時間が無くても安心!広大な伊勢神宮を日帰りで巡るポイント

時間が無くても安心!広大な伊勢神宮を日帰りで巡るポイント

更新日:2014/10/03 10:36

2000年に亘り日本人の「心のふるさと」といわれ、皇室の御祖神をお祭りする伊勢神宮は、皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)の両宮をはじめ、14の別宮、109の摂社、末社、所管社、合わせて125社の総称です。その敷地の広さは、何と伊勢市の1/4を占めます。
この広大無辺な神宮の謎に満ちた核心部のみをもらさず参詣する際の見どころをそっとご紹介します。

まずは神宮の要の外宮・豊受大神宮へ

まずは神宮の要の外宮・豊受大神宮へ
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古来より内宮、外宮の順に行なう習わしとなっている日本最大・最高の聖地参りはJR、近鉄の伊勢市駅が起点となります。

駅前広場から真っ直ぐに伸びる参道を約10分歩いたところにある豊受大神宮は「御饌都神(みけつかみ)」と呼ばれ、神々にたてまつる食物を司る神として、私たちの主食である米をはじめ衣食住全般の守護神としてあがめられてきました。

この豊受大神は、この伊勢の地に皇祖神がご鎮座するに際して極めて重要な役割を持っていた神格で、古代の丹波国(今の丹後)から遷御されたこと。伊勢に来て、まずここにお参りする習わしには、何か深い意味がありそうです。

社殿の規模、建築様式とも内宮とほぼ同じ神明造り・桧の白木を用いた切妻、平入りの高床づくりですが、次項でのべる内宮正殿との差異は、千木の形と鰹木の数。そして社殿の配置です。この違いを自身で確かめながら参詣してください。

外宮の御饌殿(みけでん)では、ここで毎日の朝夕2度、天照大神を初めとする神々に、忌火屋殿(いみびやでん)で古式にのっとって切り出した清浄な火で調理した御饌を奉るお祭りをご遷座以来ずっと継承してきました。

境内南方の小丘には豊受大御神の荒魂(あらみたま)を祭る多賀宮と、外宮の本来の地主神の大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)を祭る土宮、そして神風伊勢と呼ばれる由縁となった風の宮があります。
これらは、外宮参りのセットとして是非訪ねましょう。

五十鈴川の川上にある皇大神宮(内宮)の見どころ

五十鈴川の川上にある皇大神宮(内宮)の見どころ
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外宮から約5km、五十鈴川の川上に位置する皇大神宮は、のんびり歩くのも楽しいものですが、持ち時間の少ない人はタクシーを利用しましょう。
五十鈴川に懸る100m余りの反り橋・宇治橋を渡るとがらりと雰囲気が変わります。ここから玉砂利を踏みしめ、大杉の林立する長い長い参道を歩いていくと、おのずと心が洗われありがたさで満たされてきます。

年間1500にも及ぶ祭礼をこなす神宮は、すべてこの国の原点である稲作りを軸として行われてきました。
ここは、神域全体が、本来目には見えないものを儀礼化や秘匿することによって、何か偉大なものがあたかもその場に現前するように演出された巨大な舞台。
2000年の長きにわたって洗練を加え、国を挙げて創り上げた国民統合の共同幻想装置はさすがに見事なものです。

また、20年に一度行われる式年遷宮は、8年という年月をかけて粛々と準備を進めるもので、全国津々浦々からさまざまな勤労奉仕に携わった者たちは、一様に心身のバランスを恢復させるという浄化作用を味わうことになります。

この身体行為こそが、密教、キリスト教における順礼の旅、あるいは神道系の天理教、PL教団におけるひのきしん、おじばがえりと同じく宗教文化の中でも祈りという行為に次いで崇高なものです。

この遷御の儀は、社殿の作り替えのみにとどまらず、装束から調度品もすべて新調されるもので、神職をはじめ一般の人達、そして匠(たくみ)たちの情熱がすべてこれに向けてそそがれていきます。

この本宮のほか、境内南の小橋を渡ったところにある風日祈宮(かざひのみのみや)は、鎌倉時代に蒙古軍を撃退した神威により別宮に加えられました。外宮の「風の宮」同様、是非お参りに加えてください。

