リアリティあふれる演出!播磨町の兵庫県立考古博物館で古代を体感

リアリティあふれる演出!播磨町の兵庫県立考古博物館で古代を体感

更新日:2014/10/24 11:56

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
考古学をテーマにした博物館といえば、陳列棚に並べられた埋蔵文化財を単に見てまわるだけの施設であると思っていませんか?実はその先入観を覆した博物館が兵庫県には存在します。兵庫県立考古博物館です。参加体験型の施設として作られた当館では、リアリティに富んだ数々の演出が私たちを古代史の世界へといざなってくれます。今回は兵庫県立考古博物館ならではの演出を通して、古代のロマンにひたってみましょう。

あっ!危ない!無数の矢が飛び交う古代の合戦シーン

あっ!危ない!無数の矢が飛び交う古代の合戦シーン

写真:乾口 達司

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兵庫県立考古博物館のオープンは2007年秋。そのコンセプトは展示物の観覧はもちろん、来館者一人一人に古代の世界を体感してもらうことを目的としています。

たとえば、こちらの写真をご覧ください、あっ!危ない!無数の矢が頭上を飛び交っています!こちらは古代の合戦の様子を再現したコーナー。稲作がもたらされた弥生時代になると、生産力の向上にともない、各地に多くのクニが誕生しました。クニ同士は相争い、やがてより広い地域をおさめる古代王権が誕生します。中国の歴史書『魏志倭人伝』において言及されている倭国の大乱は、その代表的なものといえるでしょう。その争いの激しさが、無数の矢の飛び交うこのコーナーからは伝わってきませんか?

もちろん、矢の先端に取りつけられた鏃が歴史的に発展していく様子も実物の展示によって解説されており、単に見世物としての面白さだけではない実証性も認められます。

頭に角がはえている!?村の祭祀をつかさどっていた巫女

頭に角がはえている!?村の祭祀をつかさどっていた巫女

写真:乾口 達司

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写真は祭祀をつかさどる巫女の祈祷の様子を再現したコーナー。五穀豊穣の祈りをささげるため、巫女が古代に活躍したことを知る方は多いでしょう。しかし、彼女たちがいったいどのような姿をしていたか、ご存知でしたか?こちらのコーナーを見学すると、彼女たちが実際にどのような姿をして、祭祀をとりおこなっていたかがわかります。しかし、頭に鹿の角をつけていたとは驚かされますよね。頭に角をつけるという演出は、巫女が神と民衆とのあいだを媒介する特異な存在であることを民衆に強く印象づけるためだったのでしょう。

古代の海を行き来!巨大な木造復元船ヒボコ

古代の海を行き来!巨大な木造復元船ヒボコ

写真:乾口 達司

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写真は古墳時代の木造船を復元したもの。船名は「ヒボコ」。『古事記』『日本書紀』『播磨国風土記』に登場する朝鮮半島からの渡来人アメノヒボコ(天之日矛/天日槍)にちなんでいます。ベイマツを材料として作られたヒボコの規模は全長11メートル、幅1.6メートル、高さ2.2メートル!

なかでも、注目したいのは船底部と竪板が木で組み合わせられ、船側板の接続にはサクラの皮が使われていることです。木の隙間にはヒノキの皮などが打ち込まれており、水漏れを防ぐ役割をになっています。しかし、なぜ、こんな手の込んだことをしなければならなかったのでしょうか?それは古墳時代のはじめ頃まで、わが国に釘が存在していなかったからです。釘の代わりに樹皮などを活用していたなんて、先人の知恵には脱帽ですね。

古代人になろう!さまざまな衣装が取りそろえられた衣装体験コーナー

古代人になろう!さまざまな衣装が取りそろえられた衣装体験コーナー

写真:乾口 達司

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展示室の一角には、古代の衣装を試着することのできるコーナーも設けられています。コーナーには『魏志倭人伝』などに記されている貫頭衣のほか、当時の巫女や武人、女官らが着用した衣装も多数取りそろえられており、さながら古代にタイムスリップしたような気分が味わえること、間違いありません。子ども用のサイズもあるので、ご家族で古代人になりきってみるのもいいでしょう。

銅鐸や勾玉が続々出現!?発掘体験コーナー

銅鐸や勾玉が続々出現!?発掘体験コーナー

写真:乾口 達司

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展示室とは別に設けられた体験展示室には、何と発掘体験コーナーまで設けられています。制限時間内に砂利のなかから古代の遺物(レプリカ)を発掘するという形式で、事前に予約せずとも、その場で発掘気分を体験することができます。砂利を掘り進めれば、なかから銅鐸や勾玉が続々!あなたも発掘体験で考古学者になった気分を味わってみませんか?

おわりに

ほかにも、埋蔵文化財の整理作業をおこなっている様子を観覧できたり、埋蔵文化財がおさめられた収蔵庫を見学できたりと、考古学ファンはもちろん、一般の人にも充分楽しめるコーナーが盛りだくさん。普段、考古学に関心のない方もこの機会に当館を訪れ、考古学の魅力を再認識してみてはいかかでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/07/08 訪問

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