建築界の芸術家、ピーター・ズントー作品巡りにスイスへ!

建築界の芸術家、ピーター・ズントー作品巡りにスイスへ!

更新日:2014/12/26 17:46

スイス出身の建築家であるピーター・ズントーは、2009年に建築家にとってのノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞しており、世界的に有名な建築家の一人です。
ズントーは建築作品数が少ないので、親しみのない方も多いかもしれませんが、ホッとする温かな彼の建築は、一度訪れたら忘れられないものになるでしょう。
今回はスイス北東部の街、クール(Chur)を拠点にして、巡ることの出来る3作品をご紹介します。

絶対に外せない、聖ベネディクト教会へ

絶対に外せない、聖ベネディクト教会へ
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ピーター・ズントーは作品が少なく、本人も自身のことを「建築家ではなく芸術家」と発言しています。作品のほとんどがスイスにあり、建築に携わる人には、彼の建築を目指してスイスを訪れる人も少なくありません。
彼の作品は、建築デザインを学んだ後に歴史的建造物の修復の仕事に携わっていたことを思わせる職人的な細部の美しさを兼ね備えています。それは、自身を芸術家としている言葉の通りともいえます。

そんな彼の作品へのこだわりが詰まった作品のひとつとして、絶対に訪れて欲しいのがこの聖ベネディクト教会です。特徴的な外観を形成している木材を繊細に重ねたディテールはとても美しく、全体はとても柔らかな表情です。

山登りを経て、静寂な空間へ

山登りを経て、静寂な空間へ
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内部は、ステンレスの壁に木の構造材がアクセントとなり、船底のような木組みの天井を支えます。教会というと、どうしても重厚な歴史的な空間によって信仰の深さを感じる部分がありますが、シンプルな現代建築であるこの場所にも同様の感覚があります。そういった空気感は訪れたからこそわかるもの。たくさんの人に愛される建築であるということも、納得できるのではないでしょうか。

聖ベネディクト教会へは、まず、クール(Chur)から一時間ほどのスンヴィッツ(Sumvitg-Cumpadials)という駅を目指します。スンヴィッツへの電車は一時間に一本あるかどうかと少ないので、ご注意ください。スンヴィッツ駅からは、一時間ほど山の上へと登ることになります。筆者は冬に訪れたので、雪を心配していましたが、教会周辺にも人家があり、教会までの道は雪かきがしっかりとされ、車で訪れる観光客もありました。

水着で楽しむ温泉施設、テルメルバード・ヴァルス

水着で楽しむ温泉施設、テルメルバード・ヴァルス
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ピーター・ズントーの作品の中でも、大型なテルメルバード・ヴァルスは1996年の完成から建築界では話題となっていました。内部は外観の印象とは異なり、迷路のように複雑なつくりとなっていて、さまざまな空間体験が出来る建物です。
温泉の温度によって、大小さまざまな部屋に分かれており、洞窟の中を進むような空間もあります。プールのように広い場所や露天もあり、温泉テーマパークのようです。水着着用ではありますが、温泉施設のため内部は撮影禁止のためご紹介できず残念です。

テルメルバード・ヴァルスへは、クールから30分ほどのイランツ(Ilanz)へと電車で向かいます。イランツの駅を降りると駅前に数台のバスが止まっており、そのうちのヴァルス(Vals)行きを探して乗車します。イランツ駅から30分ほどでテルメ(Therme)というバス停に到着します。バスを降りると山際に建つ建築を見つけることが出来ます。

こちらの施設は予約制となっているので、公式ウェブサイトから予約してください。入場できる人数は、ゆとりのある設定となっているようで、定員で予約が締め切られた日に利用しましたが、混雑している印象はなく、長時間のんびりと利用することが出来ました。

ローマ遺跡を静かに守る建築も!

ローマ遺跡を静かに守る建築も!
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最後にご紹介するのは、ローマ遺跡発掘シェルターです。こちらは、クール駅から徒歩10分程度の場所にあり、その名の通り、この場所で発掘されたローマ遺跡を守るために建てられたシェルターとなっています。

こちらは、内部公開が年に数日しかない建物となっていますが、外部からも遺跡が観察できるよう、大きな窓があります。天窓から差し込む光を受けて浮かび上がるローマ遺跡はとても幻想的です。
この建物は巨大な百葉箱のようなつくりで、外壁の木材はルーバーで隙間があり、風雨を防ぎつつも外気を取り入れながら保存環境を整えています。

聖ベネディクト教会やテルメルバード・ヴァルスを訪れ、ピーター・ズントーに触れてくると、このちょっと地味でシンプルに役割だけを担う建築の魅力をじわじわと感じるのではないでしょうか。管理に手がかかりすぎては、守り続けられなくなってしまうこともあるので、手をかけずに守ることの出来る建物というのは、とても重要です。
クールを拠点に建築を巡って、空いた時間にちょっとこちらまでのお散歩をオススメします。

おわりに

スイスへの旅は、大自然を満喫することが一番のテーマになることが多いと思います。ピーター・ズントーの建築巡りもまた素敵なテーマのひとつとなることでしょう。今回はクールを拠点に巡るかたちでご紹介しましたが、どれかひとつを訪れるだけでも十分楽しめる建築ばかりです。

鉄道の発達しているスイスでは、関連メモの鉄道乗り換え案内からの検索で旅程の組立ても簡単にすることが出来ます。本文中の地名(駅名)は()内がスイスでの正式名称となり、関連メモのスイス鉄道ホームページでの検索は()内の表記で行うことが出来ます。ご自身の旅の目的に合わせて訪れることも検討してみてください。

また、スイスへと建築を目的に出かける場合には、もうひとつ、ヴィトラのデザインミュージアムも欠かせません。関連メモにこちらの記事も入れておりますので、そちらもご参照ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/01/03−2013/01/04 訪問

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