秋は、黄金色に思わずため息が出る美しい田園風景。
十日町市の南西部、松代地区は県内でも有数の豪雪地帯です。厳しい冬を乗り越え、山菜が出るころ、豊富な雪解け水が流れだし、おいしいお米を生み出しています。
一体どんなふうに、この起伏にとんだ田んぼが生み出されたのでしょう?山間地で平地が少ないため、人々は山を切り開き、傾斜を利用して棚田を作り出しました。
現在、この棚田米づくりに携わっている農業者の平均年齢は、75歳です。30ヘクタール、200枚ほどの田を約15名で耕しているということです。いつまでこの景観が保たれるのかは、耕す農家さんにかかっているといえます。美しさの根底には、たゆみなく田を守り、耕し続けてきた人たちの存在があります。
条件がそろえば、早朝、荘厳な雲海のなかに棚田をのぞむことができ、その絶景をとらえようと多くのカメラマンが訪れています。観光化されていないからこその、日本の暮らしのなかにたゆたう、原風景の美に出会えます。
星峠から南にくだると、福島集落となります。渋海(しぶみ)川ぞいに、のどかな田園がひろがっています。
歩くにも、ドライブにもおすすめです。
江戸時代の商人、鈴木牧之の『北越雪譜』のなかで、渋海川についての記述があります。冬場、凍った渋海川の氷が割れてごうごうと流れる様子を花見のように鑑賞した、という内容や、春、何百万の蝶が川沿いに上手へ登っていく様子が記されています。
情緒あふれる風景散策ができますよ。
十日町駅から歩いて20分のところに、「道の駅クロステン」があります。『テン』には、十日町の「十」と10の市町村が合併したこと、『クロス』には、着物づくりが有名なことから布の「クロス」、人や産業が交差する、という意味がこめられています。
この道の駅には、十日町市の特産品のほか新潟県のお土産品を販売するお店、多目的スペース、カフェがあり、のんびりと時間を過ごせます。
地場産の野菜やお米を使ったメニューを提供している、「manma and cafe ユキマツリ」さんでは、地域自慢の魚沼産のお米が食べられます。
有機栽培された魚沼産玄米ごはんの定食はお腹にやさしく、滋味あふれるものです。付け合せの汁物は、数種あり、自分でついでお代わりできます。
ほかに、県内産米粉を50パーセント使用した「醤油どんそば」は新しいご当地グルメとしてお店の名物になっています。地場野菜と一緒においしくいただけます。大きな窓が開放的な明るい店内で、ランチをこころゆくまで楽しんでください。
松之山地区に湧き出す温泉は、国内に多くみられる火山型ではなく、「ジオプレッシャー型温泉」と呼ばれる特殊な温泉です。
火山活動で海であったところが陸となり、地中に閉じ込められた海水が湧き出しています。約800年〜1200万年前の海水で、海水の化石ともいわれています。強い塩分で湯冷めしにくく、薬効が高いと知る人ぞ知る温泉スポットになっています。
ここでご紹介したいのが、温泉と民芸味の宿「白川屋」さんです。ちょっと変わった「おっぱい風呂」に入れます。おっぱいの形をした石から温泉が流れでています。温泉のミネラルで石が白っぽく染まっており、臨場感あふれています。見た目にも癒される温泉で、心も体もぽかぽか、疲れもとれますよ。館内は、民芸というだけあって、日本の昔小物がそこかしこに見られ、しっとりと落ち着いた雰囲気でくつろげます。日帰り入浴もできるので、立ち寄りにおすすめです。ただし、土日祝日は、お客さんの状況によっては入れないこともあるので、事前にお問い合わせくださいね。
あたたまったら、生活に溶け込んだ、落ち着いた雰囲気をもつ松之山温泉街の散策もおすすめです。名物の笹だんごを売るお店やお土産やがあります。
星峠の棚田には、「星峠の棚田 管理基金」募金箱が設置されています。入ったお金は、集落へ還元されます。棚田を見て感動したら、その気持ちをぜひお返ししてみてください。
棚田と松之山温泉へのアクセスは、車かタクシーがおすすめです。JRほくほく線まつだい駅から棚田へは車で20分、松之山温泉へは15分です。松之山温泉へは、駅からバスが出ています。星峠への場所については、十日町市観光協会の案内ページをご覧ください。
春の水はりしたての田んぼの麗しさ、夏の緑のすがすがしさをへて、秋は小麦色の稲穂が美しく、また新米の時期でもあります。豊かな自然と、そこに住む人々のたゆまぬ営みによって生み出されたものを、ぜひ味わってください。
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