東京都東端の「葛西臨海公園」でバードウォッチングを満喫しよう

東京都東端の「葛西臨海公園」でバードウォッチングを満喫しよう

更新日:2014/10/31 14:29

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
あの東京ディズニーリゾートと僅か運河一本を挟んだ西隣に、豊かな干潟と森林を有する自然地が広がっています。ここが葛西臨海公園の鳥類園。東京湾では数少ない健全な干潟環境が守られ、渡り鳥として人気の高いシギ・チドリの貴重な飛来地として知られています。

葛西臨海公園というと水族館が特に有名ですが、生の自然を体感したいのであれば迷わず鳥類園へ足を運びましょう。貴重な鳥に出会う機会があるかもしれませんよ?

干潟のバードウォッチングは干潮時間がおススメ!

干潟のバードウォッチングは干潮時間がおススメ!

写真:鷹野 圭

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葛西臨海公園の鳥類園では、水場やヨシ原を囲うように遊歩道が巡らされ、途中に結構な数の観察小屋(木製)が設けられています。のぞき窓からは写真のように間近に干潟を望める場所もあれば、少々離れた高台から広く干潟を見晴らせる場所もあり、バリエーションは多彩です。それぞれ見られる景観や生きもののジャンルも違ってきますので、初めは多少歩いても全て回ってみることをお勧めします。

そんな中で水鳥をよく観察したいのであれば、上の写真のスポットがおススメです。すぐ目の前が干潟ですので、エサを獲るサギやシギ・チドリなどを間近で観察できます。運がいいと、目の前の岩場にカワセミがやってくることも! 距離が近い分、望遠レンズや三脚などの大それた機材がなくても綺麗な写真が撮れますので、どなたでも存分にバードウォッチングを楽しめることでしょう。

ちなみにバードウォッチャーから人気のシギ・チドリは、カモのように水に浮くことができません。そのため、潮の引いた時に干潟の泥を掻き分けてカニやゴカイなどの獲物を探します。つまり観察・撮影の狙い目は干潮時間。毎日の満干潮時間は「干潮 葛西臨海公園」でネット検索をかけるとすぐに出てきますので、出かける前にチェックしておくといいでしょう。これは葛西に限らず、全ての干潟においていえることです。

渡りの時期だけでなく、冬場でもシギの姿が見られる公園

渡りの時期だけでなく、冬場でもシギの姿が見られる公園

写真:鷹野 圭

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写真の鳥はアオアシシギ。通常は春と秋の特定の時期にのみ日本に飛来する渡り鳥なのですが、ここ葛西臨海公園の鳥類園はよっぽど居心地がいいのか、12月になっても姿を見せてくれることがあります。どうやら一部の個体はここで冬越しまでしてしまうようですね。同じように、赤くて長い脚が特徴のセイタカシギという鳥も一部がここで越冬、そして繁殖をしているようです。身体の大きさに反して足が異様に長い(これが名前の由来です)ので、一度見たら忘れられないでしょう。

ここの鳥類園は広くて身を隠す場所も多く、エサとなるカニや小魚も豊富ですので、渡り鳥が定着してしまうこともしばしばあるようです。特にカニは、干潮時に干潟に大量に姿を現し、観察小屋からもその姿を確認できます。その数は、素人では到底数え切れないほど。なるほどこれなら食事に困ることもないだろうと、一発で実感できることでしょう。ここは都会にありながら、溢れんばかりの小動物が支える水鳥の楽園なのです。

水面を埋め尽くすカモ軍団は、冬の葛西の名物!

水面を埋め尽くすカモ軍団は、冬の葛西の名物!

