阪急岡本駅を降りて、にぎわっている通りを離れ、「岡本梅林」の旗に導かれ山側に進み、川沿いを少し登っていけば『岡本(梅林)公園』に到着します。江戸時代にすでに「梅は岡本、桜は吉野、蜜柑紀の國、栗丹波」と謡われるほど有名な梅の名所でしたが、昭和初期の阪神大水害や宅地化でいつしか梅林は失われてしまいました。それ以来40余年の時を経て、梅林復活という市民の強い願いのもと、1982年に岡本梅林公園が整備されました。木々が育った今では、駅から歩いてこられる梅林として、多くの人に愛されています。
公園内には36品種・約200本の梅の木があり、山肌の斜面を利用して回廊式に散策路が整備され、梅を下から見上げたり、木の上から見下ろしたりと、いろんな方向から楽しめる公園となっています。
六甲山系の金鳥山と保久良山の中腹の谷に『保久良梅林』があります。中腹というと、かなり登らなくてはならないの…と、思われるでしょうが、歩きやすい登り道なので、散歩を兼ねてゆっくりと登ってみましょう。岡本梅林から30分、駅からだと40分ほどです。風光明媚な神戸ならでは、高度を上げるたびに大阪湾や瀬戸内海の風景が、どんどん眼下に広がるので、退屈せずに歩けます。
岡本梅林に比べ高度が高いので、岡本梅林の梅が満開でも、こちらではちらほら咲きという時もあるようです。でも明るい谷を埋め尽くす約250本の梅の木は見ごたえ十分。ベンチもあるので、休憩して上がった息を整えてください。
写真:SHIZUKO
地図を見る梅を見るだけならここから来た道を戻ってもいいのですが、せっかく登って来たのでもう一頑張り『保久良神社』まで足を延ばしましょう。保久良神社からの絶景は、古くからお墨付き。もともと多くの村里を見渡すことが出来、海から昇る太陽を拝み見ることが出来る場所として、この地が選ばれ、神社がここに建てられたのですから当然です。
境内には多くの巨石があり、磐座として円形に並べられている場所もあり、かなり神秘的。境内から弥生時代の遺跡や祭器、土器などが出土し、古代祭祀遺跡に認定されています。古代の人々が神と共にある場所として、この地を選び、生活をしていたかと思うと、神聖な空気にキリリと身の引き締まる思いがします。
写真:SHIZUKO
地図を見る保久良神社の鳥居の先に大きな石灯篭があります。『灘の一つ火』と古くから大切にされている常夜灯です。足元にある石碑には「この石灯籠は文政八年(一八二五年)のものですが往古は”かがり火”を燃やし中世の昔より”油”で千古不滅の御神火を点しつづけ最初の灯台として「灘の一ツ火」と海上の船人の目じるしにされました。古くからふもとの北畑村の天王講の人々が海上平安を願う「祖神」の遺志を継承し交替で点灯を守りつづけてきたものです」とあります。
ヤマトタケルが熊襲征伐の帰りに、暗くなった海上で祈りをささげると、山に明かりが一つ灯り、それを目印に無事に帰り着いたとも言われていて、この逸話が「灘の一つ火」の由来だそうです。現在は電燈が灯されていますが、麓から見上げると今でもちゃんと、灘の一つ火を確認することが出来ます。
写真:SHIZUKO
地図を見る梅と神聖なパワースポットを巡った後は、やはり、お洒落な岡本ならではのカフェで一休みしましょう。保久良神社の東側の舗装道路を降りて、阪急電車の踏切を越え、駅に向かう途中に思わず足を止めてしまう素敵な『マナーハウスモトヤマ』があります。広々とした前庭がある日本家屋。中は英国のカントリーハウステイストの和モダン。とても落ち着く空間です。
安全安心なセイロンティーとこだわりのレシピと食材で贅沢に仕上げられたスコーンが自慢のお店。ランチもありますから、ゆったりとお茶を楽しみ、お腹を満たし、一日の締めくくりの時間をお過ごしください。
岡本梅林は、駅からも近く、高低差もあまりないので、神戸などにお出かけしたついでにちょっと立ち寄れる梅林です。近所の方がのんびりと散歩されている静かな場所ですから、ぜひ、行ってみて下さい。絶景を楽しめる保久良梅林から保久良神社コースになると、急坂もありますから、ウォーキングシューズで行かれることをお勧めします。
お弁当をもって軽いハイキング感覚で梅を楽しんでください。眺望の良さが自慢の六甲山麓。日差しがあれば、とても気持ちのいい時間が過ごせること請け合いです。
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/23更新)
- 広告 -