TV「西遊記」のロケ地、坂戸市「聖天宮」で驚きの台湾体験

TV「西遊記」のロケ地、坂戸市「聖天宮」で驚きの台湾体験

更新日:2014/11/03 16:09

Naoyuki 金井のプロフィール写真 Naoyuki 金井 神社・グルメナビゲーター
「聖天宮」は、埼玉県坂戸市の田園地帯に突如現れた異国です。
その豪華絢爛な佇まいと、馴染みの薄い道教という神秘性から、知る人ぞ知る埼玉の台湾と呼ばれ、TV「西遊記」やEXILE ATSUSHIの「PV DVD」などのロケ地として、更には中国系アニメなどのコスプレの舞台として勇名を馳せています。
今回は、その知られざる埼玉の台湾「聖天宮」をじっくりご案内することにいたします。

神秘の道教

神秘の道教

写真:Naoyuki 金井

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田園地帯の一画の住宅地を抜けると、度肝を抜かれるようなビビットカラーの印象的な建物が目に飛び込んできます。
何もご存知でない方が見れば、「ここは何処?」「これは何?」と思われることでしょう。

この「聖天宮」は、儒教・仏教とともに古代中国の三大宗教の一つである“道教”の祈祷所で、寺院と思われる方が多いのですが、しいて言えば神社に近い位置付けです。
道教とは、「陰陽」「八卦」の概念を産み、「風水」「占術」として現代にまで影響を与えている教えで、そのシンボルは白黒の勾玉を組み合わせたような意匠の「太極図」と云えば、概ね想像が付くのではないでしょうか。また、平安時代の日本で道教が禁止された頃、この道教の要素を取り入れて生まれたのが、あの安倍晴明の陰陽道といえば、更に理解し易いかもしれませんね。

中国太古からの信仰である道教は、当時、信仰された中華民国が現在は台湾に移っているので、建物も文化も台湾テイストのエキゾチックな趣になっているのです。

夢のお告げ

夢のお告げ

写真:Naoyuki 金井

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この聖天宮を建てたのは「康國典大法師」という台湾の方で、四十歳半ばに不治の病を患ったのですが、本尊「三清道祖」のご利益によって一命を取り留め、奇跡的に完治したのです。

この奇跡の恩返しとして、多くの方が「三清道祖」のご利益に預かれる祈願所を建てたいと願っていたところ、夢のお告げがあり、なんと生国の台湾ではなく、なぜか日本の坂戸市に宮を建立せよと告げられたのです。
康國典大法師は驚きながらも、夢のお告げに従い、当時、最寄り駅も無い雑木林を一から整地し、当時の台湾一流の宮大工を呼び寄せ、昭和56年より着工し、15年をかけて平成7年に「聖天宮」を開廟したのです。

建物の名称や方角もまた、全て夢のお告げによるもので、まさに台湾のご利益が集ったパワースポットと言うべき場所です。
入口にある「天門」は、神社の一の鳥居にあたるもので、屋根の彫刻が見事なコントラストを見せ、聖天宮の底知れぬパワーを誇示しているのです。

雅な彫刻

雅な彫刻

写真:Naoyuki 金井

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台湾から呼び寄せた一流の宮大工の真骨頂がこちらの「九龍柱」で、台湾の観音山で取れる高さ5mある観音石の一本柱に施された彫刻です。

龍は、鳳凰や麒麟などといった神使いのなかでも最も力の強いもので、「九」は永久の「久」に結びつく縁起の良い数字といわれていたことから、その強い龍を一つの彫刻に九頭施したのです。これは当時の中国では最高位の神か皇帝しか出来なかったことで、この九頭の龍を許可無く用いれば反逆による死罪になるほど畏れ多い彫刻なのです。
更に、こちらの九龍の爪が5つあるのも畏敬の表れで、日光東照宮の泣き龍の爪が3つしかないのは、当時の中国明王朝に対しての配慮と言われているのです。

こうした龍が聖天宮には、5000頭以上いると言われ、石板に掘られた重厚な龍や、ガラスやタイルで装飾された華麗な龍などを堪能していただく、台湾一流の宮大工の芸術に触れる絶好のロケーションなのです。

異国の聖籤

異国の聖籤

写真:Naoyuki 金井

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九龍柱のある建物は「前殿」と呼ばれ、左右に楼閣が付けられています。
この前殿の作りも見事で、一万以上の部品を釘なしで組まれた天井や4mもある一枚の板から彫られた扉など見所は満載です。

ここで特に味わっていただきたいのが台湾文化です。
日本と違い節目だけでなく、日々占うのが台湾流のおみくじで、台湾では「聖籤(シンシャム)」といいます。
ユニークなのは「聖籤」の引き方で、籤竹を引き、そこに書かれた番号を覚えておきます。
次に太極図を2つに割ったような一対の陰陽を表す「神杯」を投げ、「陰」と「陽」の組み合わせになったら、その番号のおみくじを引きます。
「陽」と「陽」の組み合わせは、もう一度神杯を投げ、「陰」と「陰」の組み合わせは籤竹から引き直すという、「陰」「陽」の組み合わせにならない限り、ずっと神杯を投げ続けなければならないというものです。

日本の神社にはない異国文化を感じられる「聖籤」で運勢を占ってみてはいかがでしょうか。

日常の拝拝

日常の拝拝

写真:Naoyuki 金井

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最後は「本殿」を参拝です。
台湾では参拝のことを「拝拝」といい、線香を焚きながら、日々の報告と共に沢山の願い事をするのが特徴です。
例えば商売繁盛の祈願の場合、商売の内容やお客様のことなど、事細かにご本尊に説明し、更に具体的なご利益を沢山願うため大変時間がかかるので、その分、台湾の線香は日本の3、4倍の長さがあるのです。

線香を供え終わると、今度は本殿のご本尊に向って合掌と拝礼を12回繰り返します。これは十二支を由来としており、拝礼の際は本殿の縁に両手をつけるのですが、男性は手のひらを裏に、女性は表にして礼拝をします。これも道教の陰と陽の関連からのものなのです。

こうした念のいった台湾での参拝は、特別なことではなく日々の生活の一環として行われているものなのです。
このような台湾の文化・風習に触れるのも、ある意味、日本では非日常的空間と言えるかも知れません。
聖天宮で、是非、未知なる台湾体験を堪能してください。

最後に。。。

埼玉県の台湾「聖天宮」のご感想はいかがですか。
現存する道教の祈願所としては最大級の大きさで、台湾でもあまり見ることができない特異な建築や、台湾の文化、風習に浸ることができます。

スタッフの方によれば、参拝でなく観光目的としていらっしゃっていただいても結構ですとのこと。そのような気軽な参拝ができる地であることから、ロケ地としてや一般個人としてのコスプレもOKとなっているのです。

是非、この機会に日本の「台湾」を味わってください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/10/18 訪問

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