下北半島の薬研渓流と恐山で、紅葉と掛け流しの温泉を満喫しよう

下北半島の薬研渓流と恐山で、紅葉と掛け流しの温泉を満喫しよう

更新日:2014/08/21 17:33

本州の最果てである青森県下北半島は、新幹線や高速道路のルートから外れているため訪れにくいエリアですが、息を呑む絶景や手付かずの奥深い森林、そして豊かな温泉資源など、全エリアが知る人ぞ知る自然の恵みの宝庫なのです。今回は半島の海岸線を周回する国道から山間へ入った薬研(やげん)渓流と恐山を巡り、下北半島の紅葉と温泉を満喫します。

原生林の紅葉が見事な薬研渓流

原生林の紅葉が見事な薬研渓流
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下北半島の真ん中、大畑川の上流に位置する薬研渓流には、青森ヒバやブナの原生林が広がっており、秋になると一帯の山が色鮮やかな紅葉に包まれ、その美しさは同じ青森県の奥入瀬渓谷にも引けをとらないほどと言われています。国道279号線の大畑地区から県道4号線を山の方へ向かって走るだけで、車のフロントガラスいっぱいに紅葉が広がります。また県道にはところどころに駐車場も設けられていますから、車から降りて付近を散策してみるのも良いでしょう。

この薬研地区では、かつて、豊かな森林資源を活かした林業が盛んに行われていた時代があり、奥薬研地区では、当時材木の運搬に活躍していたトロッコの線路敷(廃線)が一部区間に残されています。現在では遊歩道として活用されていますので、森の清らな空気を胸いっぱい吸い込みながら、紅葉に包まれた線路跡をウォーキングしてみましょう。

渓流の畔で湯浴みできる露天風呂「元祖かっぱの湯」

渓流の畔で湯浴みできる露天風呂「元祖かっぱの湯」
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この渓流では薬研温泉という温泉も湧いており、流れに沿っていくつかの露天風呂が存在しているのですが、是非おすすめしたいのが、無料で利用でき、とてもワイルドな佇まいが魅力的な「元祖かっぱの湯」です。清流の畔に大きな露天風呂が据えられており、かつては混浴で囲いも何もない野趣あふれるお風呂でしたが、数年前に行政の手によって全面改修され、無人施設にもかかわらず立派な脱衣室やロッカー、非常通報装置など旅行者でも安心して利用できる設備が整えられました。しかも浴槽に注がれる温泉は、すぐそばの源泉から直接引かれてくる、無色透明でまじりっけなく澄み切った完全掛け流しです。

薬研渓谷の紅葉を眺め、清流のせせらぎを耳にしながら、完全掛け流しの新鮮なお湯に浸かれば、まさに極上のひと時が過ごせます。なお、お風呂がひとつしかないため、時間帯によって男女が区分されています。混浴はできません。また露天風呂のお湯は直接川へ流されており、環境保護のため石鹸やシャンプー類の使用も不可ですので、この点も予めご承知おきください。

ご夫婦・ご家族・カップルなどでお出かけの場合は、男女切り替え時間を狙って交互に入るか、あるいはここからちょっと上流側へ遡ったところにある有料施設「夫婦かっぱの湯」のご利用をおすすめします(露天風呂もありますよ)。


所在地:青森県むつ市大畑町奥薬研
問い合わせ先:むつ市観光協会 0175-23-1311
利用料金:無料
利用時間:7:00〜17:00
ただし浴槽がひとつしかないため、時間帯によって男女利用を区分しています。
 【男性利用時間】 7:00から9:00まで、11:10から13:00まで、15:10から17:00まで
 【女性利用時間】 9:10から11:00まで、13:10から15:00まで
注意:環境保護のため石鹸やシャンプー類の使用禁止

恐山菩提寺 地獄と極楽が同居する不思議な空間

恐山菩提寺 地獄と極楽が同居する不思議な空間
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薬研渓流から更に山道を奥へ登ってゆくと、やがて日本三大霊山のひとつでありイタコの口寄せでも有名な恐山にたどり着きます。地獄と称された草木の生えない荒涼とした境内には、亡くなった者を弔うための卒塔婆や仏様の石像が供えられており、また水子供養のために立てられた風車は、風が吹く度にクルクル回りながらパタパタと不気味な音を奏でます。供養する人々の心と亡くなった方々の魂が交錯するこの光景を目にすると、とても現実世界のものとは思えません。そんなことを申し上げていますと、観光ガイドではなくオカルトな話になってしまいますが・・・。

地獄の中で湧く恐山温泉で極楽な湯浴み

地獄の中で湧く恐山温泉で極楽な湯浴み
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この恐山菩提寺の境内一帯は宇曽利カルデラに位置しており、今でも火山活動が活発に行われているため、境内では温泉が湧いています。あたかも地獄や賽の河原を彷彿とさせる荒涼とした独特の景色は、実は火山の噴気活動によるものなんです。今では供養の場となっているガレ場は、第二次大戦期まで軍需用の硫黄を採掘していた鉱山の跡なのでした。

山門手前の窓口で入山料を納めて境内へ。左右に常夜灯が立ち並ぶ参道をまっすぐ歩くと、本堂の手前に、屋根の上から湯気抜きを突き出させている木造の建物が数棟目に入ってくるはずです。これこそ恐山温泉の浴場であり、参詣者でしたら自由に入浴することができます。湯屋によって男女が分かれていますので、案内表示に従って利用してください。

湯屋内は昔ながらのプリミティブな造りとなっており、簡単な脱衣ゾーンの他には、長方形の湯船があるだけ。シャワーなんて現代的なものはありません。でも湯船に注がれているのは白濁した硫黄泉であり、純然たる掛け流しです。そのお湯の素晴らしさに、湯浴みすれば誰しも極楽気分! 境内周辺の紅葉も綺麗ですので、温泉とともに景色も楽しめます。


所在地:青森県むつ市田名部町宇曽利山3−2
問い合わせ先:恐山寺務所 0175-22-3825
入山料:500円(入山料を納めれば、境内の温泉は自由に入れます)
開山期間:毎年5月1日〜10月31日(11月〜4月は閉山)
開山時間:6:00〜18:00

当地での宿泊やアクセスに関して

今回取り上げた薬研温泉には宿泊施設がありますし、ここからちょっと北へ行った青森県屈指の名湯「下風呂温泉」では、硫黄の温泉と海の幸が自慢のお宿が軒を連ねています。そこから更に足を伸ばして大間のマグロに舌鼓を打ったり、あるいは断崖絶壁が続く仏ヶ浦の絶景を楽しむこともできます。

アクセスに関しては、半島の付け根である野辺地から国道279号線を北上するのが一般的ですが、函館からフェリーで津軽海峡を南下したり、あるいは青森市街から程近い津軽半島の蟹田からフェリーで陸奥湾を横断することもできますので、単に半島を陸地のドン詰まりとして往復するだけでなく、航路を活用して海の向こう側へ通り抜けてみると、旅程がよりフレキシブルに組めるかと思います。

薬研や恐山はちょうど下北半島の中央に位置していますので、半島内の他の温泉や景勝地とセットで訪れてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/10/24 訪問

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