商売繁盛で笹もってこい〜十日えびすで福を授かろう!

商売繁盛で笹もってこい〜十日えびすで福を授かろう!

更新日:2013/03/01 16:35

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者
関西を中心に、かなりの賑わいを見せる『十日えびす』。
福の神として広く信仰されている七福神の『恵比寿』=えべっさんに商売繁盛を願う、年の初めのお祭りです。「商売繁盛で笹もってこい!」の景気のいい声に心もウキウキ、1年間の福をいただきに出かけませんか?

今年の福男は、どんな人?

今年の福男は、どんな人?

写真:SHIZUKO

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関西の各地で、1月9日・10日・11日の3日間開催されるえびす祭り。総本社は兵庫県西宮市にある『西宮神社』。3日間のお祭りをまとめて『えべっさん』と呼ぶ人が多いですが、正しくは、9日を宵宮、10日を十日戎(本戎)、11日を残り福と呼びます。

テレビニュースなどで話題となり、全国的にも有名になった『福男選び』が行われるのが、この西宮神社です。

本戎の早朝6時『開門神事・福男選び』が行われます。足自慢の男たちが、一番福を目指して、赤門の開門と同時に、境内を猛スピードで走る『走り参り』です。江戸時代に自然発生的に始まった、西宮神社独特のお参り方法。近年は人気が高まり、全国から参加者があるため、参加心得はかなり厳しくなっているようです。

2005年からは、赤門前に並ぶことが出来る人をくじ引きで選んでいます。しかも、このくじ引きに参加できるのは1500人限定。その中から最前列のAブロックからスタートできる108名と、その後のBブロックからスタートできる150名が決まります。まずは、このくじ引きでいいくじを引かなければ、福男にはなれないという厳しさ。そして、危険を伴う神事ですから、靴や服装の規定もあります。そんな選ばれし男たちの命がけの走りは、映像を見ているだけでもドキドキします。

西宮神社の門松は、なぜか逆さまに…

西宮神社の門松は、なぜか逆さまに…

写真:SHIZUKO

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福男選び以外にも、西宮神社では独特の行事があります。

お祭り前日の8日には『招福大まぐろ奉納式』が行われます。えびす神は鯛を担いでいる姿をしていることが多く、これにちなんで、水産物卸売協同組合などが大まぐろと雌雄2尾の鯛を奉納するというもの。

参拝に来た人たちは、この大まぐろに硬貨を貼り付けて、商売繁盛を願っていきます。例年体重300キロ、体長3メートルにもなる大まぐろが奉納されるので、それを観るだけでも価値があります。お刺身にすると、なんと1600人分というのですから! ぜひ、観に行ってください。

そして、もう一つ珍しいのが、本殿前にある門松。なんと、逆さまに飾られています。

これは『さかさ門松』と言って、その由来は「十日えびすの夜 市中を巡られるえびす様にお障りがないように戸外の門松を逆にさしかえ家々の戸を閉ざし一人ひとりが身を慎んで静かに神さまをお待ちしていたと云われており現在でも十日えびすに際し一月十日夜は深更より神社の門を閉ざして忌籠もりを行い午前四時に十日えびす大祭を厳修し午前六時に開門神事・福男選びを行う慣例になっています」と、境内に由来が書かれています。

えびす神が庶民にとても愛され、篤く信仰されていることがわかる言い伝えではないでしょうか。

素敵な福むすめに出会えるかな?

素敵な福むすめに出会えるかな?

写真:SHIZUKO

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大阪で、十日戎に盛大な賑わいを見せるのは『今宮戎神社』。
こちらは『福むすめ』の存在が有名です。

あちこちの十日戎で、福むすめは募集されていますが、今宮戎の福むすめは別格のようです。一時、福むすめ出身のアナウンサーが多かった時期があり、就職やお見合いの際に有利といわれる肩書きだけに、福むすめになるのはとても狭き門。毎年3000名近い応募者があり、今年は60人の福むすめが選ばれました。

金色の烏帽子に、神事の際に女性が着る「千早」という衣裳を着て、福笹を参拝者に渡すのがおもな仕事。近年は、外国人留学生の福むすめもいて、国際色豊か。

今宮戎神社では、福笹は無料で配ってもらえます。

まず、参拝をして、今年1年の商売繁盛をお願いしたら、拝殿の左右にある神社授与所で福笹を授与してもらいます。古来より、神が宿ると信じられている竹。福笹は、青々とした葉が美しい自然のままの孟宗竹の枝ですから、大小さまざま。好みのものを手に入れてください。この福笹に吉兆(きっちょう)と呼ばれる縁起物の小宝(こだから)を福むすめにつけてもらいます。

小宝には、いろんな種類がありますが、海の幸・山の幸・野の幸を小さくまとめたものと思ってください。また、熊手や袋、ざるなどもあり、福を集めて商売繁盛を願います。ただし、これらは有償です。平均1500円くらいなので、お財布と相談してつけてもらいましょう。毎年ひとつずつ増やすという楽しみ方もあります。

えびす様って、どんな神様?

えびす様って、どんな神様?

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『えべっさん』と親しみをこめて呼ばれるえびす神とは、一体どんな神様なのでしょう。

右手に釣竿を持ち、左脇に鯛を抱えている姿が一般的。ふくよかなえびす顔でニッコリ微笑み、大きな耳が特徴的。西宮神社では、蛭児大神(えびすのおおかみ)として祀られていて、イザナギ・イザナミから生まれた姉弟のアマテラス・スサノオとともに鎮座されています。

一方、今宮戎神社では事代主命(ことしろぬしのみこと)として祀られています。事代主命は、大国主命(おおにくぬしのみこと)の子どもで、オオクニヌシはスサノオの子どもとも子孫ともされています。

いずれにせよ、釣り好きで、海や海の幸の守り神であることは一致しています。そして、大きな耳を持っているのに、とても耳が遠いそうです。なので、今宮戎神社では、えべっさんにお参りする時は、お社の裏にある直径1.2メートルの銅鑼を叩いて、今一度「えべっさん、たのんまっせー」と念押しすることになっています。そうしないと、せっかくお願いしたことも聞き届けてもらえないとか。

堀川戎にも行ってみる?

堀川戎にも行ってみる?

写真:SHIZUKO

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『堀川戎』は、大阪のど真ん中、キタの繁華街に一番近いえべっさん。

北新地からも近いので、昼間より夜が華やかな場所。お商売の時間を考え、深夜まで開門されています。日付をまたぐ頃から、綺麗なお姉さんと立派な背広姿の人たちで、とても賑やかになります。西宮や今宮とは、また違う風情が楽しめます。大阪のど真ん中に宿を取って、独特の景色を楽しむのもいいかもしれません。

えべっさんでは、どの神社でも、授与する福笹以外に、とっても色鮮やかな熊手にいろんな縁起物を詰めたものが参道で所狭しと売られています。金色や赤の縁起のいいものがいっぱい。観るだけでも楽しい。特に、残り福(11日)になれば、値切り交渉も楽しめる商売の神様。人と人が繋がって、商売が成り立つのですから、そんな楽しみ方も、えべっさんならではかもしれません。

大阪らしいお祭に、ぜひお出掛けくださいね。

ただし、どの「えべっさん」にお参りしても、出口から境内に戻ってお参りするのは止めましょう。福を返すという意味になるといわれています。気にするかどうかは、皆さんにお任せしますけど…。

掲載内容は執筆時点のものです。

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