棚田に佇む姿に癒される!奈良県明日香村稲淵地区のかかしたち

棚田に佇む姿に癒される!奈良県明日香村稲淵地区のかかしたち

更新日:2014/08/28 15:22

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
奈良県明日香村といえば、古代の遺跡が点在する日本人の故郷というべきところ。当然、観光客の関心も古代史に集中していますが、そんな明日香村の一角で毎年秋に「かかしコンテスト」がおこなわれていること、ご存知ですか?コンテストに出展されたかかしは秋が深まる頃まで地区の棚田に置かれ、観光客の目を楽しませてくれます。今回は稲淵地区のかかしたちを通して、明日香村ならではの牧歌的な風景に心癒していただきましょう。

美しい棚田沿いに点在するユニークなかかしたち

美しい棚田沿いに点在するユニークなかかしたち

写真:乾口 達司

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コンテストがおこなわれるのは稲淵地区。石舞台古墳から車で飛鳥川沿いにさかのぼっていくこと5、6分で稲淵地区に到着します。山々が迫ってきていることもあり、稲淵の田畑は棚田状に作られており、その美しい景観から「日本の棚田百選」に選ばれています。明日香村をこれまでにめぐった人でも、稲淵まで足を伸ばしたことのある人は圧倒的に少ないはず。秋の稲淵を訪れたら、まずは金色に輝く棚田のある風景を堪能しましょう。

稲淵に入ったら、飛鳥川の対岸に広がる広大な棚田に目をやりましょう。すると、棚田のなかを通る農道沿いに何やら点々と立っているのがおわかりになるでしょう。そう、それこそコンテストの主役であるかかしたち。写真のように、かかしたちがそれぞれ間隔をとりながら棚田の上の方まで並んでいます。

ちなみに、これらのかかしはコンテストの一環として、一般から募ったもの。お彼岸の時期におこなわれる「彼岸まつり」(2014年は9月21日)の当日、見学にやってきた観光客の投票によって、それぞれの優劣が競われます。

こんな巨大なものまで!稲淵を代表する「ジャンボかかし」

こんな巨大なものまで!稲淵を代表する「ジャンボかかし」

写真:乾口 達司

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なかでも、稲淵をのかかしを代表するのは写真の「ジャンボかかし」。ご覧のように見上げるほどの巨大さを誇っており、はるか遠くからでもその存在を確認することが出来るほど。もちろん、大きいだけに製作にもかなりの日数を要します。まさしく稲淵の主のような存在ですね。

昨年の最優秀作!「田の神戻し」をモチーフにした「奉納踊り」

昨年の最優秀作!「田の神戻し」をモチーフにした「奉納踊り」

写真:乾口 達司

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写真は昨年のコンテストにおいて最優秀作に選ばれた「奉納踊り」。鹿児島県薩摩川内市藺牟田麓地区に伝わる「田の神戻し」をモチーフにしたものです。ご覧のように、若者たちが田の神をとりかこんで踊っていますが、そうやって田の神を喜ばせることにより、五穀豊穣を祈願しているのでしょう。

ユニークなアイデアが目白押し!女の子の顔の裏側に注目!「神の使いの女の子」

ユニークなアイデアが目白押し!女の子の顔の裏側に注目!「神の使いの女の子」

写真:乾口 達司

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こちらは「神の使いの女の子」と題された作品。注目したいのは、女の子の後頭部にもう一つの顔が隠されていることです。その顔は何とキツネ!キツネは農耕の神・稲荷の使いとされており、女性とキツネという二重性がやはり五穀豊穣の願いを象徴的に表現したものであるといえるでしょう。製作者の豊かな学識がうかがえる一作です。

神仏化したカエルさま!?「豊作を祈って」

神仏化したカエルさま!?「豊作を祈って」

写真:乾口 達司

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「豊作を祈って」と題された写真の主はカエル!もちろん、カエルも稲を荒らす害虫を食べてくれる欠かせない存在です。カエルがあたかもお地蔵さま(石仏)のようにかたどられていることからも、カエルが稲の発育にとっていかに大切な生きものかがおわかりになることでしょう。しゃもじを手にしてすましている様子もユーモラスですね。

おわりに

もちろん、今回、紹介したかかしはたくさんのなかのほんの一部に過ぎません。それでもこれほどまでにバラエティと独創性に富んでいることがおわかりになったのではないでしょうか。かかしは8月下旬から11月下旬までは棚田沿いの道端に展示されているので、稲穂が金色に輝きはじめるこれからの季節、明日香村散策のついでに稲淵地区まで足をのばし、魅力的なかかしたちの姿を堪能してみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/10/13 訪問

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