写真:乾口 達司
地図を見る俵藤太のムカデ退治でも知られる三上山。御上神社はそのふもとに鎮座しています。「みかみ」という呼び名が共通していることや両者の位置関係からも推察できるように、御上神社は三上山を御神体としています。
祭神は天之御影命。御上神社由緒略記によると、天之御影神は金工鍛冶の祖神である天目一箇神であるとされており、事実、社紋も釘抜紋が使われています。孝霊天皇の時代に天之御影命が三上山の山頂に降臨したのがはじまり。奈良時代に入り、現在の地に社殿が造営されました。
写真は御上神社の横にそびえる三上山。その形状から「近江富士」の愛称で親しまれています。
写真:乾口 達司
地図を見る本殿は、現在、国宝に指定されており、その造営の時期は鎌倉時代と考えられています。構造は三間四方の一重入母屋造・檜皮葺で、正面に向拝一間がとりつけられています。
写真:乾口 達司
地図を見る本殿で注目したいのは、外壁に見られる漆喰の壁や連子窓。これらは仏堂にしばしば見られるものであり、御上神社本殿が仏堂建築の要素と神社建築の要素とを融合させた独特の建築であることを指し示しています。その構造的な特徴から「御上造」と呼ばれることもあります。
写真:乾口 達司
地図を見る背面にもまわってみましょう。ご覧のように、中央に扉がとりつけられていることがわかりますね。
現在の本殿は三上山に向かって建てられてはいませんが、扉を開け放つと、参拝者は本殿を通して御神体である三上山を直接拝める形となることから、以前の本殿は三上山の遥拝所としての性格を強く持っていたことが推察できます。
写真:乾口 達司
地図を見る背面とともに目を向けていただきたいのは、柱を支えている足元の縁束石。縁束石には反花の彫刻がほどこされており、優美な印象を見るものに与えます。細部まで手を抜かない当時の職人の心意気がしのばれますね。
ちなみに、正面右端の縁束石には「建武四年」(1337年)の銘が刻まれており、縁まわりや向拝はこのときに改修されたと考えられています。
写真:乾口 達司
地図を見る国の重要文化財に指定されている楼門は三間一戸の構造。室町時代初期に造営されました。長い年月により、楼門の失われた神社も数多くありますが、滋賀県では楼門の残る神社が比較的多く存在しており、県外の人には珍しいと感じられるはず。御上神社に参拝する人は、楼門・拝殿・本殿が一直線に並んでいるさまに圧倒されることでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見るこちらは本殿と楼門との間に位置する三間四方の拝殿。以前の本殿で使われていた部材を再利用しており、各所にその痕跡をとどめています。
拝殿も国の重要文化財となっています。
写真:乾口 達司
地図を見る拝殿の向こうに見えるのが、御神体の三上山。境内では拝殿の西側からはその雄姿を目にすることができますが、その様子からは、御上神社がいまでも御神体の三上山に見守られて鎮座していることがうかがえるでしょう。
写真:乾口 達司
地図を見る最後にご紹介したいのは、境内に安置されている太鼓。その表面をご覧ください。何やら人物の頭部が写っているように見えませんか?人によっては髭を生やした神さまの姿に見えるという方もいらっしゃいます。
神さまの顔?偶然の賜物?ご自身の目でぜひお確かめください。
御上神社にはまだまだ見るべきものがたくさんあり、今回、ご紹介した建造物以外はご自身の目で実際にご覧いただくのがよいでしょう。近江国随一の霊峰を御神体とする古代の祭祀の形態を色濃く残した御上神社。当地に参拝し、古代の雰囲気を残したその由緒に触れてみてください。
住所:滋賀県野洲市三上838
電話番号:077-587-0383
拝観料:無料
アクセス:JR野洲駅より徒歩20分
2023年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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(2024/4/19更新)
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