アンコールから続くクメール古道の終点。タイ「ピマーイ遺跡」

アンコールから続くクメール古道の終点。タイ「ピマーイ遺跡」

更新日:2014/12/09 15:56

タイ東北部ナコンラチャシマ(コラート)の北東59キロメートルに位置する「ピマーイ遺跡」は、カンボジアのアンコールワットから一直線に伸びるクメール古道の終着点にあり、タイ国内で最大の大乗仏教遺跡です。

いつ・誰が・何のために建てたのかは定かになっていなく、アンコールワット完成以前には建てられていた、とも言われている「ピマーイ遺跡」の魅力に迫ります。

2重の周壁に囲まれた仏教寺院

2重の周壁に囲まれた仏教寺院
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ピマーイ遺跡の「ピマーイ」は、この寺院の内壁に彫られた碑文にも記されている「ヴィマヤ」という、古代クメール語での地名に由来しています。

遺跡の中心部にある中央祠堂(ちゅうおうしどう)を守るように造られた周壁を回り込んで、遺跡の正面に当たる南側の入場ゲートから入りましょう。入場ゲート右手にはインフォメーション・センターがあり、日本語のパンフレットを入手できます。

まず目に入るのは、サパン・ナカラート(竜王橋)と呼ばれる砂岩でできた岩の橋です。正面には2頭の獅子(しし)、その奥には「ナカラート」と呼ばれる7つの頭を持つ竜の彫刻が美しく残っています。この橋は、人界天界をつなぐ橋とされ、カンボジアのアンコールワット寺院にも、同じような様式の橋が見られます。

タイでも珍しい「アンコールワット様式」

タイでも珍しい「アンコールワット様式」

提供元:遠藤隆尚

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周壁に設けられた人の高さほどある通路を登り、中庭に入りましょう。ここからは神々の住む天界です。中央の参道の正面には、花びらのような彫刻装飾が何層にも渡って施された白い寺院と、赤い砂岩でできた回廊のコントラストが実に見事な遺跡がたたずんています。

回廊の周りを散策すると、大きな4つのため池と「バンナライ」と呼ばれる、経典を保管していたと考えられている建造物が見られます。当時はこのそばに寺院があり、ため池は寺院の沐浴場として使われていたと考えられています。これら寺院の配置や彫刻などは、タイのほかのクメール寺院ではほとんど見られない独特の様式だと言われています。

王の神々しいまでのほほ笑み

王の神々しいまでのほほ笑み
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回廊を出ると、右手にそびえる赤い建物は「プラン・ブラマタット」と呼ばれています。ここには、クメール王朝初の仏教徒の王国を築いた、ジャヤヴァルマン7世とされる坐像が安置されています。

彼が行った慈善事業は高く評価され、今でもタイの民間信仰の対象として祀られています。

遺跡の中心。白い仏教遺跡「中央祠堂」

遺跡の中心。白い仏教遺跡「中央祠堂」
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ピマーイ遺跡において、もっとも重要な建築物が「中央祠堂」です。11世紀後半から12世紀にかけて建造された、タイ・クメール建築の最高傑作とも言えます。

入り口上部のまぐさ石には、ラーマーヤナと呼ばれる古代インドの大長編叙事詩や、仏教の説法などが非常によい状態で保存されています。建物内の奥にはクメール様式のナーガ(竜)に守られるブッタの像が安置されています。

*まぐさ石は古代の建築で2つの支柱の上に水平に渡されたブロックを指します。

美しいレリーフを見るなら「ピマーイ国立博物館」へ

美しいレリーフを見るなら「ピマーイ国立博物館」へ
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ピマーイ遺跡から東北へ300メートルほど歩いた所に「ピマーイ国立博物館」があります。ここでは、ピマーイ遺跡で発掘された仏像やレリーフのほかに、3,000年前の先史時代の遺物や、タイの初期仏教時代の仏像、アユタヤ朝時代の仏像など、さまざまな時代の遺物・仏像が見られます。

遺跡では間近に見られない、屋根や天井のレリーフなども間近で見られますので、ぜひ訪れてみてください。

■開館時間
開館日:水曜から日曜 9時〜16時まで
休肝日:月曜・火曜・タイの祝日

いつか世界遺産になるかもしれない「ピマーイ遺跡」はお早めに!

ピマーイ遺跡は修復作業と周辺の整備などを行い、現在「ピマーイ歴史公園」として人々を迎え入れています。世界遺産の候補となる「暫定リスト」にも加えられているので、近い将来には世界遺産リストへ登録されるかもしれません。

ホットな観光スポットになる前に「ピマーイ歴史公園」を攻略しましょう!

■アクセス
ナコンラチャシマのバスターミナル2から1305番ローカルバスが30分おきに運行。所要時間約1時間

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/11/01 訪問

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