今回ご紹介する富士市は、富士山の麓、駿河湾に面した場所。東京駅から新幹線で「新富士駅」で下車すると、約1時間10分で着けてしまう距離にあります。
駅の改札口を出ると、正面の壁に「ど〜ん」と、このような壁画が。これは「かぐや姫竹取物語の図」で、十二単を着た長い髪のかぐや姫は、何とも優雅。街の主要な玄関口から、かぐや姫がおもてなしをしてくれます。
ここでは、かぐや姫は「月に帰った」のではなく、「富士山に帰った」と伝えられています。そんな伝承が残る場所に来たなら、絶対に富士山を見ておきたいもの。そんな場合は、改札口に背を向けて右側に歩くとある、駅の北口に出てみて下さい。晴れの日は、正面に堂々と横たわる富士山を見ることができますよ。
残念ながら、富士山が見えなかった場合は、北口のすぐ近くにある「富士山観光交流ビューロー」へ足を運んでみて下さい。かぐや姫の顔出しパネルがあって、富士山が見えない日に限って、男性は「男前証明書」・女性は「ぺっぴん証明書」を発行してくれますよ。
富士山が見えなくて悲しいですが、ちょっとした面白い証明書を頂けてしまいます。(証明書を発行する場合は、身分証明書が必要となります)
変わってこちらは、市内を走る「岳南電車」。JR東海道線「吉原駅」を起点として、お隣の沼津市との境にある「岳南江尾駅」まで、全長9.2kmを走るローカル線。
電車は2種類あって、この電車はそのうちの1種類。名前は「かぐや富士」と言って、ここでは、かぐや姫が電車の顔として走っています。沿線に全部で10駅あり、晴れの日は全ての駅から富士山が見えます。車窓からも富士山を見ながら乗れるので、まさに富士山好きにとっては、たまらない電車。
富士市に残る物語では、かぐや姫が一緒に暮らした「国司」に「手紙と不老不死の薬を残して富士山に去った」と云われ、諸説ありますが一般的には、国司が富士山の山頂で、不老不死の薬を燃やしたため「不老不死」の「不死」が「富士」となったそうです。
ここから見える富士山も、物語とは関係がなくはないようで、そんな事を思いながら眺めると、また一味違った富士山の素晴らしさが実感できることでしょう。
今度は、この電車に乗って「岳南原田駅」から、約15分程歩いた場所にある、かぐや姫の里「竹採公園」で、物語を探ってみましょう。
※岳南電車に乗り換える場合は、東海道新幹線「新富士駅」からJR東海道線「富士駅」まで、ワンコインタクシーで移動。「富士駅」からJR東海道線で、「吉原駅」で下車します。
ここは、竹取の老夫婦と竹から生まれたかぐや姫が、この周辺で暮らしていたといわれる「竹採公園」。公園には「神授の竹」、竹林の中には「竹採姫」と刻まれた碑「竹採塚」などあって、公園の由来から考えると物語ではなく、ここに伝わる伝説のようで、ここが「かぐや姫発祥の地」と言える場所でしょう。
公園は、住宅街の一角にあります。昼間でもひっそりとしていて、静寂に包まれた竹林に入ると、何処からか、かぐや姫が現れそうな幻想的でロマンティックな空間。風に「カサカサ」と揺れる竹の音も、不思議と神秘的に聞こえてしまうほど。
この竹林は、浮世絵で活躍した「歌川広重」と、歌川国貞・国芳の3人で合作した「東海道揃物(そろいもの)」の中の一枚に描かれていて、江戸時代の絵に登場するほど、古くからここに伝わる物語が知られていたようです。毎年9月になると、十二単に身を包んだ「かぐや姫」役が、夜になると伝説に因んだ舞を踊り、太鼓や神楽など郷土芸能が披露される「姫名の里まつり」が開催されています。
この公園の近くには、竹採の翁を祀る「滝川神社」、かぐや姫が富士山に帰るとき何度も振り返ったと云われる「見返り坂」など伝説に基づいて付けられた地名の場所や、見所もたくさんありますよ。
※竹採公園は、入園無料。開園時間は、3月から9月までは、8時30分から18時。
10月から2月までは、8時30分から17時まで。
休園日は、毎週木曜日・12月29日から1月3日となっているので、ご注意下さい。
散策の後は、かぐや姫グルメでお腹を満たしてみませんか?
これは「竹取物語」と言う駅弁。発売されて十数年は経ち、人気を集めるお弁当です。
茹でた落花生が混ぜ込まれたおこわ。その上に、鯛の塩焼き・甘辛く味付けされた桜えび・栗や筍の煮物などがのっています。お弁当には揚げ物が入っているものが多いですが、このお弁当は揚げ物がないのでとてもヘルシーですよ。
この地域では、落花生を茹でて食べることが多く、そんな落花生を混ぜたおこわは、この地域ならでは。食物繊維もたっぷりです! お弁当に入っている筍・竹で編んだお弁当の入れ物など、かぐや姫らしいですよ。
お弁当は、新富士駅構内のお店などで販売しています。竹取物語の駅弁は、全国的にはあまり名前が知られていませんが、ここを訪れたら、是非食べておきたい一品です。
こちらは「竹取ロール」というロールケーキ。新富士駅から「富士見大通り」と呼ばれる大きな通りを、富士山の方向へ行き、「ロゼシアター交差点」を左折。2、3分車を走らせると右側にある、「洋菓子の家 MIMI」で販売しています。
かぐや姫の里にふさわしい銘菓で、笹の粉が入った珍しいケーキ。
ふんわり、しっとりしたスポンジに、冷たくて濃厚な生クリーム。抹茶の風味に似た、甘さ控えめの笹粉が練りこまれた餡。絶妙なハーモニーで、お土産にもぴったり!
ご紹介した「竹取物語」・「竹取ロール」は、地域のブランド「富士ブランド」に認定されているので、食べる価値がありますよ。
富士山観光交流ビューローには、「富士山かぐや姫伝説」マップも用意されているので、是非ご利用下さい。
「竹取物語」は、昔の人々も、ロマンティックな物語に思いをよせた、日本最古の物語。
そんな物語を馳せながら伝説の地を散策されてみては如何でしょうか。
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