの当たりは浅いという事前学習があったこと。転覆しても大丈夫かな・・と。
海から始まり、カヤックでマングルローブの森が続く仲間川、その支流のアダナデ川へと進んでいきます。左右の木をよけながら狭い川幅の中に入っていきます。サガリバナの群生は奥にあるからです。太陽が昇り、空がすっかり明るくなった頃、ぽたぽたと川面に落ちたサガリバナが左右に見え始めます。とても幻想的で神聖な空気の中に迷い込んでいく感じです。ネムの花のような細くて長い花弁を持つサガリバナ。水面に浮かぶ花を左右に眺める風景はなんともいえない世界です。そっと手で掴んでみたりします。美しいのは水面に浮かぶサガリバナだけでなく、高木の木に房のように下がるサガリバナ。オールをかいで、その房の下までたどり着いてうっとりと眺めてみたりしました。もっとたくさんのサガリバナに囲まれたいのなら、おそらく6月の終わりか7月に入ってすぐの頃がおすすめです。
木の枝の先に止まるやんばるの鳥、アカショウビン。なんとなく、奄美の作家田中一村が描いた熱帯の森を思い出します。熱帯の森は大好きなので、マングローブの森を漂うカヤックツアーは大満足でした。
ただ、川にたどり着くまでの海の航海が意外と長いので、行き帰りとも、この海で真っ黒に焼けます。それでも、西表の豊かでワイルドな自然の風景は、日本であることを忘れるくらい素敵です。八重山諸島は、一つ一つの島に個性があって見応えたっぷりなのですが、西表の個性は際立っているように思います。できるだけ、このまま手つかずであって欲しい・・・そう願わずにいられません。
台風シーズンに入り、西表を含む八重山へは近づけない日が続くようです。自然の神様のしわざと諦め、また穏やかを取り戻した秋もおすすめ。サガリバナには会えませんが、暑くなりすぎた夏の火照りを鎮めるのに、あの穏やかな海は効きそうです。
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(2024/4/25更新)
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