写真:Ise Shinkurou
地図を見る石山寺のご本尊「如意輪観音菩薩」は、聖徳太子の念持仏(個人が身近に置き朝夕お勤めをするための仏)で、747年聖武天皇の勅願によりこの地に安置され、西国三十三所巡礼の第十三番札所として悠久の時を刻み続けています。
まず最初にご紹介したいのは寺の入り口にあたる「東大門」の仁王像。何と東大寺・金剛力士像他多くの仏像を彫り上げた、鎌倉時代を代表する仏師「運慶」の作品です。
睨みを聞かした怖い表情を持ち、今にも動き出しそうな仁王像は、全身から千年の時の流れを醸し出しながら、山門を通る人々の心を引き締める存在感があります。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る入母屋造・瓦葺きが美しい「東大門」は、1190年源頼朝の寄進によって建てられ、安土桃山時代には豊臣秀吉の側室「淀殿」が、豊臣家の繁栄と我が子・秀頼の無事を祈って大修復を施しました。
当寺は安産・良縁・厄除け等の御利益がありますので、まさに戦国の女性の悲哀と願いが籠った門とも言えます。ここにも石山寺ならではの歴史があるのですね。
そしてまっすぐ山深くまで伸びる参道では、春は桜、秋は紅葉が参詣者を優しく包み込むように迎えてくれます。季節の移ろいと刻まれた歴史を感じながら霊場へとお入り頂ける素敵な参道です。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る境内にあるほとんどの建物は「硅灰石(けいかいせき)」と呼ばれる、特別な岩石の上に建っており、これが石山寺と呼ばれる所以でもあります。
石灰岩と花崗岩が熱に反応して出来る硅灰石は、日本国内ではほとんど見る事が出来ない貴重な岩石。さらにこれほど大きな岩石は、学術的にも貴重な物で、国の天然記念物に指定されています。
そしてこの石の庭園と日本最古の木造多宝塔が創り出す景観は、目を見張るほど美しく、11月になるとさらに紅葉の彩りが加わり、この世の物とも思えないほどの素晴らしさ!千年、いえそれ以上の時をタイムトリップして頂けますよ。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る平安時代、子孫繁栄を願った藤原道長は、特に当寺への帰依が深く、後に天皇となる健やかな子どもを授かります。この出来事が「石山詣」がさらに盛んになるきっかけとなり、多くの老若男女の信仰を集め、蓮如堂・観音堂・毘沙門堂など様々なお堂があります。
そして筆者が特にお勧めしたいのが、校倉造りの「経堂」の下にある「安産の腰掛石」。筆者は何度も訪れ石の上に座るのですが、帰り道には常に不思議な出来事に出会います。懐かしい人に出会ったり、探し求めていた焼き物に出会ったりと、ご利益は安産だけではないのですね。経堂の下に座ると、全ての御経を挙げる事になるのでしょうか?
本堂の横から岩の階段を少し登った場所にありますので、素敵なご縁と出会える事を願って心静かに石の上に座ってみて下さいね。
写真:Ise Shinkurou
地図を見る本堂にある「源氏の間」では、紫式部が十五夜の月を眺め、源氏物語の構想を思いついたとされています。室内には十二単に身を包んだ人形が置かれ、美しい女性が筆を走らせている往時の様子を垣間見る事が出来ます。
また先にご紹介した参道沿いには淳浄館(じゅんじょうかん)と呼ばれる美しい日本庭園を持つ建物があります。そこでは期間限定(例年9月〜11月)ではありますが、54歩で読む「源氏物語」の企画展が催され、お子様にも分かりやすい挿絵付きで「源氏物語」を紹介しています。古文は苦手と言われる方にも、きっと気に入って頂ける素敵な平安絵巻です。
またこの庭園も、東大門と同じく「淀殿」ゆかりの美しい庭ですので、源氏物語を読まれた後で散策されてはいかがでしょうか?日本に生まれた事を自慢したくなる程雅な散策を楽しんで頂けますよ。
観音信仰の霊場として千年以上の時を刻み続ける「石山寺」。ご本尊は「勅封(扉を麻縄で縛り天王自署の紙で封じる)」で、33年に一度の御開扉となります(次回は2016年春)。
また当寺は花の寺としても有名ですので、梅・桜・ツツジ・菖蒲・紅葉と、いつ訪れても美しく着飾った石の寺を楽しんで頂けます。やはり源氏物語が生まれた寺だと納得して頂けますよ。
そして駐車場周辺には名物「しじみ飯」を味わえる食事処、ご当地の和菓子を扱う甘味処、そしてお土産店等が軒を並べていますので、散策後の愉しみも盛りだくさんです。
ご利益を頂き、心を和ます思い出を求めて、時代の流れの1ページに足を踏み入れる旅はいかがでしょうか。
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(2024/4/24更新)
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