京都観光地のど真ん中にディープな秘宝館?「壱銭洋食」

京都観光地のど真ん中にディープな秘宝館?「壱銭洋食」

更新日:2014/09/05 12:56

けいたろうのプロフィール写真 けいたろう 旅するグルメライター
京都のイメージと言えば、上品ではんなりとしていて、しっとりと妙なる雰囲気が一般的。オシャレな街なんていう印象もあるかもしれませんが、人が暮らす街の印象はもちろんそんな画一的な物ではありません。

京都は大都市であり、妖しい雰囲気も存在し、どうしようもなく下品でとにかく楽しいというようなスポットも存在します。
今回は、妖しい雰囲気でカオスな雰囲気を醸し出しているスポットを紹介したいと思います。

「壱銭洋食」へのアクセス

「壱銭洋食」へのアクセス

写真:けいたろう

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お店の場所は、京阪の祇園四条駅を降りて、鴨川を背に四条通を東へ向かった所にあります。
わかりやすく言うと、もう少し歩を進めるとそこは有名な八坂神社です。
八坂神社への参道であり、観光客であふれ、お土産屋さんや甘味屋さんが連なった、いかにも京都の風景というような四条通の北側に、突如異彩を放つお店が現れます。夜ともなると、異様とも言える雰囲気です。

壱銭洋食を味わう

壱銭洋食を味わう

写真:けいたろう

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この異様な雰囲気のお店。何屋さんかというと、店名にもなっている『壱銭洋食』屋さんです。壱銭洋食というのは、『一銭洋食』とも表記され、大阪では『キャベツ焼き』という名前で売られているお好み焼の原型というか簡易版の様なもの。
水溶きの小麦粉にキャベツや天かす、玉子なんかの具材をドバっと入れて鉄板で焼いた料理で、庶民的な食べ物で、大阪では140円ほどのリーズナブルな価格で売られています。

怪しげな雰囲気はとりあえず見なかった事にして、勇気を持ってお店に入って席に座ると、「一枚焼きましょか?」と店員さんに声を掛けられます。
この声を掛けるタイミングや雰囲気が、何というか老舗独特の粋な感じでけっこう小気味いいです。ちなみに、こちらのお店は名前の通り、壱銭洋食がメインメニュー。
卓上には妙に装丁の立派なメニューが置いてありますが、見開き1ページしかなくて、その唯一の紙面に壱銭洋食の写真が見開きぶち抜きで、ドドーンと掲載されています。基本的にメニューはこれしかありません。他にはドリンクとか、甘味がちょっとある程度です。

注文してしばらくすると、壱銭洋食が運ばれきます。
中には、小さな賽の目に切られた甘辛コンニャクやネギや紅ショウガ、牛スジなどの小さい具材がたっぷり。ちょっとスパイシーで甘酸っぱいソースは、半熟卵と絡めて食べるとマイルドな印象に変わります。粉ものにソースとなると、ビールとの相性が良くて、女性でもペロッと1枚食べられます。

壱銭洋食の真の名物は他にあり

壱銭洋食の真の名物は他にあり

写真:けいたろう

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さて。
ここまで壱銭洋食の料理の方を紹介してきましたが、このお店の真の魅力は、これからです。このお店、冒頭で触れましたがカオスです。店内の壁に絵馬が掛けてあったり色々とオブジェがあるのが認識できますが、ひときわ目立つ存在があることに気付くハズです。お店に入るとお客さんの中に、身じろぎ一つしない方々がいるのです。

こちらの方々、なんとマネキンです。首からネームプレートを下げており、恐る恐る覗き込むと『サクラ 黒木瞳』なんて書かれています。このサクラというのは、店が繁盛しているのを演出する、あの偽客のサクラですね。サクラの役割に反して店が繁昌している雰囲気というより、不気味な雰囲気を醸し出しています。なお、名前は他にも、鈴木京香とか藤原紀香など、女優さんの名前を騙っており、言いたい放題です(笑)。

数え上げるとキリのない突っ込みどころ

数え上げるとキリのない突っ込みどころ

写真:けいたろう

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店内のサクラに目を取られ、一旦ハシの動きを止め、見なかったことにしていたお店の様子を観察し始めると、それはそれは大量の突っ込みどころが満載されていることに気が付くでしょう。
まず、お店の壁に掛けられていると思っていた絵馬ですが、これが何とほぼ全てエロ(笑)です。
テイストは、あくまで陽気で開放的な秘宝館的なノリですが、店のそこここに日常生活ではお目に掛かれないレベルで、ご陽気エログッズが置いてあります。
※やむを得ず、画像には一部モザイク処理を施しております。

結局何なのかよく分からない物体の数々

結局何なのかよく分からない物体の数々

写真:けいたろう

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お店には他にもとにかく物が多く、何やら古めかしくてノスタルジックな物やら、じっくり観察しても、やっぱり何だかよく分からないグッズが、店の内外のあらゆるところに置いてあります。
なんでも、こちらのお店はかなりの老舗で、昔は普通のお店だったそうで、この界隈で育った人にとっては「小さい頃から慣れ親しんだお店」ということになるそうです。
それがいつの頃からか、『来てくれたお客さんを退屈させないように』と、色々な物を置いていった結果、現在のような秘宝館テイストあふれるお店になったとのこと。

ある意味上級者向け京都スポット

温泉地などにある秘宝館も、観光客により楽しんでもらおうと思い、過剰なサービスで変な方向へ向かった結果の産物ですが、壱銭洋食のなりたちも秘宝館と同じです。

美しい寺社仏閣だけが、素晴らしいスポットとは限りません。ちょっと暴走しちゃったB級スポットも、人間味あふれる愛すべき存在だと思います。初々しく八坂神社にデートで訪れたカップルが間違えてお店に入っちゃったら気の毒ですが、承知の上で八坂神社の帰りに立ち寄ると、2つのスポットの持つ、雰囲気の振れ幅の大きさで京都旅行のいい思い出になるハズです。

八坂神社の後の食事といえば、円山公園の平野家で『いもぼう』が定番ですが、「壱銭洋食」いかがですか?

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/08/05 訪問

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