古刹と彼岸花の名所!奈良・葛城古道でのんびりハイキング

古刹と彼岸花の名所!奈良・葛城古道でのんびりハイキング

更新日:2021/09/19 11:43

沢木 慎太郎のプロフィール写真 沢木 慎太郎 放送局ディレクター、紀行小説家
山麓に続く神々の道、葛城古道(奈良県御所市)。のどかな棚田が広がり、奈良では明日香村と並んで彼岸花の名所。金剛・葛城山のふもとは、大和朝廷よりもはるか以前に栄えた、古代豪族の葛城(かつらぎ)氏、鴨(かも)氏ゆかりの古社が点在し、のんびりしたハイキングを楽しみたい方におすすめ。彼岸花の見ごろは例年9月中旬〜9月下旬ごろ。葛城一言主神社や九品寺を巡り、葛城古道のハイキングコースを楽しまれてはいかが?

「神話の旅」へと古道ハイキング

「神話の旅」へと古道ハイキング

写真:沢木 慎太郎

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奈良・葛城古道のハイキングコースは、全長約13キロメートル。コースに沿って公共バスやコミュニティバス(ひまわり号)のバス停もあるので、上手に活用しながら巡るのもおすすめです。

ハイキングコースの出発点となるのが、写真の「猿目橋バス停」。最寄り駅の近鉄電車「御所(ごせ)駅」からバスで約13分(葛城ロープウェイ前行き)。神話の旅はここからアクセスしましょう。御所駅周辺では電動自転車を借りることもできるので、レンタルサイクルで古道を巡るのも楽しいですよ。

「神話の旅」へと古道ハイキング

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「猿目橋バス停」のすぐ近くにあるのが、室町時代の「六地蔵」。ここから古道歩きが始まります。のどかな田園風景を見ながら歩いていると、次の見どころが写真の「番水の時計(ばんみずのとけい)」。これは一定の時刻になると、当番の方が用水路の水の流れを変え、すべての田んぼに水が行きわたるように調整します。

このあたりの土壌は水の浸透が早いため、水を上手に田畑に配分するための珍しい工夫。時計の後ろに広がる緑地が、“千体石仏”で知られる「九品寺(くほんじ)」です。

「神話の旅」へと古道ハイキング

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「九品寺」を参拝する前に、さきほどの「番水の時計」の後ろにある丘に立ち寄ってみましょう。九品寺の北側にある駐車場付近には、コスモスや彼岸花が咲き、小高い丘からは大和三山のある奈良盆地を眺望することができます。葛城古道の絶景スポットのひとつ。

九品寺、葛城一言主神社は彼岸花の名所

九品寺、葛城一言主神社は彼岸花の名所

写真:沢木 慎太郎

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「九品寺」は、奈良時代の僧侶・行基が開き、空海が再興した寺院。見どころは、本堂の裏山にある千体石仏。2000体近い石仏が整然と並んでいます。

南北朝時代に、御所の有力武士だった楢原氏が、戦いを前に身代わりの石仏として、菩提寺の九品寺に奉納したもの。南朝に味方していた、楠木正成を守るための強い忠誠心がこめられています。

九品寺、葛城一言主神社は彼岸花の名所

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「九品寺」という寺院名は、人間の品格をあらわしているもの。品格には、9つの品があるので、九品と名づけられています。春は桜、秋は紅葉の名所。石仏のまわりには彼岸花も見られ、静かな情緒が漂います。

<九品寺の基本情報>
住所:奈良県御所市楢原1188
アクセス:コミュニティバス「楢原」から徒歩約5分
駐車場:参拝者の方のための専用駐車場

九品寺、葛城一言主神社は彼岸花の名所

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九品寺を後にしてあぜ道を歩けば、次の見どころは「葛城一言主(かつらぎひとことぬし)神社」。地元から“いちごんさん”と親しまれ、一言の願いであれば何でもかなえてくれるパワースポット。『古事記』や『日本書紀』にも登場する古刹です。子どもを授かり、乳がよく出ると伝わる、乳イチョウも見どころのひとつ。

※イチョウの見ごろ・時期は例年11月中旬〜12月上旬ごろ

<葛城一言主神社の基本情報>
住所:奈良県御所市大字森脇432
アクセス:コミニュティバス「森脇」すぐ
駐車場:参拝者の方のための専用駐車場

彼岸花の見ごろは9月中旬〜下旬ごろ

彼岸花の見ごろは9月中旬〜下旬ごろ

写真:沢木 慎太郎

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「葛城一言主神社」の周辺には田園が広がり、彼岸花が美しい名所。葛城古道のハイキングで、彼岸花を楽しみたい方におすすめのスポット。秋のお彼岸のころには彼岸花が咲きそろい、真っ赤な風情ある風景を楽しむことができます。

彼岸花の見ごろは9月中旬〜下旬ごろ

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たわわに実った稲穂と、赤い彼岸花のコントラストも美しい。彼岸花の見ごろは例年9月中旬〜9月下旬ごろ。カメラを手に撮影を楽しまれてはいかが?

