写真:鮎川 キオラ
地図を見る愛媛県今治市から広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」が、サイクリストの聖地と呼ばれる理由。それは、「最高の舞台が用意されているから」と言えます。
青い海と大小様々な島が浮かぶ美しい風景を見渡せる橋の上は、まさに海の道。潮風を感じながら走れば、さながら空中散歩しているみたいに爽快です。橋の上から眺める絶景、島へ下りればカーブを曲がるごとに目の前に現れる穏やかで美しい島の風景に出会えるのです。
そして、その風景を安心して楽しめる走行サイクリングロードが整備されているだけでなく、サイクリストがより快適に過ごせるサービスが充実しています。
例えば、しまなみ海道沿道には、民宿やガソリンスタンドなど約40ケ所ほどのサイクルオアシスと呼ばれる休憩所があります。休憩はもちろん、給水やトイレとして利用できるのです。また、ほとんどの観光スポットには、自転車専用スタンドが設置されています。さらには、パンクなどもしもの時に駆け込める「島走レスキュー」もあるので安心。
写真は、大三島・伊東豊雄建築ミュージアムにある自転車専用スタンドとなります。最高の見晴らしに設置されたアートな自転車スタンド。こんな粋な演出にも「ようこそ!しまなみ海道へ」「ウェルカム!!サイクリスト」を感じることができます。
しまなみ海道沿道には、自治体が運営するレンタサイクルターミナルが15ケ所もあります。沿道の各島内に1ケ所以上設置されている充実ぶり。レンタル料も1日500円からとお手頃設定。有料(1,000円)ですが、別のターミナルへの乗り捨ても可能なので利用しない手はありません。
自転車の種類は、ママチャリから本格的なロードレーサータイプまでいろいろあります。自分の体型と自転車旅の目的に合わせて選びましょう。ファミリーなら、チャイルドシート付の電動アシスト(4時間800円)や二人乗りのタンデム自転車(1台500円)。一人で自転車に乗れるお子さんなら、18〜24インチの子供用(1日300円)まであります。レンタル料金には、ヘルメットの貸出も含まれています。
しまなみ海道でレンタルされている自転車の数は約500台ほど。すべてが貸し出し中となってしまうのは、GW期間くらいとのことです。この期間は事前予約も制限されるので、早いもの順で借りることになります。GWやお盆などの大型連休は、午前中10時までに借りるのがおすすめです。
二人乗りのタンデム車は、写真のように両足がちゃんと地面に着かないお子さんは利用できません。借りる前に、体型にあっているかスタッフが点検してくれますので、その指示に従いましょう。
今治から尾道までのしまなみ海道のサイクリングロードは、約70kmと言われています。さて、どんなコースだと思いますか?
ここで多くの方の最大の誤解が1つあります。車と自転車が全て同じ道を走行しません。自動車が走るしまなみ海道こと正式名称「西瀬戸自動車道」は、尾道ICから今治ICまでの距離は、約60kmとなります。そう、サイクリングロードの方が、10kmほど距離が長いのです。それは、全て同じ道を走るのではなく、橋を渡ったら、沿道の島に下りて、島内を走り、また橋に登るを6回繰り返すのです。
サイクリングロードとしている70kmには、ブルーの線が引かれているので、その線を辿っていけば、必ず目的地(今治市または尾道市)へ到達できます。このコースは、高低差の一番少ない初心者推奨コースとなります。
この70kmコースは、本気ライダーなら、2,3時間で走破してしまうそうです。でも初心者には、70kmの距離を本当に走破できるか不安ですよね。70kmはあくまでも、寄り道なしの距離となります。各島の見どころを巡ると、100〜130kmくらいの走行距離になります。1日だけの完走を目指さず、1泊または2泊して時間に余裕をもって臨んでください。
瀬戸内海の絶景が楽しめる憧れの自転車旅。最初の難関は、橋へと登るループでしょう。橋までの高低差40mほどのループを登らなくてはなりません。しまなみ海道は、爽快サイクリングのイメージがありますが、この苦行(?)を乗り越えるからこそ、最高な気分を味わえるんです。山登りと一緒です。走破するならこの登りを6回経験することになりますが、その分6回爽快な下りを経験できるのです。
陽光にキラキラ輝く瀬戸内海を眺めながらの下りは最高のご褒美です。
写真:鮎川 キオラ
地図を見るしまなみ海道を走りきることは、初心者にはハードルが高いのですが、時間に余裕をもって行程を決めれば、決して難しくはありません。車で走り抜けてしまったら見過ごしてしまったかもしれない風景や、島の人のおもてなしに触れることができます。走破したことが記念にもなるので、ぜひ挑戦してみてください。
でも、ちょこっとだけサイクリスト気分を味わえれば充分と言う方は、全長4kmの来島海峡大橋を渡ってみてはいかがでしょうか。高さ70mの橋の上から見る瀬戸内海の絶景は、しまなみ海道一番の景勝地と言えます。自転車の種類と台数が豊富なレンタサイクルターミナルのひとつ「サンライズ糸山」を起点にして行けるところまで行って、もう一度戻ってくる「1日だけサイクリスト」になってみましょう。
しまなみ海道のある瀬戸内海国立公園は、国内第1号の国立公園として昭和9年に指定されました。2014年、80周年を迎えます。
穏やかな海と緑豊かな大小さまざまな島々が織りなす多島美。近年は、その美しい自然と近代アート作品がコラボした独特の景観まで楽しめます。「この景色好き♪」と自分の五感が喜ぶ場所を見つけたら、自転車を停めて、心ゆくまでその景色を堪能できるサイクリングの旅。感じたままに、マイベストスポットを見つけてくださいね。
しまなみ海道の「好き」が見つかる、旅のヒントにMEMO欄の記事も合わせてご覧ください。
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(2024/3/29更新)
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