大空の歴史とロマン!日本の航空発祥の地、所沢航空記念公園

大空の歴史とロマン!日本の航空発祥の地、所沢航空記念公園

更新日:2014/11/11 17:35

Naoyuki 金井のプロフィール写真 Naoyuki 金井 神社・グルメナビゲーター
埼玉県所沢市は、日本人が初めて大空にはばたいた記念すべき街です。
高度10m、距離800m、時間にしてわずか1分20秒という、現在と比較するとまさに取るに足らない記録ですが、明治44(1911)年4月5日に打ち立てられた、この記録こそが、日本の航空の始まりなのです。
今回は、この航空の聖地ともいえる「所沢航空記念公園」をご案内いたします。

プロローグからすでに感動

プロローグからすでに感動

写真:Naoyuki 金井

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目的地に向かうには電車をお勧めします。それは最寄駅である西武新宿線「航空公園駅」がすでにプロローグだからです。
駅構内には「Cafe アンリ−・ファルマン」というコーヒーショップがあります。
この「アンリー・ファルマン」とは、日本で最初に飛行した飛行機ファルマン号の製造者の名前で、航空発祥の地らしく、その名を冠したカフェなのです。

そして降り立った航空公園駅の駅舎自体もまた、日本で最初に飛行した飛行機ファルマン号の2枚の複葉部分を模した建物で、第2回関東の駅百選に選定されている素敵な駅舎です。

更に駅前ロータリーには、戦後初めて日本のメーカーが開発した旅客機「YS-11」の機体が展示されています。昭和37(1962)年8月に初飛行し、182機が製造され世界各国に輸出された日本の誇る旅客機です。
展示されている機体は昭和44年に製造された第101号機で、平成9年の大島−東京便を最後に、総飛行回数58,253回で現役を引退したもので、年に数回、機内公開も行われます。

航空発祥の地にふさわしいプロローグに、早くも感動を覚えること間違いありません。

歴史を作った美しい花壇

歴史を作った美しい花壇

写真:Naoyuki 金井

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航空記念公園には、「沈床茶園」という花壇がありますが、単なる公園の中の美しい花壇ではありません。
この花壇こそが日本初の滑走路で、当時の様子をイメージした、まさに滑走路を飛び立つ「アンリー・ファルマン機」のモニュメントと飛行場跡なのです。

明治44(1911)年4月1日、日本初の航空機専用飛行場がここに完成し、4月5日、徳川好敏大尉が操縦するフランス製複葉機アンリ・ファルマン機が約1分20秒の飛行をし、続いて日野熊蔵大尉がドイツ製複葉機ライト機で3分30秒の飛行を記録したのです。

これが日本における初飛行となるわけですが、実際には少々ややこしいエピソードがあります。
所沢飛行場が完成する前年の12月14日、本来は飛行のための動力テストが代々木練兵場(現在の代々木公園)で行われたのですが、観客の喜び囃したてる声につられ、つい二人の飛行士は飛行してしまい、ここでの徳川大尉および日野大尉を初飛行としているのです。

本来は相互に密接な関係する歴史的なことですが、現在の代々木公園は「初飛行の地」で、所沢飛行場跡地は「航空発祥の地」という、少々ややこしい発祥の地となったのです。

エンジンの中の垂涎の航空機

エンジンの中の垂涎の航空機

写真:Naoyuki 金井

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航空記念公園には、「航空発祥記念館」があります。
飛行機のジェットエンジンをイメージしたような大きな建物で、数々の展示をはじめとして、飛行機の歴史、仕組みなどが学べる博物館です。

中でも圧巻なのが機体の展示で、あのアンリー・ファルマン機を模した日本初の国産軍用機である「会式一号機」をはじめとして、記念碑的なヘリコプター「シルコスキーH19」、戦後初の国産ジェット機「HU-1B」など、一部の機体には搭乗も可能なので、航空ファンならずとも見逃せない展示です。

そしてこの博物館で一番の人気が、ジャンボジェット機や小型機、ヘリコプターの操縦を体験できるフライトシミュレーターで、本物と同じコクピットに座り本格的なシミュレーションが楽しめます。
お子さんならずとも、大人までもが狂喜する姿は、すこし滑稽ではありますが、それだけシミュレーターの人気は根強いのです。

飛行や飛行機に関わるあらゆることが学べますので、時間をかけてじっくり見学することをお勧めします。

偉大なる航空功労者たち

偉大なる航空功労者たち

写真:Naoyuki 金井

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埼玉県内の県営公園としては、総面積50.2haの最大規模の公園には、テニスコートや野外ステージなどもありますが、特筆すべきは園内に点在する数々の記念碑や銅像です。
「航空発祥の地」の記念碑に始まり、日本で最初の航空機死亡事故を慰霊した「木村・徳田両中尉記念塔」、大戦まであった所沢航空整備学校を記念した「航空整備兵の像」などがあります。

特に注目すべきは「フォール大佐像」です。
フランス陸軍砲兵大佐「ジャック・フォール」は、日本が発注した新型のサルムソン2A2偵察機などとともに、大正8年1月63名のフランス航空教育団団長として来日し、約19ヶ月に渡り操縦、射撃、爆撃などの航空技術の指導教育をし、日本の航空界の発展に寄与した恩人ともいえる功績を残したのです。
その功績は、日本のみならずスペイン、イギリス、ロシア、イタリアなどから叙勲されたことからも伺えます。

軍事的目的からとはいえ、フォール大佐の指導によって日本の航空技術は格段の進歩を遂げたわけですから、その偉大なる功績を歴史とともに偲んでいただきたいです。

エピローグはグルメを堪能

エピローグはグルメを堪能

写真:Naoyuki 金井

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航空公園を堪能した後は、航空に纏わるグルメをご紹介します。エピローグは、感動とともにお腹も堪能していただきます。

お店は、所沢での初飛行に先立つ30年ほど前の明治15(1882)年に創業し、130年余の歴史を誇る「割烹 美好」です。所沢市有数の料亭で、先代が日本の洋食の先覚者であったことから、もともとは西洋料理の店「美好軒」として開業いたしました。

美好軒当時は、ジャック・フォール大佐や日本陸軍航空隊御用達の店で、戦後は、湯川秀喜博士や新渡戸稲造氏など多くの著名人が訪れており、映画「黒部の太陽」のロケ地としても有名です。
趣のある中庭には、飛行場よりも、美好よりも古い樹齢200年余の松があり、料亭の格式の高さを伺わせます。

庶民にとっては敷居の高い料亭ですが、数年前からランチを始め、気軽に利用できる料亭として更に人気が高まっています。
一押しは、フォール大佐が好んで食べていた「フォールカツレツ」ですが、異色な「料亭のラーメンセット」も超オススメです。

航空公園散策後、バラエティに富んだメニューとホスピタリティに溢れた老舗料亭の味はいかがでしょうか。

終わりに。。。

日本の航空発祥の地、所沢はいかがでしたか。
大空に懸けたロマンは少し泥臭いものですが、それでも所沢の魅力が薄れることはありません。
今回ご紹介した場所以外にも、所沢航空神社、航空殉難供養塔、ファルマン通りと言った見どころや、日本初の飛行船の焼き菓子「雄飛焼」、ファルマン機が描かれた「飛行機せんべい」など話題はつきません。

航空ファンならずとも、一度は訪れていただきたいロマンの街・所沢に一度足をお運びください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/12/14 訪問

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