巨人伝説?!謎に包まれた巨石群 ラオス「ジャール平原」

巨人伝説?!謎に包まれた巨石群 ラオス「ジャール平原」

更新日:2015/01/26 16:11

ラオス北部のポーンサワン(Phonsavan)県には、巨石をくり抜いて作った不思議な壺が転がっている遺跡群があります。「ジャール平原」と呼ばれるその遺跡は、誰が何のために作ったものなのか、今でもはっきりとしたことは分かっていません。

巨人の酒壺とも、骨壺ともいわれている謎の巨石群「ジャール平原」を訪ねてみましょう。

旅のスタートはラオス北部「ポーンサワン」から

旅のスタートはラオス北部「ポーンサワン」から
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ラオス北部の街ポーンサワンは、標高1000メートルの場所にある高原地帯。そこには「ジャール平原」と呼ばれる、なんとも不思議な巨石群が静かに佇んでいます。「ジャール」とは、壺を意味するフランス語で、500余りの壺があるといわれています。

巨石群は広大な平原に点在している為、より多くの観光ポイントを見学したい場合は、ポーンサワンから出発するツアーに参加した方がよいでしょう。ツアーの場合は、遺跡だけでなく近郊の村や滝へ行くコースがいくつか設定されています。ツアーの内容はどこも同じで、街の観光所やホテルで予約できます。しかし値段が微妙に違うので、いくつか回って確認をしてから、決めるとよいでしょう。

*広大なジャール平原には、遺跡が点在しており「ジャー・サイト(Jars Site)」と呼んでいます。現在サイト1〜3を中心に、いくつかの場所が公開されています。

電動カートに乗っていよいよ「ジャール平原」へ!

電動カートに乗っていよいよ「ジャール平原」へ!
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ポーンサワンの街から南に約10キロメートル。今回ご紹介する「ジャー・サイト1(Jars Site1)」は、途中の道路も整備されており、バイクをレンタルして個人で行くには丁度よい位置にあります。

ビジターセンターでチケットと駐車場代を支払い、電動カートに乗って早速「ジャール平原」へ行ってみましょう。カートを降りて緩やかな丘の上を目指すと、そこに広がるのは広大な平原とあちこちに点在する巨石の壺です。

その数は何と250余り!謎が深まる巨大な壺

その数は何と250余り!謎が深まる巨大な壺

提供元:遠藤隆尚

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平原に点在する謎の巨大な壺。見渡す限りでは石切り場も無ければ、壺以外の巨石が転がっているわけでもない。一体どこからこれほど巨大な石を運んできたのか、謎は深まるばかりです。「ジャー・サイト1」には、約250あまりの壺があり、ジャール平原の約半分がここで見られます。

ぐるっと回って約1時間から1時間30分。小高い丘や平原に置かれた大小さまざまな壺の、古代ロマンとミステリーを探ってみてください。

英雄の名を冠する最大の「チチュアンの壺」

英雄の名を冠する最大の「チチュアンの壺」

提供元:遠藤隆尚

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「ジャー・サイト1」壺で最も大きい壺は、高さは2.5メートル、重さは何と6トンもある「チチュアンの壺」です。この地方にはかつて巨人の国があり、巨人国の王クンチュンは、近隣諸国との戦いに勝利するとこの石壺に貯蔵しておいた酒を戦士に振る舞っていた、という伝説が残されています。

1930年代に入り、フランス人考古学者が壺の周辺を調べたところ、人骨やガラス球、銅の腕輪や貝細工などが発見されました。その後の調査により壺の下から棺桶(かんおけ)も発掘され、現在では1500〜2000年前の古代モン・クメール族のお墓説が有力のようです。

お土産にいかが?「ナーピア村」の爆弾から作った工芸品

お土産にいかが?「ナーピア村」の爆弾から作った工芸品
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ベトナム戦争当時、南ベトナムから北ベトナムへ人や食料、武器などを補給する通称「ホーチミン・ルート」が存在していました。アメリカ軍の偵察機に見つからないよう森の中を切り開いて作ったルートは、ベトナムだけでなくカンボジアやラオスの山間部を通り抜ける、全長約2万キロメートルにも及ぶものです。このルートを絶つべく、アメリカ軍はそれこそ雨のように空爆を繰り返しました。その量は、ラオス国民一人当たり約1トンともいわれています。

今回ご紹介した「ジャール平原」のあるポーンサワン県は、ラオス国内でも特に空爆の激しい場所でした。今なお地中に不発弾が存在し、撤去活動が続けられています。私たちが目にできる遺跡群は、もちろん撤去活動が終了しています。また、平原のところどころに爆弾が爆発した跡(クレーター)が存在し、当時の空爆の激しさを思い量れます。

ビジターセンターの中には、ベトナム戦争の影に隠れた「秘密の戦争」とも呼ばれた戦時中の写真や歴史、クラスター爆弾などが展示されていますので、こちらもぜひ見学してみてください。また「ナーピア村」で作成した工芸品も置いてあります。爆弾を溶かし工芸品へと作り直したアクセサリーや食器類は、過去のつらい歴史を乗り越え、新しい未来へ目を向けている、そんなラオス人の人々の思いが宿っているような気がします。

温泉に古代都市。楽しみがたくさんある「ポーンサワン」

いかがでしょうか。

バスで行くには少し遠い「ポーンサワン」ですが、不思議な壺に温泉に洞窟、美しい滝や古都など見所の多い地方です。また、ラオス北部の村々を訪ねるトレッキングなども催行されている「ポーンサワン」。
腰を据えてじっくり楽しんでみてください。

■ポーンサワンへのアクセス
空路:ビエンチャンまたはルアンパバーンより国内線が就航中
バス:ビエンチャンより11〜12時間
ルアンパパーンより6〜8時間
そのほか、ベトナムのハノイからルアンパバーン行きバスに乗り、ポーンサワンで途中下車しても行けます。

*ラオス北部は山路をひた走ることになります。乗り物酔いが心配な方は酔い止め薬の持参をお薦めします。
*名称をポーンサワンで統一していますがシェンクワン(Xiwng Khouang)とも呼ばれています。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/12/19 訪問

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