ユネスコ無形文化遺産に登録!バーゼルの「ファスナハト」を体験しよう

ユネスコ無形文化遺産に登録!バーゼルの「ファスナハト」を体験しよう

更新日:2021/02/27 16:43

平川 郁世のプロフィール写真 平川 郁世 現地密着型ライター
毎年2月か3月に行われる カーニバル(スイスドイツ語で「ファスナハト(Fasnacht)」)。
バーゼルのファスナハトは、スイス最大の規模!このたび、ユネスコ無形文化遺産に登録されたので、世界各国からますます多くの見物客が訪れることが予想されます。

独特のキャラクターが揃ったファスナハトは、仮装行列だけじゃない、お楽しみがいっぱい!
ここでは、初めて参加した人でも楽しめるコツをご紹介いたします。

まるでねぷた祭り?モーゲンシュトライヒで幕開け

まるでねぷた祭り?モーゲンシュトライヒで幕開け

提供元:バーゼル観光局

https://www.basel.com/en/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%…

バーゼルのファスナハトは、14世紀にまでさかのぼる、古い歴史があります。日程もほかの都市より遅い開催で、灰の水曜日の翌週。2022年の開催は、3月7日(月)〜9日(水)の3日間です。

初日の月曜日は、開始時間がなんと早朝の4時!
モルゲンシュトライヒと呼ばれるこのパレード、参加する人は朝の4時までに街の中心に集まるのがお約束。暗闇の中で、開始を静かに待ちましょう。
朝4時を告げる鐘の音と同時に、街灯も懐中電灯も一斉に消え、それに代わって大小さまざまなランタン(灯篭)が照らし出されます。早朝の冷たい空気の中に、ピッコロの音色が広がってゆき、小太鼓のリズムがパレードの行進を後押しするのです。
次から次へと行列がやってきて、早朝4時とはとても思えないほどの盛り上がり。この街の長い歴史を共に振り返っているような、魔法の国に迷い込んだような、不思議な感覚にとらわれます。
モルゲンシュトライヒは、バーゼルだけの独特な儀式で、カーニバルのハイライトとまで言われています。4時に早起きして見る価値あり!!

街全体が狂乱の渦!あなたも手を伸ばしてみよう

街全体が狂乱の渦!あなたも手を伸ばしてみよう

写真:平川 郁世

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昼間のパレードは、グループごとに統一された仮装(メイクでない、かぶりもの)をして、バンド演奏をしながら街中をねり歩きます。ドラム・サックス・笛などで構成され、伝統的な調べから現代ポップスまでとさまざま。

それに続いてやってくる山車の上から、観衆にさまざまなアピールをしてきます。配っているビラに書かれているのは、政治的・社会的メッセージ(残念ながらドイツ語、しかもバーゼル方言!)。
それはさておき、工夫を凝らしたオリジナルの仮装が次々と現れ、目が離せません。実に精巧な作りの、動物あり、有名人あり、モンスターあり、とにかくなんでもあり! 方言がわからなくたって、充分楽しめます。

さらに仮装した人たちが、プレゼントを配っていますよ! お菓子(飴、グミ)のほかに野菜(じゃがいも、にんじん)、果物(オレンジ、りんご)、花(ミモザ、バラ)などなど。もらったものを入れる袋をあらかじめ用意しておきましょう。
直接手渡してくれることもあれば、大量に投げつけてくることも!
観光客だからって、ひとごとのように傍観していてはいけません。山車の上から指差されたかと思うと、いきなりオレンジの直球が飛んでくることがあるのです。無事につかまえると「ナイスキャッチ!」と親指を立て、またひとつ、さらにまたひとつと投げてきたりして、もう必死!!

それらに紛れて、紙ふぶきも撒かれます。ハラハラと空に舞う光景は美しいのですが、頭から大量にぶっかけられてしまう人も・・・!

実は、ファスナハト実行委員会が販売するバッジに、その秘密が隠されています。ブラゲッデ(Blaggedde)と呼ばれるそれは、ビジュ(宝石の意)・金・銀・銅の4種類(8〜100フラン)。高いものを購入した人ほど「ファスナハトに資金協力をした」と見なされ、パレード見学の際は良い待遇を受けられますが、何も買っていない人は 紙ふぶきを浴びせられるだけ(もちろん例外あり)。
いったん狙われると逃げられず、背中にどっさり入れられたりします。髪の毛やウールのセーターに入るとあとが大変!!

