マニアックな紅葉スポット巡り!八王子で大人による芸術の秋を堪能

マニアックな紅葉スポット巡り!八王子で大人による芸術の秋を堪能

更新日:2015/12/01 17:24

八王子(東京都)で一番有名なスポットはおそらく高尾山です。
一方で市内全域で紅葉を楽しむことができるということは、市民しか知らない事実であり勿体無いところでもあります。そして市内いたるところ、104基も興味深い彫刻があることは意外と知られていません。今回は中でも、紅葉の景観が良い場所に設置されている彫刻を抜粋して紹介したいと思います。ちょっとマニアックでローカルな紅葉巡りはいかがでしょう?

彫刻家・北村西望も楽しんだ片倉城跡公園を堂々巡り

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まずローカル紅葉巡りをするにあたって、最初に訪れて頂きたい場所は国道16号線沿いにある片倉城跡公園です。
昭和50年代、「市内の街頭や公園に彫刻を」という大号令を元に八王子は彫刻のある街づくりを推進していきました。かの北村西望もこの公園を気に入り「浦島-長寿の舞」と呼ばれる作品の展示場として自ら選定した過去があります。昭和57年の除幕式では「彫刻は三千年も保ち、年代に負けない。三千年も大事にしてもらえることはありがたい」と語ったそうです。

この公園の面白いところは、彫刻広場というスペースに19基もの様々な作品が立ち並んでいるところです。写真のものは「土田副正」作の「春を感じて」という作品。コンセプトは見える範囲は女性の体でありつつも、内面的に優しさ、柔らかさを表現したものです。
紅葉の景観と相まって、なんとも心温まる空間を作り出しています。
他にも年をとった男性の顔、重みを表現した「貌」という作品や非常に抽象的な作品である「風景-海」という作品がありますので、一つ一つ、そのコンセプト、景観全部を含めて観覧すれば倍楽しめることでしょう。

※八王子市片倉町2475

どんな場所にも、街中にも見所のある景観はある!探すのは自分次第

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写真の彫刻風景は、多摩芸術大学名誉教授である工藤健の「集いの詩」です。
昭和58年にすぐ近くにある「風に立つ」と呼ばれる作品と共に作製されました。トロンボーンを弾いているようですが、片手に丸い玉を携えた少し不思議な雰囲気をもった作品です。この近辺には小学校や中学校があり、この彫刻が置かれている場所も通学路上にあります。
観光地の紅葉に負けず劣らず、鮮やかな色を楽しませてくれるスポットです。

※八王子市南大沢4−72

生活形態、文化を縮図したものを彫刻に形を変え残す!

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続いてオススメする紅葉が綺麗な彫刻設置スポットは、西八王子駅から東南方向に徒歩10分のところにある富士森公園です。
陸上競技場、テニスコートなどスポーツ施設が充実しており、さらに地元最大規模のイベント、八王子まつりの際には花火会場や出店が立ち並び、四季を通して市民の交流の場になっています。

さて気になる写真の彫刻は小林亮介の「風祭」です。
秋収穫の前に豊作を祈るのが風祭り。彫刻は祭りに必要不可欠な太鼓をモチーフにしたもので、本体から出ている三本の角のようなものは、人々の願いを表現したものです。この場所は、春には桜並木に包まれ、秋には黄金色に輝きとても鮮やかな景観を形成します。それが彫刻の意図である、豊作を祈る、という部分と重なりとても興味深い風景になります。是非、足を運んで欲しい場所の一つです。

※八王子市台町2−2

風に溶け込む人々の思いを表現した「風の標識NO.2」!

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先ほどの風祭りと同じく、富士森公園内にある白御影の彫刻です。
こちらは昭和51年に大成浩が作製したもので、風は自然のリズムであり、標識を通って様々な方向に進む。そして、その風には人々の様々な思いが溶け込んでいて、その流れを表現した作品となります。
こちらも同様、紅葉の季節には綺麗な景観と彫刻のマッチングした風景を楽しませてくれます。この彫刻は遠目に見ることをオススメします。遠くで見ると近くで見た時と違い、まさにコンセプト通り、風(自然)の流れが感じることができると思います。なんとも見る角度によって印象が変わる面白い彫刻です。

無限尽くしの彫刻!?超絶ローカル紅葉巡り

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八王子の南郊外、多摩ニュータウンに富士見台公園はあります。
当公園は名前の通り、晴れた日には遠く富士山まで見渡すことができる眺望の良い公園です。行き方は、京王相模原線南大沢駅より京王バス「京王堀之内駅(首都大南大沢北経由)」行で「富士見橋」で下車すれば到着することができます。まさに地域住民交流の場で、部外者からすればそうそう立ち寄らないローカルでマニアックな場所になります。

ですが、ここにも面白い彫刻と景観はあります。
それが「無限’88」という作品。
八王子は数字の8をことあるごとに使用する傾向があるので、この彫刻のタイトルはまさにうってつけだったのでしょう。8という数字はメビウスの輪から分かる通り、永遠や無限という意味で使われることがあります。さらに円も同じ理由で使われ、この彫刻の真ん中に空いた空間は無限と円を合わせた表現であり、そこから見える自然もまた然りということでしょう。そしてそこから見える紅葉は何だか、普通の紅葉とは違った、別の何かに見えてきませんか?哲学的な方にオススメのスポットです。

※八王子市下柚木905−3

最後に

今回の紅葉スポットは様々な彫刻と相まって、面白い景観が形成され、創造的な考え方ができる場所です。彫刻家が何か表現したいものを作り、設置者がその見た目や意図を解釈してどこに置くか頭を働かせる。そして完成した景観を、どこかの誰かが観て、前二人の意図を認識できるか、はたまた見当違いな方向に創造力を働かせるかはその人次第です。今年は、見るという結果の部分だけではなく、過程である、なぜそこに紅葉があるのか、なんて思考的でマニアックな紅葉巡りはいかがでしょう?きっと、考える紅葉の方が楽しいですよ!

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/11/15−2012/12/08 訪問

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