スペインの荒野にそびえる名建築「サンタ・マリア・マグダレナ教会」

スペインの荒野にそびえる名建築「サンタ・マリア・マグダレナ教会」

更新日:2014/09/29 11:04

小林 理沙のプロフィール写真 小林 理沙 日本語教師、翻訳家
地中海に面したスペイン・アリカンテ市から内陸へ約26km、人口2万5千人の町「ノベルダ(Novelda)」に広がる荒野の岩山の上に、ガウディ建築の「サグラダ・ファミリア」を彷彿させるような教会が建っています。
小さなこの町の「サンタ・マリア・マグダレナ教会」は、実はガイドブックにも滅多に登場しない建築史的にも価値のある建物です。
そして、この教会には世界的にも「稀少な楽器」があるんです!

山の上から町を見守る教会

山の上から町を見守る教会

写真:小林 理沙

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サンタ・マリア・マグダレナ教会(Santuario de Sta. María Magdalena)はノベルダの中心地から4km行った山の上にあります。緑が少ないために晒されている山肌の土色と同色系統で、ゴツゴツとした壁面も手伝い教会と山が一体化しているようにも見えます。しかしながら、遠目にも二つのそびえる塔が際立ち、存在感をアピールしています。

ちなみに、写真で教会の左隣に見えるのは、昔の修道院を改築した観光案内所です。そして、左奥にちらりと覗くのがラ・モラ城という城跡です。お城はムワッヒド朝によるイスラム統治時代の12世紀に建てられました。

なんと繊維技術士が建てた教会!

なんと繊維技術士が建てた教会!

写真:小林 理沙

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ノベルダ出身のホセ・サラ・サラは若い頃からバルセロナを州都とするカタルニア州で学問を修めました。滞在中、ガウディを始めとするカタルニアの「モデルニスモ建築」に影響を受け、故郷に教会を作りました。1918年に工事が着工し、1946年に完成しています。

こんな立派な建物を造ったホセ・サラ・サラですが、驚くことに、建築士ではなかったんです!彼は繊維から糸や布をつくる過程を担う技術士でした。

建物の正面であるファサードにそびえる2つの塔は高さが25mあります。塔の頂点に見える石でできた十字架はファサードのアーチの上、クーポラ部にもあります。この装飾の多いファサードは中世、バロックの影響をだけでなく自然界からの影響も受けています。外壁を飾るのもアリカンテ県を流れるビナロポー川の石なんです。まさに自然と融合した建築物です。

形も大変珍しい!

形も大変珍しい!

写真:小林 理沙

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教会は「聖女マグダラのマリア」が祀られており、マグダラのマリアがキリストの足に香油を塗ったという伝承から「香油壷」の形をした建物をとっています。この点でもガウディ建築「サグラダ・ファミリア」と共通しています。

通常、キリスト教の教会は真上から見ると十字架の形をしていることが多いため、香油壷の形を取っているのは大変珍しいのです。ちなみに香油壷の形を取った初めての教会がサグラダ・ファミリアです。

ノベルダとゆかりある教会

ノベルダとゆかりある教会

写真:小林 理沙

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石で覆われた重厚な外部からは想像が難しいほど内部はこじんまりとしています。

スペインの国、各市町村は守護聖人を持っており、聖人の日は地域の祝日となり地域をあげてのお祭りが行われたりします。ノベルダの守護聖人は聖女マグダラのマリアのため、この教会は住民に親しまれています。生後間もなく行われるキリスト教徒の洗礼の儀式や、結婚式を挙げたりなどの人生の門出を祝う場として選ばれることが多いのです。

世界最大の大理石製パイプオルガン

世界最大の大理石製パイプオルガン

写真:小林 理沙

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そして、教会に置かれた世界的にも珍しい「ある楽器」とは、「大理石のパイプオルガン」のことなんです。これは、完成すれば大理石製のものとしては世界最大!

現時点では未完成のため、模型が飾ってあります。オルガン界の革新者であり芸術家のイバン・ラレア(Iván Larrea)によって着々と制作が進められています。

制作途中の大理石のオルガンですが、教会内に置かれてあります。教会の管理人さんにお願いすれば、「カノン」などの曲を自動演奏で聞かせてもらうこともできます。

おわりに、

今回ご紹介した「サンタ・マリア・マグダレナ教会」は、このような建築ファンならずとも注目のポイントがあるにも関わらず、ガイドブックには滅多に登場しないレアスポットです。

都会の喧噪から逃れ、観光客もめったに来ない静かなところに行ってみたい方も是非ノベルダまで足を運んでみましょう!

掲載内容は執筆時点のものです。

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