彼岸花の見ごろは9月中旬〜下旬ごろ

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「葛城一言主神社」から国道309号線を横切ると、古い民家が軒を連ねる長柄の集落に入ります。

見どころは「郵便名柄館 Tegami Cafe」。築100年の大正レトロな郵便局をリノベーションしたカフェは、なんともレトロ可愛い。資料館も併設されていて、見学だけでも可能。ハイキングの途中で彼岸花を楽しんだら、レトロなカフェでちょっと休憩しましょう。

<郵便名柄館 Tegami Cafeの基本情報>
住所:奈良県御所市名柄326-1
電話番号:0745-60-8386
アクセス:奈良交通バス「寺田橋」から徒歩約15分

極楽寺から高天彦神社もおすすめ

極楽寺から高天彦神社もおすすめ

写真:沢木 慎太郎

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長柄集落を抜けると、次の見どころは「極楽寺」。天暦5年(951)に、興福寺の僧侶、一和僧都(いちわそうず)が開いた寺院です。

金剛山から放たれた光をたどったところ、地中から仏頭を見つけ、ご本尊として草案を結んだことが寺院の始まり。正面の門からのぞく本堂も風情があります。

<極楽寺の基本情報>
住所:奈良県御所市極楽寺108
アクセス:奈良交通バス「小殿」から徒歩約20分
駐車場:参拝者の方のための専用駐車場

極楽寺から高天彦神社もおすすめ

写真:沢木 慎太郎

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ハイキングコースでは、「極楽寺」から「高鴨(たかかも)神社」に向かうのが一般的。しかし、体力のある方は「橋本院」を経て、天孫降臨神話の舞台を散策し、「高天彦(たかまひこ)神社」(写真奥)に向かいましょう。古道は山中を進み、ちょっとした登山気分も味わえます。

「高天彦神社」の参道は、樹齢数百年の杉の大木が並び、神さびた独自の雰囲気が漂っています。ここも、写真映え抜群のスポット。

極楽寺から高天彦神社もおすすめ

写真:沢木 慎太郎

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こちらが「高天彦神社」。古代豪族、葛城氏の最高神、高皇産霊神(たかみむすびのかみ)をお祀りしています。「産霊(むすび)」とは、生産や生成という意味。神話の高天原に現れた神です。運勢や運気アップ、厄除け、恋愛成就、縁結びなどのご利益があり、奈良の隠れパワースポット。

ここはとても静か。雪景色も風情があっていい。背後には金剛山がそびえ、「高天彦神社」から金剛山頂に向かう登山ルートも整備されています。

<高天彦神社の基本情報>
住所:奈良県御所市北窪158
アクセス:コミュニティバス「高天口」から徒歩約15分
駐車場:参拝者の方のための専用駐車場

日本最古級!高鴨神社を参拝

日本最古級!高鴨神社を参拝

写真:沢木 慎太郎

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ハイキングもいよいよ終盤へ。「高天彦神社」から「高鴨神社」にかけての道も、のどかな田園風景が広がり、コース沿いにはコスモス畑もあります。風に揺れるコスモスの花びらに、ほっとひと息。

日本最古級!高鴨神社を参拝

写真:沢木 慎太郎

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ハイキングコースの最後の見どころは、「高鴨神社」。鴨一族の氏神神社で、京都の上賀茂・下鴨神社の御本家。“全国の賀茂社の総本宮”という強力なパワースポットなので、ご参拝されてはいかがでしょうか?

弥生時代中期から祭祀を行う、日本最古級の神社のひとつ。奈良の奥深さに驚かされます。紅葉名所でも知られ、秋の紅葉もひときわ美しい。

※紅葉の見ごろ・時期は例年11月中旬〜12月上旬ごろ

<高鴨神社の基本情報>
住所:奈良県御所市鴨神1110
アクセス:奈良交通バス「風の森」から徒歩約15分
駐車場:参拝者の方のための専用駐車場

日本最古級!高鴨神社を参拝

写真:沢木 慎太郎

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「高鴨神社」から、ハイキングコースの終点「風の森バス停」はすぐ目の前。この付近は、御所市と五条市を結ぶ峠の頂上にあたり、常に風が強く吹くため、風の神さまをお祀りしていました。はるか遠い歴史ロマンに、思いをはせてはいかがでしょうか?

近くには、日帰り温泉施設の天然温泉「かもきみの湯」が改装し、リニューアルオープン。露天風呂や家族風呂があるので、子供連れのご家族やご夫婦、カップルなど、ハイキングで疲れた体を休めるのもおすすめです。

奈良・葛城古道でのんびりハイキング

ご紹介したハイキングコースの所要時間(標準)は、「猿目橋バス停」→(徒歩約20分)→「九品寺」→(徒歩約15分)→「葛城一言主神社」→(徒歩約15分)→「郵便名柄館」→(徒歩約40分)→「極楽寺」→(徒歩約40分)→「高鴨神社」→(徒歩約15分)→「風の森バス停」。

ハイキングコースにある主要な寺院や神社には駐車場やトイレもありますが、お彼岸時などの駐車場利用は参拝者の方が優先。駐車台数は少ないので、公共機関(バスの利用)やレンタル自転車で巡るのをおすすめします。

彼岸花の咲く時期などの問い合わせは寺院さんのご迷惑になるので控えましょう。花の踏み荒らしや路上駐車場などのトラブルがないよう、ルールやマナーを守って、古道のハイキングを楽しみましょう。

なお、奈良県でのおすすめのハイキングコースや観光名所についてもまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに張り付けたリンクからのぞいてみて下さい。

2021年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/02/10−2020/12/18 訪問

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