河童に天狗!?兵庫県福崎町「辻川山公園」で妖怪ウオッチング

河童に天狗!?兵庫県福崎町「辻川山公園」で妖怪ウオッチング

更新日:2020/07/29 14:52

塚本 隆司のプロフィール写真 塚本 隆司 ぼっち旅ライター
河童(かっぱ)や天狗(てんぐ)が実在する公園がある。兵庫県神崎郡福崎町の「辻川山公園」は、池から河童が現れ、天狗が宙を舞う。子どもが驚き後ずさりするほどリアルな妖怪たちを、ひと目見ようと連日多くの人が訪れている。
園内には『遠野物語』『妖怪談義』などの著者で民俗学者・柳田国男の生家や記念館があり、最寄りの福崎駅にも河童が出現するようになった。
福崎町は新たな「妖怪の聖地」として脚光を浴びている。

柳田国男もビックリ! 「河童の町」兵庫県神崎郡福崎町

柳田国男もビックリ! 「河童の町」兵庫県神崎郡福崎町

写真:塚本 隆司

地図を見る

播磨平野のほぼ中央に位置し、古くから市川や生野銀山と姫路を南北に結ぶ生野街道、加西市北条から夢前町へと東西に抜ける北条街道が交わる要衝だった福崎町。なかでも「辻川(つじかわ)」と呼ばれる地域は大いに栄え、ノスタルジックな町並みが今もわずかだが残っている。

妖怪伝承の研究家でもあり『遠野物語』や『妖怪談義』などを執筆した民俗学者・柳田國男(1875〜1962年)は、この地で生まれ育った。自身の人生を振り返った著書『故郷七十年』に福崎町に伝わる河童の伝承があることから、福崎町内の辻川山公園を中心に妖怪をモチーフとした町おこしに力を入れている。

柳田国男もビックリ! 「河童の町」兵庫県神崎郡福崎町

写真:塚本 隆司

地図を見る

過去に5回、妖怪の造形作品を募集する「全国妖怪造形コンテスト」が開催された。優秀作品はモニュメントにして設置し、妖怪にちなむベンチも登場し、今では「河童の町」「妖怪の町」とし、新たな「妖怪の聖地」として注目を浴びている。

柳田国男もビックリ! 「河童の町」兵庫県神崎郡福崎町

写真:塚本 隆司

地図を見る

妖怪ベンチは福崎町内随所に設置され、2020年7月現在で14カ所。毎年増え続けている。福崎駅から妖怪ベンチを巡りながら辻川山公園へと散策するルートマップも作成され、まち歩きが楽しめる。
写真は、辻川山公園に住む油瓶をさげた妖怪「油すまし」。

池の中から河童!大人も子どもも大はしゃぎ

池の中から河童!大人も子どもも大はしゃぎ

写真:塚本 隆司

地図を見る

柳田國男の著書『故郷七十年』によると、福崎町を流れる市川に「ガタロ」と呼ばれるいたずらものの河童がいたようだ。駒ヶ岩あたりに住み、近くを泳ぐ人から尻子玉(しりこだま)を抜いて溺れ死にさせたとか。毎夏一人くらいは亡くなったというから怖い話だ。

この伝承をモチーフにして、2匹の河童の兄弟、河太郎 (ガタロウ)と河次郎(ガジロウ)が生まれた。兄のガタロウは、頭の皿が乾いてしまって池のほとりで固まっている。

池の中から河童!大人も子どもも大はしゃぎ

写真:塚本 隆司

地図を見る

弟のガジロウは、皿が乾かないように水の中に住んでいる。池にかかる橋を通る人を、驚かそうと顔を出すそうだ。時間には律義なようで、毎日9時から17時までの間、毎時0分・15分・30分・45分に各3回出没する。

動画:塚本 隆司

地図を見る

池の中から水面を突如ゴボゴボと泡立たせ現れる河童。石橋の上から出現を待っていた人でさえ、後ずさりをしてしまうほどの迫力が見ものです。
石橋の下には子河童が隠れている。

天狗が宙を舞う辻川山公園の空

天狗が宙を舞う辻川山公園の空

写真:塚本 隆司

地図を見る

池から顔をのぞかす河童に続いて登場するのが、これまたリアルな天狗。高いところにある小屋の扉が「ギギギッ」と開くと、宙づりの天狗が現れる。

天狗が宙を舞う辻川山公園の空

写真:塚本 隆司

地図を見る

筋骨隆々とした赤く大きな体に大きな翼。長い鼻に大きな口。まさしく天狗だ。なにやらかじりついているのは、福崎町の特産品「もち麦どら焼き」。きっと大好物なのだろう。ちなみに、このどら焼きは公園内にある「もちむぎのやかた」で売られている。

天狗も律義者で現れる時間が決まっている。毎日9時5分から17時5分までの間、毎時5分・20分・35分・50分。河童と微妙にズレている。なにやらぶつくさと独り言を放つので、それも楽しみにしたい。

JR福崎駅前でも河童が出現!

JR福崎駅前でも河童が出現!

写真:塚本 隆司

地図を見る

辻川山公園の最寄り駅はJR播但線福崎駅。辻川山公園との間には、清流市川の眺めとどこか懐かしい町並みが残っているので、まちなか散策はおすすめだ。徒歩で30分ほどの距離があるが、2019年10月に「福崎町駅前観光交流センター」がオープンし、レンタサイクルの貸出がある。

この福崎町駅前観光交流センターは、観光拠点としての役割はもちろん、休憩場所としても利用できる喫茶スペース「tiny kitchen」や土産物の販売、2階はコワーキングスペースになっている。
(レンタサイクルは辻川山公園近くにできた「福崎町辻川観光交流センター」でも借りることができる)

JR福崎駅前でも河童が出現!

写真:塚本 隆司

地図を見る

駅前交流広場に水の入った円柱がある。辻川山公園で池の中から顔を出すカッパのガジロウが、ここにも現れる。
こちらでは、ガジロウの全身が拝める。ガジロウは、秘密の地下トンネルを通って辻川山公園との間を行ったり来たりしているので、ここでは毎日7時7分〜20時7分までの間、毎時7分・22分・37分・52分に現れてくれる。

JR福崎駅前でも河童が出現!

写真:塚本 隆司

<福崎町駅前観光交流センターの基本情報>
営業時間:9時〜20時
休館日:年末年始

福崎町・辻川山公園の基本情報

住所:神崎郡福崎町西田原1038-12
電話番号:0790-21-9056(福崎町観光協会)
開園時間:無休(河童と天狗の登場は9時〜17時)
料金:無料
アクセス:
(車)中国自動車道・播但連絡道「福崎IC」福崎北ランプ下車、約1キロメートル。カーナビゲーション設定は「もちむぎのやかた」
(電車)JR播但線福崎駅下車、徒歩約25分、タクシー約10分

2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2018/10/20−2020/07/19 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -