世界遺産「清水寺」の七不思議を巡る!最大の謎はやっぱりこれ!

世界遺産「清水寺」の七不思議を巡る!最大の謎はやっぱりこれ!

更新日:2014/09/08 17:33

清水寺にはいくつもの見どころがあり、その中に、七不思議と呼ばれるスポットがあります。清水寺に行ったことがある人はたくさんいても、七不思議を見て回ったという人は、意外と少ないんですよね。「行ったことがあるからもういい」のではなく、七不思議を巡ってみるのはいかがでしょう?そんな七不思議をご紹介。舞台ばかりじゃない、また違った清水寺の表情が見えてきますよ!

仁王門をくぐる前にちょっと待って!「仁王門前の狛犬」と「仁王門カンカン貫き」

仁王門をくぐる前にちょっと待って!「仁王門前の狛犬」と「仁王門カンカン貫き」
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長い参道を上がってくると、美しい朱塗りの門が目に飛び込んできます。これが仁王門。訪れたかたは「やったー!」と駆け寄り、すぐさま門の写真を撮るため、この手前にいる狛犬の不思議に気づきません。

七不思議その1
狛犬というのは通常「阿吽」すなわち「阿形(あぎょう)」と、口を閉じた「吽形(うんぎょう)」で一対を成すもの。ところが、ここはどちらも「阿」「阿」と口を開けているわけです。実は、奈良東大寺の南大門北側の狛犬も「阿阿」型。「阿吽」でなければいけないという決まりはないんだそう。「阿」は宇宙や万物の始まり、「吽」は宇宙や万物の終わりという意味。五十音でも「あ」で始まり「ん」で終わりますね。これもその意味。「阿吽」で完結するわけです。すべての始まりを意味する「阿」の狛犬が二匹並んでいると、まるで「ここから何かが始まりますよ」という、壮大な入り口に思えてきますね。

七不思議その2
その狛犬を抜けると仁王門が近づいてきます。この仁王門(赤門とも呼ばれ重要文化財)の右側端っこをじっくり見てください。指でくりぬいたような穴が開いていて、これが表側と、門をくぐり抜けた裏側にあります。これは片方に耳をあて、もう片方を誰かが叩くと「カンカン」と透き通った音が聞こえてくる。なぜこれが作られたのか、なぜこんな澄んだ音色が聞こえるのかは謎。中と外での合図として使われたのでしょうか。あくまでも想像でしかありませんが、ぜひその音色を聴いてみてください。

艶やかさも見どころ「六本柱の鐘楼」と龍が並ぶ「三重塔の鬼瓦」

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七不思議その3
仁王門をくぐったら左手へ向かいましょう。桃山様式の美しい鐘楼が見えてきます。ここで七不思議。鐘楼は普通4本の丸柱で支えるのですが、ここは6本柱になっているんですね。謎解きをしてしまえば、この梵鐘が通常よりも大きく重たいため、それを支えるのに柱を増やしたのだとか。フタを開けてみれば謎でも何でもないように思えますが、鐘楼としては珍しい建てかたなので必見。しかも「四方転び」と言って、この柱は内側に向けて斜めに建てられているのです。これで大きな鐘をしっかり支えていました。

七不思議その4
重要文化財でもあり、日本最大級を誇る清水寺の三重塔。塔の四隅には通常「鬼瓦」が設置されるのですが、なぜか東南角だけは「龍」が飾られているんですよね。鬼瓦は厄払いの意味を持ちますが、龍は水神であることから火除けの意味。実は京の都全体をに目を向けると、京都で一番標高の高い西北の愛宕山には、火伏の神が鎮座。都を火災から守っていました。しかし正反対の東南には守り神がいません。そこで最大級でもある三重塔の東南角に龍を配し、火除けとしたのです。説明を聞けば合点のいく話ですが、知らずに訪れるとなぜかどの階層も東南だけ屋根が龍になっているので、とても不思議です。

夜な夜な抜け出る岸駒の虎「虎の図・石灯篭」と弁慶の足跡!?「仏足跡」

夜な夜な抜け出る岸駒の虎「虎の図・石灯篭」と弁慶の足跡!?「仏足跡」
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七不思議その5
清水寺西門の石段を下がったところにある灯篭。ここには正面に虎が彫られており、どこから見てもその虎と目が合う、いわゆる「八方睨みの虎」があります。虎を得意とする絵師「岸駒(がんく)」によって、江戸時代後期に作られたもの。この虎が夜な夜なこの灯篭から抜け出し、池の水を飲みに行くのだとか。あまりにも見事な彫り絵だったために、そんな言い伝えが残ったと言われています。近くまで見に行くと、その眼光の鋭さにギョッとさせられるに違いありません。

七不思議その6
朝倉堂の前には一尺七寸(約50cm)という、大きな足型が刻まれた石があります。こんなにも大きいのですから、足形は弁慶のものとする説が有力でした。しかし平家の武将・平景清(たいらのかげきよ)のものとする説も飛び出します。弁慶の方が個人的には、ロマンを感じるのですが、平景清の足がここまで大きいのなら、逆にどんな風貌だったのか、ちょっと知りたくなりますね。

そして種明かしをしますと、お釈迦様の両足をかたどったもので、いわゆる仏足石だったのです。これはこれで、またロマンを感じますね。拝めばどんな大罪や穢れも消滅すると言われています。また、足腰に不自由のあるかたは、足形をなでた手で足腰の痛い箇所をさすりましょう。治るという言い伝えがあるんです、ありがたい!

やっぱりこれでしょう!清水寺最大の謎・「清水の舞台」

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七不思議その7
樹齢400年のケヤキの大木を使って作られ、しかも釘を使わずに組み立てられた大舞台!一度組んだら決して外れず、この手法を「地獄組み」と言うのだそうです。舞台部分は雨ざらしになっているので、水はけをよくするためにゆるい傾斜がつけられています。舞台に釘などの金属が使われなかったのも、錆による腐食を防ぐためなのだとか。様々なところに工夫が凝らされ、高い技術力を誇る建築。この舞台作りへの魂を感じますよね。

それなのにいつ、何のために造られたのか、どんな逸話があるのかなど諸説あり、多くの謎は残ったまま。例えば弁慶と牛若丸が戦ったのは五条大橋ではなく、この舞台だったという説もあります。山の中腹にご本尊様が安置されているため、お詣りのために順番待ちをする場所という話も。また、清水寺の南西一帯は鳥辺野と呼ばれる、京都三大墓地。当時は土葬や風葬が多く、この舞台からご遺体を投げ捨てていたという説。墓地一帯の澱んだ空気を避けるために、13mもの高さを要したのだという説まであるのです。

飛び降りて命があれば大願成就するという庶民信仰、若い女性が傘を開いて飛び降りる。これが成功すれば恋愛成就。失敗しても極楽浄土が待っている、という言い伝えがあり、昔は多くの人が実際に飛び降りたのだそうです。天空にせり出す形でたたずむ舞台は、そこに立つだけで宙に浮いているかのような錯覚。「清水の舞台から飛び降りる」なんて言うと、決死の覚悟に思えますが、その浮遊感覚に思わず足を踏み出してしまった、という人もいたのではないでしょうか。何とも言えない、摩訶不思議な場所です。

おわりに

七不思議というと、ミステリースポットを思い浮かべる方も、多いかもしれません。しかし、清水寺の七不思議は現代から考えると、たしかに不可解で謎。でも当時ではきっとそれが普通だったり、謎ではなかったのではないかと思うのです。人の神仏との関わりかた、未来永劫へ馳せる思い、日常の習慣など。超常現象などではなく、生活に根付いた何かがそこにはあったのです。

例えば現代ならコンセントのあるカフェ、線路など、当たり前のようにある便利なモノ。でも数百年後に見たら、「何に使ってたの?」と不可思議でしょうね。平成の七不思議だと謳われて、未来の人気スポットになっていたりして。現代のあなたの身の回りと照らし合わせながら、清水寺の七不思議を巡ってみると、当時の生活習慣が、スッと蘇ってくるかもしれません。解けない謎を自分なりに、解釈してみるのも面白いかも!?
(どれを七不思議とするのかは諸説あります)

*現在、清水寺一体は大改修を行っております。訪問された時期によっては、工事中で見られない建物もありますので、ご注意ください。工事は平成30年終了予定となっておりますが、定かではありません。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2014/08/14 訪問

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