写真:渡部 洋一
地図を見るその美しさや歴史的価値から、「世界一美しい墓」「真珠の涙」「イスラム建築最高傑作」等、最上級の言葉を用いて賞讃される、世界遺産タージマハル。
インド一、いや世界一有名な世界遺産タージマハルの建つアグラの街には、世界中から観光客が押し寄せます。
しかし、この街にあるのはもちろんタージマハルだけではありません。当たり前のことですが、そこには人々がいて、家々があって、暮らしがあります。
写真は、タージマハル南門エリアから撮影したものです。
タージマハル南門周辺には、タージマハルの眺めを売りにした宿やレストランが多数あります。それらの建物に上れば、インドの普通の家々の屋根の向こうに、タージマハルを望むことができます。
インドの普通の日常越しに見るタージマハル。民家の屋上には、洗濯物を干す主婦、チャイ等の飲み物を片手に憩いの時を過ごす老人、ボールを失くすことを覚悟でクリケットに熱中する若者たち等、本当に普通の日常があります。ただ一つ普通ではないのは、タージマハルがあること。
南門周辺のゲストハウスやレストランは、「特別なインド」と「普通のインド」の両方を同時に楽しむことのできる、タージマハル観賞の穴場スポットです。
写真:渡部 洋一
地図を見るタージマハルの北側には、ヤムナー河が流れています。写真はそのヤムナー河対岸の「マターブ・バーグ」という庭園から見たタージマハルです。
撮影時は乾期で河の水のほとんどが干上がっていましたが、雨季には今露出している砂地も全て水に覆われた大河となります。
写真でよく見るタージマハルの反対側、「裏タージ」を眺めることができるヤムナー河対岸のこの場所は、タージマハルが西日に染まる夕方の時間に特に人気のスポットです。
写真:渡部 洋一
地図を見るヤムナー河対岸から、普段とは反対側のタージマハルを眺めることのできる、マターブ・バーグ。実はこの場所には、美しくも儚い伝説が残っています。
そもそもタージマハルとは、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが最愛の妻ムムターズ・マハルのために建設したとてつもなく豪華でとてつもなく巨大な「墓」。
総大理石で高さ67メートル、装飾にも精緻を極めたこのイスラム建築の最高傑作を造るために、毎日2万人が動員され20年以上の歳月を要しました。そして、天文学的とも言える莫大な費用を投じたのです。
「国を傾けた」とさえ評されるほどの大事業の果てに、タージマハルは生まれました。国民の壮絶な苦しみの結晶によって造られた、人類史上稀に見る壮大な愛の形です。
狂おしいほどに妻を愛したシャー・ジャハーンが、タージマハル完成の次に見た夢。それが、「黒いタージマハル」です。
シャー・ジャハーンは自らが死後に眠る場所として、タージマハルの対岸、現在のマターブ・バーグがある場所に、黒大理石で「黒いタージマハル」を造ろうと夢想していたと言われています。そして、ヤムナー河を挟んで建つ2つのタージマハルを、大理石の橋で繋ごうと。
しかし、その計画は叶わぬ夢に終わりました。タージマハル完成直後にシャー・ジャハーンは重病に倒れ、回復後も政治的対立から自らの息子アウラングゼーブによってアグラ城に幽閉されてしまいます。
シャー・ジャハーンの空想の中にしか建つことはなかった、黒いタージマハル。
その夢の跡から見る白いタージマハルは、どこか悲しげです。
写真:渡部 洋一
地図を見る写真は、タージマハルの西へ約2キロのところに建つ、アグラ城(アグラフォート)から見たタージマハルです。
シャー・ジャハーンは自らの後継者争いの果てに、アグラ城に幽閉されてしまいます。幽閉後の彼は、自らが溺愛する妻のために造ったタージマハルを、この城から涙ながらに眺めていたと言われます。遠くに見えるタージマハルの姿に、最愛の妻や現役の皇帝であった自分の姿を重ねながら、シャー・ジャハーンはその晩年を過ごし、74歳で息を引き取りました。死後はタージマハル内の愛する妃の墓の横に葬られ、2人仲良く眠り続けています。
写真:渡部 洋一
地図を見るここまで、「少し遠くから見るタージマハル」をご紹介してきましたが、最後は定番の1枚。
南門から入場し、真っ正面からタージマハルを望みます。
総大理石で造られた白いドームは、まさに「真珠の涙」。高さ67メートルという巨大さが見るものを圧倒し、四隅に建つミナレットによって強調される完璧なシンメトリーが、インドという国にいることを忘れさせます。遠近感を上手く取り入れた前庭や並木、タージマハルの勇姿を映す水路、その全てが計算しつくされた美しさ。
「タージマハルの建設で国が傾いた」、そんな話を、この場所に立てば信じることができるかもしれません。
いかがでしたか?
世界有数の観光名所、タージマハルを少し離れた場所から眺めることのできるスポットをご紹介しました。
タージマハルは、見る角度によって、距離によって、時間によって、様々な表情を見せてくれます。それは形や色という単純なものだけでなく、それぞれの場所に、人々の様々な想いが詰まっているからかもしれません。
世界一美しい墓、タージマハル。日本から遥々この地を訪れるのなら、タージマハルの様々な顔を探してみませんか?きっと、「美しい」だけでない、心揺さぶる物語に出会えるはずです。
■タージマハル
入場料750ルピー(約1500円)
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(2024/3/29更新)
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