貴重なあの建物に出会える!六甲山『近代化産業遺産』ツアー

貴重なあの建物に出会える!六甲山『近代化産業遺産』ツアー

更新日:2014/10/18 11:53

SHIZUKOのプロフィール写真 SHIZUKO 舞台演出者
ミナト神戸の北側にそびえる六甲山は、明治以降、居留外国人によってリゾート開発がすすめられ、多くの観光客が訪れる人気の高いエリア。2007年、山上の4つの建物が『近代化産業遺産』に認定されました。阪神間モダニズムの雰囲気を伝える優雅な建物群は、必見です。六甲ケーブル主催のツアー参加すれば、ガイド付きでこれらの建築物を楽しめるだけでなく、ツアーだけのスペシャルスポットに行けるんです。それは…。

アール・デコ調の『六甲ケーブル山上駅』

アール・デコ調の『六甲ケーブル山上駅』

写真:SHIZUKO

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六甲山へは『六甲ケーブル』を使って、一気に山上へ向かいます。
1932年に開業した六甲ケーブルは、約500メートルの標高差を10分でのぼっていきます。到着した『六甲ケーブル六甲山上駅』が一つ目の近代化産業遺産です。開業当時のままの姿をとどめるレトロ・モダンな駅。

外観は円と四角で構成され、乗客出入り口の大きな屋根は左右非対称。2階へ上がる木の階段がとてもおしゃれです。壁に取り付けられているテラコッタ(陶製装飾)のデザインもアール・デコ調。改札口の上の時計は、すごくかわいいので、外に出る前に振り返ってぜひ見てください。

日本最古のゴルフ場『神戸ゴルフ倶楽部クラブハウス』

日本最古のゴルフ場『神戸ゴルフ倶楽部クラブハウス』

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ケーブルの駅を出発して、眼下に阪神間の雄大な眺めを楽しみながら20分ほど歩くと、道は、日本最古のゴルフ場・神戸ゴルフ倶楽部のフェンスに囲まれた道へと変わります。アップダウンのある広々としたゴルフ場に見えてくるのが、ヴォーリズ建築※の『神戸ゴルフ倶楽部クラブハウス』。2つ目の近代産業遺産。自然の地形を生かしたゴルフ場の緑に鮮やかさを添える朱色の壁。黒く大きな寄棟屋根と屋根から延びる白い柱のコントラストが美しい。

ゴルフクラブが開業して28年目に建て替えられたクラブハウスは木造で質素な作りながら、隅々にまでヴォーリズのこだわりと工夫が施されているそうです。会員制ゴルフ場のため、クラブハウスの中は見学できないのが残念です。また、ゴルフ場は危険なので入り込まないで、見学はハイキング道から。

※ウイリアム・メリル・ヴォーリズ/アメリカ生まれの建築家。日本で数多くの西洋建築を手掛けた。教会や大学など、現存する建物も多い。ヴォーリズ建築は、実用性を重視し、簡潔ながら、隅々にまで使う人のことを考えた配慮がなされたデザインが特徴。

ヴオーリズ建築の真骨頂『ヴォーリズ六甲山荘』

ヴオーリズ建築の真骨頂『ヴォーリズ六甲山荘』

写真:SHIZUKO

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クラブハウスを後にして、山道を30分。別荘や保養所などが木立の向こうに見え隠れする道を行くと3つめの近代産業遺産『ヴォーリズ六甲山荘』に到着。関西学院大学の教授・小寺氏の山荘として1934年に建てられました。

木造平屋建ての木の家は、木のぬくもりが感じられるヴォーリズ建築の真骨頂と言える秀逸さ。リビングの壁や暖炉、食堂のインテリア、台所の収納、どれをとっても一つ一つにヴォーリズのこだわりと愛情が感じられます。

リビングルームは、広々としたガラス窓に囲まれた空間。夏の滞在用に設計されているので、風が吹き抜け、現在でもクーラーが必要ない快適さです。このガラス窓を覆う雨戸は? 意外なところに意外な方法で収納されていて、その発想力にびっくりさせられます。ぜひ、ご自身の目でお確かめを。

※4月から11月までの土・日・祝日に一般公開されています。

ツアーでだけ入れる、安藤忠雄設計の『風の教会』

ツアーでだけ入れる、安藤忠雄設計の『風の教会』

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六甲山上近代化産業遺産は、個人で4個所の建物を訪ねるハイキングもいいのですが、六甲ケーブルが主催している『六甲山上モダニズム建築探訪・近代化産業遺産ツアー』に参加すると、本当にこのツアーに参加した人だけが見られる幻の教会ともいえる場所に案内してもらえます。

それは建築家・安藤忠雄の代表作の一つ『風の教会』です。緑豊かな六甲山頂近くにたたずむ小さな教会。風と光を取り入れた簡素で落ち着いた建物です。

残念ながら、この教会は六甲オリエンタルホテルに併設されているため、2007年にホテルが休業してから、自由に見学することは出来なくなりました。でも、ツアーに参加すると、ガイドさんが特別に重いゲートを開け、ホテルの中庭を通って、重い鉄扉を開き、参加者を礼拝堂へと案内してくれます。

礼拝堂へ続く回廊はガラス張り。礼拝堂の中はコンクリート打ちっぱなしの安藤忠雄おなじみの設計。大きなガラス窓の十字の枠が、光を受けて床に十字架を映し出すようになっています。

山岳ホテルの老舗『六甲山ホテル』

山岳ホテルの老舗『六甲山ホテル』

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4つ目の近代産業遺産は、1929年に開業した英国風クラッシックリゾート『六甲山ホテル』。ヨーロピアンな外観だけでなく、旧館の中には、風格あるマントルピースが素敵なロビーがあります。マントルピースの両サイドには、アーチ形の柱があり、太い木を使った柱と壁に囲まれた空間は、優しい空気に包み込まれるようで、とても落ち着きます。また、旧館2階には記念ライブラリーがあります。天井には開業当時のステンドグラスがはめ込まれていますので、ゆったりしたソファーに座って、じっくりとお楽しみください。見学自由なのでお気軽にどうぞ。

旧館の正面ドアの色ガラスや門燈にも、当時のクラッシックリゾートホテルの落ち着きと格調が感じられます。

六甲山ホテルには、バーベキューテラスがありますから、朝から歩いてお腹ぺこぺこの方は、阪神間を見下ろしながらのバーベキューもお勧めです。

ツアー参加で新しい発見を!

六甲ケーブルの駅には『六甲山上近代化産業遺産ハイキングマップ』が用意されているので、個人でゆっくり4か所を回ることは可能ですが、日程が合えば、ぜひ、ツアーに参加してみて下さい。六甲ケーブルの社員でもあるガイドさんが、丁寧にいろんなお話をしてくださいますから、ただ建物を眺めるだけではなく、新しい発見がいっぱいあります。
六甲ケーブル往復運賃に施設入場料、山上バスフリーきっぷ代が含まれて2850円。約4時間のツアーは満足すること請け合いです。春と秋の土曜日に開催されていますので、詳しくは六甲ケーブル下駅にお問い合わせください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/10/11 訪問

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