芭蕉も感動したコースを遊覧船で!世界で最も美しい湾・松島

芭蕉も感動したコースを遊覧船で!世界で最も美しい湾・松島

更新日:2014/09/30 16:50

日本三景・松島(宮城県)を楽しむ方法は3つあります。
1つめは離れたところから全景を楽しむ(大観)。2つめは陸を歩いて楽しむ。そして3つめは遊覧船から島々を楽しむ。

松島に浮かぶ島の数は260を超えます。陸からは島の様子まで見ることができないので、松島を堪能するにはやはり遊覧船が一番。
遊覧船には何種類かコースがありますが、その中からあの松尾芭蕉が辿ったと言われるコースをご紹介いたします。

遊覧船のお勧めは塩釜から松島に入る「芭蕉コース」

遊覧船のお勧めは塩釜から松島に入る「芭蕉コース」
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「松島や ああ松島や 松島や」
言わずと知れた松島を詠んだ有名な句。松尾芭蕉の句と思われていることが多いですが、この句は江戸時代後期の狂歌師・田原坊の作。

実は「おくの細道」には、芭蕉が詠んだ松島の句は残されていません。なぜ残されていないのか、それは松島が言葉で表現できないほど美しかったからだと言われています。日本三景のひとつとはいえ、それほど松島は美しいのでしょうか。

松島には、波や風に浸食された不思議な形の島が数多くあります。人の手が造った物には超えることのできない、自然の美しい景色。その島々を見て初めて松島の素晴らしさが実感することができます。しかしそれらは海上にあるため、船を使わないと近くで見ることができません。

実は松尾芭蕉も塩釜から船で松島に入りました。そのルートを辿ることができるのが、丸文松島汽船の遊覧船「芭蕉コース」(所要時間50分)。塩釜マリンゲートと松島の桟橋を結んでいます。

芭蕉が句を詠むことができなかったほど感動した美しい松島を見に、塩釜マリンゲートを出発!

※上の写真は伊勢島(左)と小町島(右)。奥には桂島や大藻根島、馬放島が見えます。

塩釜マリンゲートアクセス
電車:JR仙石線 本塩釜駅〜徒歩、約0.7km
 車:三陸自動車道 仙台港北IC〜R45号経由、約6km

「仁王島」まではのんびりとした船旅

「仁王島」まではのんびりとした船旅
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塩釜を出港するとすぐ目に留まるのは赤い鳥居のある「曲木(まがき)島」。この鳥居は塩竈神社末社の曲木神社のもの。
そして次に見えて来るのは比較的大きな島で「馬放(まはなし)島」。地殻変動の痕跡を思わせる横縞や、波の浸食で開いた穴などが見られます。

その後もお地蔵様が祀られている「地蔵島」や、「夫婦島」「鍋島」が見られ、退屈することはありません。この辺りは島の数が少ないので、船内放送のガイドに耳を傾ける余裕もあります。

不思議な形の島々・景勝の始まる合図は「仁王島」。(上の写真)
この島は人が横を向いて座っているように見えます。横から見たらまるで「スフィンクス」のよう。どうしたらこんな形に島が削られるのだろうと、思わず首を傾げたくなってしまいます。まさに自然が作り上げた芸術作品。

「仁王島」の先にある「小藻根島」には、以前「長命穴」と呼ばれる5mほどの穴が開いていました。この穴を小舟で通ることができれば長生きができると言われていましたが、東日本大震災で崩壊してしまい今はありません。

松島の景勝を作っている不思議な形の島々

松島の景勝を作っている不思議な形の島々
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上の写真の、4つの穴が開いた島は「鐘島」と呼ばれています。波によって鐘のような音がすることから付いた名前。遊覧船では残念ながらその音を聞くことはできませんでした。

鐘島の右隣にある小さな島は「鷺島」。写真からはわかりづらいですが、見る角度によってはシラサギが飛び立つ姿に見えるとか…。

松島はほとんどの島に、松などの木が生えています。中には島からはみ出るばかりに生えているものも…。この緑が松島の景観をより趣深いものにしていると言えます。

「鐘島」を過ぎるとコースも半ばとなり、船はいよいよ風光明媚な島々が連なるエリアへ。

風光明媚な島々が連なる松島一押しのエリア

風光明媚な島々が連なる松島一押しのエリア
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この先は、たくさんの美しい島や不思議な形の島が、次から次へと現れます。

「鎧の肩掛けのかたびらに似た形の「鎧島」は船からは波の形に見えます。(上の写真左)
頭に兜をかぶっているような形の「兜島」。(上の写真右端)
この2つは似た形をしていますが、島というより岩という感じがします。

「在城島」は伊達政宗が月見をしたと伝わる島。(上の写真中央)
小さな島なのでもちろんお城はありません。政宗が「このように見渡す限りの視界なれば落城の憂いなし」と語ったことから付けられた名前。それにしてもこの場所で月見をしたなんて驚きです。

「在城島」などをのんびりと見ている暇もなく現れるのは「伊勢島」「小町島」。松島では珍しい曲線的なきれいな形の島です。

続いて「大黒島」や「毘沙門島」などの、縁起の良い名前の付いた島が5つ。(五福島)
この付近は双観山から見た風景が美しいと言われるエリアで、船からの眺めもまた格別。そのうちの「毘沙門島」はかつて五大堂から毘沙門天が飛び立ち、降り立ったという伝説が残されています。

左右の景色に夢中になるだけでなく、時々後ろを振り返ること忘れずに。美しい島々のパノラマを見ることができます。

海から眺める五大堂

海から眺める五大堂
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正面に五大堂が見えてくると、50分の船旅は終わりが近づきます。
右に福浦島、伊達政宗のお気に入りだった千貫島、左に雄島を見ながら桟橋へ。

五大堂は海に正面を向けているので、正面からの全景は船からでないと見ることができません。海から眺めた五大堂は松に囲まれ、まさしく松島のシンボル。この五大堂がなぜ海を向いているのかは不明ですが「海から見た景色を意識していたのでは?」と思うほど素晴らしい景色です。

50分の旅を終え、船から降りる時に心にあるのは、松島に魅せられた「感動」。そしてこの感動こそ、松尾芭蕉が句を詠むことができなかった「感動」そのものなのでしょう。

おわりに…

松島の不思議な形の島の連なりは遊覧船に乗って、初めて実感できます。そしてその島の形、自然の奇跡こそが、松島の美しさの源ではないでしょうか。
松島に訪れた時は、ぜひ遊覧船に乗ってその美しさを体感してください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/08/19 訪問

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