ジョージア(グルジア)の秘境!山頂に建つツミンダ・サメバ教会

ジョージア(グルジア)の秘境!山頂に建つツミンダ・サメバ教会

更新日:2018/05/08 09:42

Chanos Mayaのプロフィール写真 Chanos Maya トラベルコンサルタント、ワイナリーツアーアドバイザー
ジョージアってどこ?という方も多いかもしれません。ジョージアはコーカサス地方の旧ソ連国家で隣は黒海、北はロシアと接し、紀元前8000年からぶどうが生産された世界最古のワイン生産地でもあります。そんなジョージアのロシア国境まであと10キロのカズベキ村にあるのが、プーシキンが「雲に支えられ空中に浮かんでいるようだ」と讃えたツミンダサメバ教会。絵葉書のように美しく静かな魅力にあふれる教会をご紹介します。

ジョージアの知られざる絶景教会までの道のり

ジョージアの知られざる絶景教会までの道のり

写真:Chanos Maya

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首都のトビリシからツミンダ・サメバ教会のあるカズベキ村までは「ジョージア軍用道路」を北上します。この軍用道路はロシアのウラジカフカスまで伸びる全長210キロの街道で、19世紀初めに帝政ロシアが軍事用に建設したもの。いかめしいのは名前だけでトビリシから教会までの約160キロの道中は素朴でどことなく懐かしさを感じる、牧歌的なヨーロッパの原風景が広がります。

見逃せない!ジョージア軍道沿いの世界遺産

見逃せない!ジョージア軍道沿いの世界遺産

写真:Chanos Maya

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トビリシから車で約30分。ジョージア軍用道路沿いにあるムツヘタの街。この地にキリスト教が伝わった4世紀頃からジョージア正教会の総本山となった場所で、今でも信心深いジョージアの人々の心のよりどころです。

ムツヘタにある3つのキリスト教関連の建造物が世界遺産として登録されています。ムツヘタの街を見晴らす丘の上に立つ、ジュヴァリ聖堂もその一つ。ジュヴァリとはグルジア語で十字架の意。ジョージアにキリスト教を伝道した聖ニノがこの場所に木製の十字架を立てたという言い伝えがあります。

さらに北上を続け、トビリシから70キロほど走ると湖が見えてきます。トビリシの水源となっている人造湖(ダム)のほとりの教会は17世紀に建てられた「アナヌリ教会」。石でできた教会の壁面には十字架の彫刻がきれいに残っています。

一面が羊、ひつじ、ヒツジ!!軍道に広がるウールのじゅうたん!?

一面が羊、ひつじ、ヒツジ!!軍道に広がるウールのじゅうたん!?

写真:Chanos Maya

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ジョージア軍道をさらに北へ向かうと、グルジア有数のスキー場グダウリや、小さな村を通過します。また軍道の最高地点・2395mの「ジュヴァリ(十字架)峠」を越えます。お天気がよければここから美しい渓谷の景色を楽しむことができます。ここでいう十字架は11世紀のジョージアが、当時ちょうどこのあたりだったイスラム教国家の北オセチアとの国境を示すために立てたということに由来します。

時には地面が見えなくなるほどの数の羊たちに出会うことも。その様子はまるで羊のじゅうたんのよう。

山の上の教会「ツミンダ・サメバ教会」

山の上の教会「ツミンダ・サメバ教会」

写真:Chanos Maya

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ジョージア軍用道路をたどってトビリシから北に157キロ、ロシア国境まであと10キロ弱。途中の見どころに立ち寄りながら、トビリシから車で4〜5時間。ツミンダ・サメバ教会のあるカズベキの村があります。

なぜこんなところに?と誰もが驚くような場所にあるこの教会。標高2170mのクヴェミムタ山の山頂に14世紀に建てられたグルジア正教の教会です。コーカサス山脈の中でも標高が高いカズベキ山(5034m)が背景に迫り、緑に覆われた山の上の秘境の教会はジョージアのシンボルです。

宗教弾圧があったソビエト時代にはその弾圧から遺物を守るため、ジョージア各地の教会のイコンやムツヘタのジュヴァリ聖堂の木製十字架まで、大切な聖遺物が一時的にここで保管されました。このことからもツミンダ・サメバ教会のある場所が秘境であるということがうかがえます。

山の頂上から人々を見守る教会

山の頂上から人々を見守る教会

写真:Chanos Maya

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教会への入り口はとても小さく、また窓も少ないため、内部は薄暗くなっています。10人も人間が入ったらいっぱいになってしまいそうなくらい小さな教会です。3人いるという教会の聖職者さんが小さなドアのそばに座って、訪れる人を迎えています。

入り口を入って正面の壁面には、三位一体の神のフレスコ画がかけられています。他に古いフレスコ画のイコンも4枚。グルジア正教会を伝道した聖ニノのイコンの前には旅人達がおいていった、たくさんのネックレスやブレスレット、ブローチなど貴金属が集まっています。信心深いジョージアの人たちや旅人がいろいろな思いを込めて、身に着けているアクセサリをこの教会に残していくのです。これらのアクセサリはそれぞれの人の心の一部として、この険しく尊い場所からそれぞれの人を見守ります。あたりの山の厳しい環境とは正反対の静かで穏やかな教会です。

すっきりと晴れた日には、教会のある頂上からは緑のじゅうたんが広がったようなカズベキのパノラマが望めます。ため息がでるほどの感動の絶景はお天気次第。晴天を祈りましょう!

ツミンダ・サメバ教会へのアクセスと見学の際のご注意・・・

ロシアと国境を接し、長らく紛争の影響を受けてきたグルジア。そんな地にある山の上のツミンダ・サメバ教会。頂上からはかつての情勢が嘘のように穏やかな景色が広がります。派手さの一切ない石づくりの素朴で小さな教会ですが、静かな魅力にあふれています。
鮮やかな緑の芝、時々残る白い雪、険しい山々・・・美しい自然美に囲まれた絶景教会へぜひお出かけください。

<ツミンダ・サメバ教会へのアクセス>

・トビリシからジョージア軍用道路で教会のふもとの街カズベキまで約160キロ。車で片道約4〜5時間の距離です。
・カズベキ村に到着したら4WDに乗り換え、クヴェミムタ山の荒い山道を30分。
(トレッキングをしながら山頂を目指すことも可能です。その場合山頂までは2時間程度です)
・トビリシからの日帰りが可能。
・カズベキ村への途上に見どころも多く、道路標識はジョージア語のため信頼のできる現地旅行会社を通して車の手配をすることをおすすめします。

<見学の際の注意点>

・残念ながら教会内の写真撮影はできません。
・ノースリーブ、短パン、サンダル履きで教会に入ることはできません。また女性はスカーフを頭に巻いて入るのが好ましいです。
(女性は教会の入り口で巻きスカートを借りて、それを着用する必要があります。)
・ご自身のアクセサリを教会においていく(寄付する)場合には、聖職者の方に必ず一声かけましょう。喜んで受け取ってくれるでしょう。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/20−2014/05/26 訪問

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