運がよければ奉納舞が見られることもある参集殿と舞楽舞台

運がよければ奉納舞が見られることもある参集殿と舞楽舞台
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宇治橋を渡って広い参道をしばらく行くと左手に参詣者の休憩所の参集殿があります。ここには能舞台が設けられており、運がよければ奉納舞をみることができます。

また参集殿の参道を隔てた右側には舞台が設けられ4月28〜30日、9月22〜24日の彼岸には公開舞楽が演じられます。

※写真は演じられていた大蔵流の奉納狂言「福の神」

伊勢神宮のすべての宮に共通する必見ポイントは心御柱

伊勢神宮のすべての宮に共通する必見ポイントは心御柱
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20年に1度の式年遷宮に向けてすべての事象がそそがれていく神宮の最重要ポイントは、遷御の儀以後旧地に残される心御柱(しんのみはしら)です。
「朝日・夕日の来向かう国」(倭姫命本記)と語られた伊勢の太陽信仰の痕跡を伝えるこの柱は、内宮・外宮とも日の東西線に一分の狂いもなく建てられたことが示されており、まさに宇宙樹そのものです。

和建築の原形を伝える大社造では、社殿の中央にまず棟柱を立てて屋根をつくるので、神は柱が邪魔して参詣者と対面することができません。
神明造りではその欠点を補い、社殿の中央の掘立柱を切って床下の高さにし、棟を支える柱を外に出して棟持ち柱としました。

この中央の棟柱の名残が心の御柱です。社の中でも最も神聖なものとされ、神社解体の際にも手を触れずそのままに残されます。

そして、20年目に新しい宮が立てられる時になってはじめて心の御柱は新しいものに取り換えられるのです。

この心の御柱の柱を立てる際には、禰宜以下5人の神人のみで深夜、終始沈黙のまま執り行なわれ、立て終わるとすぐに周囲に柵を施して、何人たりとも触れたり見たりすることができないようにしてしまいます。

先年の遷御の後、内・外宮それぞれの古殿地には覆屋におおわれた心の御柱が残されていますが、これこそが伊勢神宮の秘中の秘なのです。

ちなみに、戦国時代になると天武持統以来続けられてきた遷宮の儀が動乱のため、内外宮とも120年余りの間実行不可能になり、天正13(1585)年に式年の儀が再興されたときには、古式の制度がかなりな程度不明になっていました。
この神宮が現在のように整備されたのは明治以降のことです。

※写真は外宮の古殿地に残され覆屋の中に納まる心御柱

内宮前のおはらい通りでのお土産は深煎り伊勢茶がおすすめ

内宮前のおはらい通りでのお土産は深煎り伊勢茶がおすすめ
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伊勢神宮の秘跡をたどる旅を終えるにあたっては、イベント企画の面白い神宮前のおはらい通りの半ばにあるおかげ横丁を駆け足でのぞくことをおすすめします。それから、全国どこに行っても似たりよったりの観光みやげを買うのはよして、おはらい通りにもどり赤福本舗前のお茶と抹茶スイーツの店・翠(すい)で、この土地ならではの伊勢茶を買って帰りましょう。つめ放題の深煎り茶を茶筒に倍以上詰めてもらう間、スイーツのお濃茶氷+ソフトを食べながら達成感に満ちたひとときを振り返りましょう。

・みょうこうえん 翠(SUI)

水曜日定休 午前10時〜午後5時
お濃茶氷+ソフト 650円

おわりに

今回は、一度では決して制覇できそうにない伊勢参りのへそを押さえるONE DAY TRIPをご紹介いたしましたが、このベーシック伊勢参りの次は、ぜひ猿田彦神社、倭姫神社にトライしてみてください。
この両者こそが伊勢神宮の秘密を握っており、その神社へ詣でて、内宮、外宮で受け止めた列島史とはまた異なる流れのあることを確かめていただきたいと思います。

「ローマは一日にして成らず」、神風伊勢の国ひとつを辿っても、万世一系と言われてきたわが国の歴史にも百流あることがみえてくれば、いよいよ旅は面白くなってきます。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/22 訪問

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