湖国・滋賀の『大津祭』驚愕のからくり人形に逢いに行こう!

湖国・滋賀の『大津祭』驚愕のからくり人形に逢いに行こう!

更新日:2015/09/29 14:36

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者
体育の日の前々日が宵宮、前日が本祭りとして開催される『大津祭』。かつては京都の祇園祭のミニチュア版と認知されていたお祭りですが、今では祇園祭の影響を昇華させ独自に発展。江戸時代より交通の要所として栄えた琵琶湖畔の大津ならではの、文化の薫り高いお祭りとなりました。
町衆の心意気が光る絢爛豪華な曳山のすべてに独自の『からくり』があり、訪れる人を魅了します。ぜひ、一度、足をお運びくださいね。

大津祭の『からくり人形』

大津祭の『からくり人形』

写真:SHIZUKO

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大津祭のお楽しみは、曳山に乗っているからくり人形たちを見ること。市内に現存する曳山は13基。そのすべての曳山にからくり人形が設置してあり、それぞれに中国の故事や能・狂言から題材をとったストーリーをからくり仕掛けで演じます。これこそが大津祭の最大の魅力です。このからくり人形が動いて演じることを『所望(しょうもん)』といいます。

例えば『龍門滝山』では「黄河の上流にある竜門山の滝は、どんな魚も上がれないが、もし上がる魚があれば、直ちに昇天して龍になる」という中国の故事にちなみ、鯉が勢いよく龍門滝を登る情景を演じます。このからくりは、国内最古のものです。

また『西宮蛭子山』(上の写真)では、商売繁盛の神様・えびす様が鯛を釣り上げる様子が所望されます。勢いよく泳ぐ鯛が釣りあげられると、観客から盛大な拍手が沸き上がります。

一つ一つのからくりの動きに期待とワクワク感が止まりません。古くから豊かな文化をはぐくんできた大津町衆の文化力の高さを、ぜひ、ご自分の目でお確かめください。

からくり人形が魅せる『所望』を見るには…

からくり人形が魅せる『所望』を見るには…

写真:SHIZUKO

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13基の曳山は、宵宮では町内各所で展示され、本祭りでは、午前と午後に分かれて巡行します。

宵宮では、からくり人形が曳山から降ろされているので、間近に見ることができます。なので、じっくり観たい人は宵宮から参加するのがお勧めです。

本祭り当日は、所望場所を示す御幣を見つけて、そこで待っていれば、必ずからくり人形の演技を楽しむことが出来ます。ただし、午前の巡行場所と午後の巡行場所が違うので、パンフレットなどで確認して、お楽しみください。

そもそも大津祭って…

そもそも大津祭って…

写真:SHIZUKO

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江戸時代から続く大津祭の起源は明らかではないそうですが、『天孫神社』の祭礼の日に、塩屋治兵衛という人が狸の面を被って踊ったところ、人が集まりにぎわったことが始まりだとか。

なので『西行桜狸山』の屋根の上には、狸が飾られ、大津祭の天候を見守っているということです。毎年、巡行順を決めるくじ取式が行われますが、この曳山はくじをひかない「くじとらず」で、必ず先頭で巡行を行います。この『西行桜狸山』では、西行法師が桜の精と問答をする様子が演じられ、桜の枝先に現れる小さな人形が、かがんだりくるっと回ったりする姿はとても愛らしいものです。

いろんな曳山を見ていると、どれも味わい深く、思い入れが強くなってくるものですが、私のお気に入りは『源氏山』。紫式部が石山寺で源氏物語を書いたことを表しているからくりです。13基の曳山から、お気に入りを見つけるのも楽しいですね。

大津祭のもう一つのお楽しみ

大津祭のもう一つのお楽しみ

写真:SHIZUKO

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本祭りの日は、街中の商店や各家々は2階の窓を開け放ち、手すりに緋毛氈をかけ、立派な屏風を立てて曳山を迎えます。その見事な屏風を外から見るだけでも、お祭りに行く価値はあるかもと思えるくらい。

大津祭では、曳山から縁起物のちまきや手拭いが振る舞われ、これも大きな魅力の一つとなっています。地元の顔見知りの方や、お世話をしている人などは、目があえば投げてもらえるようですが、これが観光客にはなかなか入手困難。曳山展示館の横では、かなりの数が投げられますから、そこで待っているともしかしたら手に入るかも。そして、もう一つのポイントは、所望の御幣を建てている家の屋根の下。御幣のある家の2階には、必ず投げ込まれますから、そのおこぼれを狙うというのも一つの手段です。また、どうしても欲しい方は、宵宮の日に各曳山のところへ行けば販売もされています。

じっくりと曳山を楽しむには

じっくりと曳山を楽しむには

写真:SHIZUKO

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お昼には、13基が街の中心部に集合します。なので豪華な装飾品をじっくり見るのにもってこいです。貴重なゴブラン織りの幕をまとっている曳山もありますので、しっかりとチェックしてください。細かな装飾やデザインの素晴らしさに、大津町衆の文化力の高さが現れています。

午前中は紋付き袴の正装で曳山の上にいた人たちは、午後は、派手な衣装にお色直し。祭りの様子も華やかになります。

このお祭りを守り続けるには、相当の財力が必要です。また、近年は曳山を引くのも、地元の方だけでは手が回らず、学生ボランティアや外国人の参加を呼び掛けています。多くの人が参加することで、この素晴らしいお祭りがいつまでも続いていくことを願います。

おわりに

江戸時代から続く伝統ある大津祭。京都の祇園祭の風情を色濃く残しているといわれますが、祇園祭に比べると混雑もさほどではなく、ゆっくりと楽しめます。宵宮から町中に響く祭囃子がとても優雅。13基すべての所望を見るには2時間近く時間がかかります。時間に余裕をもってお出かけ下さい。お昼の時間は所望はありませんので、巡行時間・場所を必ずホームページでチェックしてください。

このお祭りに合わせて、琵琶湖畔では食の祭典の開催されます。お手軽に近江牛など、地元の味も堪能したい方にはおすすめ。併せてご参加くださいね。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/10/12 訪問

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