国指定の名勝!古刹「龍潭寺」の庭園を倍楽しむ方法〜浜松市〜

国指定の名勝!古刹「龍潭寺」の庭園を倍楽しむ方法〜浜松市〜

更新日:2015/03/05 12:54

世界遺産になっている京都府にある、二条城の庭園などを作庭した「小堀遠州」。その作者が手掛けた日本庭園が、浜松市「龍潭寺」にあります。庭園は、昭和11年に国の名勝記念物に指定された名園。そんな素晴らしい庭園をより楽しむための知っておきたい基礎知識と、寺の見所を併せてご紹介します。

井伊家の菩提寺

井伊家の菩提寺
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こちらは、今回ご紹介する「龍潭寺(りょうたんじ)」。
車で新東名高速道路「浜松いなさIC」から、国道257号線で南へ10分進んだ、奥浜名湖にあります。

龍潭寺は、733年行基菩薩によって開創。約1万坪もある境内は「日本の森百選」になっていて、木々が茂ってとても自然が豊か。この地域は、古い時代、水が豊かで清らかな場所だったことから「井の国」と呼ばれ、この地で国を治めていたのが「井伊家」でした。

およそ600年に渡って領主をしていたので「遠江」を代表する存在で、井伊家の中で、特に活躍したのが第24代の井伊直政です。
直政は、徳川幕府に使え、徳川四天王の一人と謳われた人物。お寺は、そんな井伊家の先祖代々のお墓がある菩提寺になっています。

静寂の中で感性を感じる庭園

静寂の中で感性を感じる庭園
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先程ご紹介した写真は、本堂。
本堂を中心に、西側に「稲荷堂・開山堂」、北側に「井伊家御霊屋」などがあります。これらの建物は、江戸時代に建てられた由緒ある建物で、県の文化財に指定されています。

本尊を祀る、寺の中で最も重要な役割を果たす本堂。そんな本堂から見られる庭園が、国指定の名勝になっています。こちらは、そんな本堂からの庭園の眺めで、江戸時代初期に作られたそうです。
この庭を作ったのは「小堀遠州」と呼ばれ、本名は「小堀遠江守政一」。庭中の掃除などを任せられる幕府の普請奉行として数々の庭を作り、中でも京都府の二条城の庭園、南禅寺の金地院庭園は、代表作になっています。安土桃山時代から江戸時代にかけて才能を開花させ、その人物が造ったこの庭園は、東海一の見事な名園と言われています。

「庭園」と言えば「○○式庭園」などと、漢字ばかり並んだ名前を目にしませんか?
そんな時は、次の事を知れば意外と簡単。ここでは、呼び方の基礎を伝授しましょう。
日本庭園は大きく別けて、池などの水を使った「池泉庭園」、水の代わりに小砂利や石を使った「枯山水庭園」、山間の風情を現した「茶庭」の3種類があります。

見方も大きく3つに別れていて、こちらは、本堂や屋内から庭園を見るタイプなので「観賞式」と呼ばれます。観賞式の他に、船から見る「船遊式」、歩いて見る「廻遊式」の見方があります。この寺には池もあり、屋内から眺めることから、組み合わせると「池泉観賞式庭園」となります。漢字ばかりで難しく感じますが、この仕組みが解かれば、容易く感じることでしょう。

考えれば考えるほど、奥が深い!

考えれば考えるほど、奥が深い!
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庭園は、心を和ましてくれるような眺めが楽しめるのが何よりも魅力。
正面に見える「こんもり」とした小高い丘は、山の峰。丸く刈られた木は、山脈を表現。
日本庭園は、自然景観の縮小だけでなく「蓬莱神仙思想」も表現されているそうです。
蓬莱神仙とは、中国の道教における不老不死の象徴。

言い伝えでは、大海原に「蓬莱島」が突然現れ、そこに不老不死の神が住み、蓬莱島は、亀に似た巨大生物「鼇(ごう)」の甲羅の上にあると考えられています。そのことから、ほとんどの庭園には「亀」と名がつく島や石が見られます。
ここでは、池に突き出している出島(写真中央)に「亀」と付けられた「亀出島」と呼ばれる島があります。池で「出島」は、主要な部分で、縁起のいい「亀」は、長寿の象徴でもあります。このように、蓬莱の世界を現すことが多く、ここには「蓬莱岩島」と言う島もあるので探してみて下さいね。

池は「大海」を表していて、水はあらゆる生命の原点回帰にあたります。人々の心が癒されるように、空間を作り出されたのが日本庭園で、こんなことを踏まえながら庭園を見れば、皆さんも日本庭園の通になれます。

おわりに

お寺の建物・堂内には、冷暖房はありません。冬は、ホットカーペットがあるのみで、堂内は外気温とほぼ一緒です。そのため、暖かくして出かけるなど、季節に会った格好でお出かけ下さい。

堂内を歩くと「ギーギー」と音がする「鴬張り」の廊下があったり、「見ざる聞かざる言わざる」の彫刻で知られる「左甚五郎」作の、龍の木彫作品があるので、そちらもお見逃しなく!

3月下旬から4月中旬は、桜や八重桜、5月上旬から6月上旬にかけては、ピンク色の「さつき」が咲くので、一味違った日本庭園をお楽しみいただけます。
冬は梅や椿、初夏は紫陽花、11月中旬から12月は紅葉など、四季折々の花々が見られますよ。

休日には、都会の騒がしい雑踏を離れて、静寂の中、日本庭園を見て心を研ぎ覚ませてみませんか?

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/01/12 訪問

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