ブラゲッデは1月上旬から、街頭販売やキヨスクなどで購入できます。パレード見学の際は、目立つ位置につけておきましょう。毎年デザインが変わるので、いいおみやげにもなります。

ゆるくない! 公式キャラ「ヴァッギス」

ゆるくない! 公式キャラ「ヴァッギス」

提供元:ちくちく鳥【本山理咲】公式ブログ

http://blogs.yahoo.co.jp/genkotsuyamajp/33994369.h…地図を見る

仮装パレードに向かって手を伸ばしている人たちが、しきりに誰かの名前を叫んでいます。彼らは一体なんと言っているの? そう、「ヴァッギース!」と言っているのです。あなたも勇気を出して呼んでみましょう。

バーゼル・ファスナハトの公式キャラクターともいうべき仮装「ヴァッギス」。ぜんぜんゆるくないので、初めて見た人はぎょっとするかも?
いろんなバージョンを見かけますが、とにかくこの大きな鼻がトレードマーク。もともとはフランス・アルザス地方の農耕日雇い労働者を模した仮装だった、というのが有力な説です。

伝統的なヴァッギスは、黄色いふさふさの髪、青いシャツ、白いズボン、ストライプの靴下に、木靴をはいています。大きな赤い鼻は、ワインの飲み過ぎに注意せよという意味。
ヴァッギスは非常に目立つ仮装なので、大人も子どもも好んでヴァッギスになります。いたずら好きとされるヴァッギスのお仕事は、もっぱら(オレンジを投げるふりをして)紙ふぶきをまき散らすこと。

バーゼルのファスナハトにはほかにも、ウエリ、アルテタンテなどのキャラクターがあり、スイスのほかの都市と比べても個性派がそろっています!

騒がしいお祭りは苦手な人に……静かに楽しむための裏ワザ

騒がしいお祭りは苦手な人に……静かに楽しむための裏ワザ

写真:平川 郁世

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騒音と人混みが苦手という人は、パレードのメインルートからちょっと外れてみましょう。裏通りを歩く小さなグループは、ピッコロのみか、せいぜいピッコロ&小太鼓など、落ち着いた演奏。旧市街の古い街なかに笛の音色が鳴り響く様子は、幻想的ですらあります。バーゼルのファスナハトが持つ、長い歴史を感じさせ、このお祭りの古来の姿を想像することができます。

初日の月曜日と水曜日は、大人が大きな山車を率いるにぎやかなお祭り。そして中日の火曜日は、子どもが主役のキンダーファスナハトです。山車も人力車で、規模も音量もかわいいもの。小さいお子さま連れの家族は、火曜日がおすすめです。
この火曜日は夜にも、ランタンの展示会(大聖堂広場Münsterplatzにて)やバンド演奏のコンサート(マルクト広場Marktplatzにて)などが開かれます。

またはローカル幼稚園にて

またはローカル幼稚園にて

写真:平川 郁世

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時期は前後しますが、バーゼルの中心部以外でも、郊外の各地でファスナハトを開催しています。こちらのほうが断然、人が少ないので、その分ゆったり見学できます。商品サンプルや家にあった玩具、花や野菜などをもらえる率も高く、それでいて仮装の面白さは変わらないので、おすすめです。

日程に関しては、観光局で聞くか、各自治体のHPを参照してください。
現地に行けば、道端にポスターが貼ってあります。

さらに、写真のように、ローカルの幼稚園および小学校低学年もパレードをしています。たいていファスナハト休暇に入る直前です。子どもたちの手作りお面と衣装でまわる、かわいらしいパレードを見ることができます。最後にお決まりの「ファスナハトのうた」を全員で歌っておしまい。地元にしっかり根づいた伝統行事であることが実感できます。

ふだんは礼儀正しいスイス人が、ここぞとばかりに羽目を外す様子を見物しよう!

ファスナハト期間中は、バーゼルの街全体が常識を忘れてはしゃぎ、私たちを楽しませてくれます!
・・・と思いきや、木曜日の早朝4時から清掃車が街中を巡回し、翌日の街はすっかりきれいな状態に戻ってしまうのです。まるで何事もなかったかのように木曜日はふだん通りで、さすがはスイス!と唸ってしまいます。
前日は夜中の4時までドンチャン騒ぎが続いていたのに、あれは夢だったのかと疑いたくなるほど。

バーゼル人の中には、1年のうちたった3日間しかない、このファスナハトのために、まる1年かけて楽器の練習や衣装の準備をする人たちがいるのです。そんなバーゼル人たちの情熱が結集したこの街最大のお祭り「ファスナハト」を、ぜひ1度体験してみてください!

ちなみにファスナハト開催中は、周辺のホテルが大変混雑するので、早めのご予約をおすすめします!

掲載内容は執筆時点のものです。 2007/02/28−2015/02/25 訪問

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