写真:鷹野 圭

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渡りの水鳥というと、シギ・チドリよりもカモ類の方が一般的かもしれませんね。カモは干潟でなくても、それなりに広い水場さえあれば首都圏でも冬場に多数渡ってきます。ご多分に漏れずここ葛西臨海公園でも多彩なカモが飛来するのですが、特筆すべきはその数。写真は2014年2月の鳥類園の光景なのですが、正直これは氷山の一角……池全体の数十分の一程度に過ぎません。実際に足を運べば、池一面を覆い尽くすカモの群れに驚かされることでしょう。

ちなみに写真で写っているカモはすべてホシハジロといい、赤茶色の頭部と真っ赤な目が特徴の冬のカモです。毎年この葛西臨海公園・鳥類園に大群で渡ってくるのですが、その個体数は数千、いや数万羽とも言われています。首都圏でこれほどのまとまった群れを成す飛来地はそうそうなく、貴重なスポットとなっています。

また、これらのカモを狙い、オオタカやチュウヒなどの食物連鎖の頂点に立つ猛禽類が毎年のように鳥類園に飛来しています。もしカモ達の動きが慌ただしくなったり一斉に飛び立ったりしたら、空に注目。貴重な猛禽を観察できる格好のチャンスです。

園路沿いの林にも目を向けて、小鳥を探してみよう

園路沿いの林にも目を向けて、小鳥を探してみよう

写真:鷹野 圭

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水辺を囲うように巡らされた園路は、左右を高中木の樹林帯に囲まれています。鳥類園を一周する間、常に両サイドを木々に挟まれる形になるため、夏場には森林浴にうってつけ。そしてこの林は、干潟とは打って変わって陸上性の小鳥たちの楽園です。園内を散策するのは結構な時間を要しますし、せっかくならさえずりや木の葉を揺らす音に耳を澄ませ、鳥を探しながら歩いてみましょう。

写真はアカゲラといい。最近首都圏ではあまり見かけなくなってしまったキツツキの一種です。ここではキツツキらしく高木の上で幹を突く姿を割とよく見かけますが、素早く移動するため観察は困難。撮影ともなるとそれこそ運次第です。木の葉の生い茂った夏よりは、落葉の終わった冬場の方が見つけやすいので、狙うならば10月下旬から3月頭くらいまでがいいでしょう。この時期は冬鳥として飛来するアオジやシロハラ、アカハラ、ウソ、シメなどの小鳥も同時に見られますので、なおさらおススメです。

ちなみにシロハラとアカハラは、地面に降りて落ち葉を掻き分けながらエサを探していることが多い模様。樹上だけでなく、地表付近も意識しながら鳥探しを楽しみましょう!

【à la carte】空・緑・花・海の調和する美景観

【à la carte】空・緑・花・海の調和する美景観

写真:鷹野 圭

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バードウォッチングを堪能した後は、公園全体をぐるりと歩き回ってみるといいでしょう。双眼鏡で、離島のバードサンクチュアリにいる鳥を探してみるもよし。あるいは「海沿いの自然地」というここならではの景観を見て回るのもよし。広い公園だけに楽しみ方のバリエーションも豊富です。

写真の奥に見えるのは、展望台を兼ねた公園のシンボル「クリスタルビュー」。360度ガラス張りの異色の建物で、公園や東京湾を広く見渡せることはもちろん、被写体としても優秀です。青空とのコントラストが特に美しいのですが、時期によってはポピー(春)やコスモス(秋)といった花がアクセントとして加わります。多彩な色の融合した景観美をお楽しみください。

広い公園ですので、移動する時には「パークトレイン」がおススメ。写真に写っている汽車型の乗り物です。公園全域を回っていますので、万遍なく園内の景色を楽しみたい時にピッタリでしょう。一周の移動距離は3km強。時間は25分程度です(大人1回300円)。

【最後に】公園のお楽しみがすべて詰まったスポットです

●鳥類園
●バードサンクチュアリ
●水族館(葛西臨海水族園)
●バーベキュー広場
●砂浜
●草原
●観覧車などの遊具
●レストラン
●展望台

……などなど、ザッと思いついたものを並べてみただけでも、これだけのコンテンツが葛西臨海公園にはあります。たっぷり余裕のあるスペースに多彩なお楽しみ要素が詰まっていますので、1日たっぷりと時間をかけて園内を全て回りつくすといいでしょう。最寄駅(東京から電車1本)の目の前というアクセスの良さもメリット。気軽に足を運べる、充実の総合都市公園です。とりわけ「自然」の純度が高いので、鳥類園は特におススメ! シギ・チドリを中心に、春夏秋冬とコンスタントに水鳥の暮らしを観察できますよ。

【アクセス】
JR京葉線「葛西臨海公園駅」より徒歩1分(目の前)

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/12/24 訪問

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