「ル・グラン・バロン」の標高1,325m地点を経て、周囲の山々を回遊する「山頂への道(Route des Crêtes)」と呼ばれる全89kmの長い坂道は、耐久レースの舞台として余りにも有名です。「ル・グラン・バロン」の名はフランス語で大きなボールの意味。標高の高い山頂は付近は低木樹さえ生えておらず、丸坊主に見えることからついた名前です。
毎年夏には、日本で言う甲子園の高校野球のように、もやはフランスの風物詩となっている「ル・ツール・ド・フランス」でも、この道は山間部コースの見所として度々選ばれています。登るほどに酸素が次第に低くなるこのコースを制覇できるのは、アスリートの誇りです。
(写真は展望台付近の標高を示す表示)
「ル・グラン・バロン」の山頂は、アルザス一気温が低いことでも知られています。最低気温の最高記録は1956年2月の-30.2度、最高気温は2003年8月の29度です。
アルザスはフランス北東部なのにも関わらず、見晴らしの良い瞬間には、なんと雪化粧した美しいアルプス山脈の美しい姿を見ることができます。冬季は雪のため道路が閉鎖されますが、朝焼けや夕焼けに浮かぶ山々は神々しくさえもあります。
「ル・グラン・バロン」頂上付近には、休憩に利用できる展望レストラン「La vue des Alpes」があります。いわゆる土産物が置いてあるカフェテリアですが、地下にトイレもあり、家族またお年寄り連れでの休憩に便利です。付近で飼われている牛や羊達の群れがこの付近を移動する姿に出くわすことも。
展望レストラン近くには、ホテル&レストランが数軒ある他、第一次産業の盛んなフランスらしく、養蜂ハチミツを扱う専門店があります。中でもここは標高が高い山の植物から採れたハチミツ。味や成分が濃く、健康に良いとされています。
アルザス地方特産の野生ビルベリーのハチミツ漬けや、「パンデエピス」と呼ばれるスパイスの効いたカステラのようなフランスの伝統菓子も、寒い地方ならではのお土産です。
「ル・グラン・バロン」とその「山頂への道(Route des Crêtes)」が愛される理由は、トレーニングに適した過酷な山間道だけでなく、その合間に見渡せる周囲の風景の美しさにあります。アスリートにとって、全89kmの坂道を登るのは、まさに自分との戦い。その苦しみを癒し、励ましてくれる大自然は、スポーツを愛する人のみならず、訪れる全ての人達を魅了しています。
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