写真:菊池 模糊
地図を見るイエスは、荒野でサタンの試みを退けた後、緑豊かなガリラヤに向かいました。
そして、ガリラヤ湖畔で、漁師をしていた男達に「私についてきなさい。あなたがたを人間をとる漁師にしてあげよう」と声をかけます。その漁師こそが、最初の弟子で12使徒の中心となったペテロとアンデレの兄弟です。
イエスが伝道をはじめた場所に、今私たちが立っているというのは、忘れがたい感慨を得ることができます。ここからキリスト教がはじまったのです。
この湖畔の場所に、現在は「ペテロの首位権教会」(カトリック)または「ペテロの召命教会」(プロテスタント)と呼ばれる小さな聖堂が建っています。ここは、十字架刑の後にイエスが復活した際、弟子たちと食事をしペテロに「わたしの羊を飼いなさい」と言って後継指名をした場所でもあるとされています。その食事をした岩がメンザ・クリスティ(キリストの食卓)と呼ばれ、歴代ローマ教皇はここにお参りし取りすがって祈ります。
写真:菊池 模糊
地図を見るイエスは、漁師たちを弟子にすると、ガリラヤ湖北岸の町であるカファルナウム(カペナウム)に入り伝道しました。ここにはペテロの家があり、イエスの伝道の本拠地になりました。
現在はカファルナウムの遺跡が発掘され、イエスが教えたといわれるシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)跡もあります。
また、ペテロ住居跡上につくられた「聖ペテロの家教会」があります。その下には八角形の壁に囲まれた小さな建物跡があり、ペテロ伝承に基づいて5世紀には教会堂が建てられていたことがわかります。
これらの会堂やペテロの家で、イエスはペテロのしゅうとめの病の治癒をはじめ数々の治癒奇跡を行い、人々を驚嘆させます。
ガリラヤにおけるイエスに対する宗教的熱狂のはじまりです。
当時は、病気の原因は悪霊が宿っているためであり、ユダヤ教においてはその人が背負った罪でもあると考えられていました。
イエスは、まず最初にこの悪霊を追い出し治癒するのです。イエスの治癒奇跡は、「黙れ、この人から出て行け」という圧倒的人格による悪霊の追い出しだったのです。
今日の心身医学的な治療法(メンタルケア・サイコセラピー・精神分析)を先取りしているとも言えるでしょう。
こうしてイエスは、罪人と共に食事をしたり、病人に触ったりして、虐げられた人々の中に入って治癒し、人々を救うのです。
写真:菊池 模糊
地図を見るカフェルナナウム近郊のガリラヤ湖畔には低い山が迫っています。その山のひとつに山上の垂訓教会があります。
山上の垂訓とは、マタイの福音書においてイエスが最初に説教した内容として提示されています。
「(心の)貧しい人々は、幸いである」といった多くの衝撃的なメッセージが述べられ、キリスト教の真髄とも言われています。
現在の山上の垂訓教会は、カトリックのフランシスコ会が建てたものです。
この教会の場所は、ガリラヤ湖を見下ろして、緑豊かで春は花が咲き、とても景色の良い所です。世界中からここを訪ねる人々が、素敵な景観に笑顔で散歩しています。
ここガリラヤの風かおる場所でイエスが語った言葉が、キリスト教の教えとして、2000年後の私たちに伝えられていることに、大きな感動を受ける方も多いでしょう。
こうした美しいロケーションで、キリスト教が生まれてきたのです。
写真:菊池 模糊
地図を見るガリラヤ湖北西、ペテロの首位権教会の近くに、古くから泉が湧いていたタブハと呼ばれる場所があります。ギリシャ語のヘプタペゴン(7つの泉)を意味し、「パンと魚の増加の教会」があります。
ここで、イエスは五個のパンと二匹の魚とで5000人の人々の腹を満たしたとされる奇跡を行ったそうです。
このパンと魚の増加の逸話は、イエスの行った大きな奇跡としては、四つの福音書すべてに同じように書かれている唯一のエピソードです。
写真のように、イエスがこの奇跡を行った場所の岩が、現在のパンと魚の増加の教会の祭壇下にあり、その手前にパンと魚のモザイクがあります。
この教会はバシリカ様式で、カトリックのベネディクト会が管理しています。
また、教会外庭に置いてあるオリーブを絞る石臼は古い黒玄武岩で出来ていることから、2000年前イエスの時代のものだそうです。
ここで、イエスが大きな奇跡を行った時代に思いを馳せると、深い感慨にひたることが出来るでしょう。
写真:菊池 模糊
地図を見るイエスが伝道したガリラヤ地方は冬季には雨が多く降り、美しい湖や緑の山野が広がり、自然に親しむことができます。特に春三月は暖かくなり、雨季から乾季への変わり目でもあり、様々な花が咲き乱れます。
トルコからイスラエルにかけて、このあたりは、花の原種が沢山あり、例えばシクラメン、チューリップ、アネモネ等の素敵な花が生まれた場所でもあります。イスラエルの国花はシクラメンです。
ヨーロッパとアフリカの間を行き来する渡り鳥の中継地ですので、花の種などが運ばれてくることも多いようです。イスラエルはまさに世界有数の花の国なのです。
イエス・キリストは、聖書の中で「空の鳥、野の花」について「花一本でも、自然の与えてくれるものは、ソロモン王の栄華をもってしても、人間には作りだすことができない」とか、「カラシ種」について自然の力を讃える例として取り上げています。
「カラシ種」とは、菜の花に似た種類で、春にガリラヤの大地を美しい黄色に彩ってくれます。
今でも春になると、ガリラヤは花の大地で、旅ゆく人々に慰めと癒しを与えてくれるのです。
ガリラヤ湖畔は、イエスの足跡を辿ることがが出来る貴重な巡礼の道です。
イエスはここで伝道を開始し、虐げられた人々を救い、数々の奇跡を行い、宗教的熱狂を巻き起こしたのです。現在の世界宗教は、このガリラヤの地の、イエス・キリストの活動からはじまったのです。
この地で、イエスゆかりの地を旅すれば、聖書に書かれた場所に接して、「ああ、この場所か!」と感動することは間違いありません。
キリスト教徒でなくても、人類史に最も大きな影響を与えた存在を感じることで、2000年前の歴史が目の前に浮び、とても興味深く旅することが出来ます。
特におすすめは、花の多い春です。ぜひ花の季節にガリラヤを旅してみてください。
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(2024/3/19更新)
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