文豪ゲーテの故郷フランクフルトで中世と現代の息吹を感じよう!

文豪ゲーテの故郷フランクフルトで中世と現代の息吹を感じよう!

更新日:2018/07/25 15:13

吉川 なおのプロフィール写真 吉川 なお 台湾在住ライター、元旅行会社勤務の旅行マニア
ドイツ・ヘッセン州最大の都市であり、ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルンに次ぐ第5の都市であるフランクフルトは、市中心部をライン川の支流マイン川が縦断し、モダンなガラス張りの摩天楼と中世の木造建築と多くの博物館が林立する都市です。またドイツを代表する文豪ゲーテが生まれた街としても知られています。
中世の面影の中に現代が共存するフランクフルトの魅力をお伝えします♪

フランクフルトの歴史

フランクフルトの歴史

写真:吉川 なお

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フランクフルトの正式名称は「フランクフルト・アム・マイン(マイン川沿いのフランクフルト)」で、東部の同名の都市と混同を避けるための呼称ですが、日常的にはフランクフルトと呼ばれています。現在のフランクフルトは、マイン川とマンハッタンを合わせ「マインハッタン」と呼ばれるドイツを代表する商業、金融の中心都市です。

その発展は12世紀頃に開催されていたという見本市から始まります。陸海の交通の利便が良いフランクフルトは、神聖ローマ帝国皇帝から見本市開催の特権を得たことにより、欧州貿易の中心地となっていきました。売買の際に必要な両替所も設立され、このことが現在まで続く金融都市としての繁栄の礎となっています。

ユーロを統括する欧州中央銀行やドイツ連邦銀行、国内の大手銀行の本店や証券取引所、外資系金融機関などが軒を連ね、欧州有数の金融都市としての道を歩んでいます。

他のドイツの大都市同様、フランクフルトの街も第二次世界大戦の爆撃によって甚大な被害を受け、その後の復興によって近代的な街並みになりましたが、旧市街地には歴史的な建物が保存されています。そこにゲーテの生家もあります。

ゲーテの世界が身近に

ゲーテの世界が身近に

写真:吉川 なお

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文豪ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは1749年8月28日にフランクフルトで生まれました。詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家という多才な顔を持つ彼が生まれ育った家は一般公開されており、小説の中でしかイメージを抱くことが出来なかったゲーテを身近に感じることができます。

生家は第2次世界大戦で全壊し、戦後再建されたものですが、展示されている調度品は疎開して難を逃れたオリジナル品です。両親、妹とともに実際に使用していた家具や食器、直筆の原稿など貴重な遺品が見られます。彼が生まれた部屋もあり、壁に切り抜きのポートレートが貼られた4階の「詩人の間」では『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などの作品が書かれました。

近くのゲーテ広場にあるゲーテの銅像と、彼が洗礼を受けたというカタリーナ教会も訪れたいスポットです。フランクフルトが育んだ偉人の軌跡がたどれます。

【ゲーテハウス】
住所:GROSSER HIRSCHGRABEN 23-25
電話:(069)138800
営業時間:月〜土 10:00〜18:00 日、祝日 10:00〜17:30(入場は閉館30分前まで)

中世と現代が共存

中世と現代が共存

写真:吉川 なお

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ユーロ圏17カ国の金融政策を担う欧州中央銀行は、ここフランクフルトが本店です。入居するユーロタワーの前にあるユーロのエンブレムを形取ったモニュメントは、金融都市フランクフルトのステータスシンボルとなっています。
近くにあるドイツ国内最速エレベーターを有するマインタワーの展望テラスからは美しいパノラマが望めます。

こういう近代的な建物がある一方で、旧市街のレーマー広場の周辺は中世の世界そのものです。メルヘンチックな切妻屋根の建物に囲まれた小さい広場には、フランクフルトが歩んだ歴史を物語る数々の建造物が並んでいます。

切妻屋根が印象的な3棟のゴシック様式の建物は、見本市の際にイタリア商人が住居としていたもので、1405年から現在に至るまで市庁舎として使用されています。レーマーと呼ばれる中央の建物の2階は、神聖ローマ帝国皇帝の戴冠式後の祝宴が開かれたカイザーザールで、52人の皇帝の等身大の肖像画が飾られ、今でもスポーツのドイツ代表チームの祝勝会はここで行なわれています。

レーマー広場から鋭い尖塔が見えるバルトロメウス大聖堂は、神聖ローマ皇帝の選挙と戴冠式が行われた由緒ある教会です。広場の一角に建つ旧ニコライ教会は宮廷の礼拝堂だったところ、フランクフルト国民議会初開催の場所であったパウルス教会にはそれを記念するレリーフもあります。

レーマー広場を南に抜けると、おだやかなマイン川が見えてきます。8本の橋が架かり、左岸はザクセンハウゼン地区です。アイゼルナー橋を渡ると、13の博物館や美術館が並ぶ博物館通りに出ます。フェルメール作品を所蔵する「シュテーデル美術館」をはじめ、「ドイツ建築博物館」や「ドイツ映画博物館」「世界文化博物館」など、さまざまなジャンルの芸術に浸ることができます。

名物アップルワインをぜひ!

名物アップルワインをぜひ!

写真:吉川 なお

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ドイツといえばビールですが、フランクフルトといったらリンゴのお酒「アップルワイン」です。リンゴの酸味が効いたすっきりとした味わいで、ドイツの定番料理やソーセージ、ザウアークラウト(キャベツの酢漬け)などともよく合います。

マイン川の南側ザクセンハウゼン地区には、この名物酒を飲める専門店が並んでいます。人気店「ツム・ゲマールテンハウス(Zum Gemalten Haus)」ではアップルワインと一緒に店自慢の「リィプヒェン(塩漬け豚あばら肉)」が味わえます。

レーマー広場にある木組みの館でも味わえます。「ツム・シュヴァルツェン・シュテルン(Zum Schwarzen Stern)」はレーマーを正面に見ながら食事ができるレストランで、寒くない季節なら屋外のテーブルがお薦めです。

【Zum Gemalten Haus】
住所:SCHWEIZER STRASSE 67
電話:(069)614559
営業時間:火〜日10:00〜24:00

【Zum Schwarzen Stern】
住所:ROEMERBERG 6
電話:(069)291979
営業時間:11:30〜15:00、18:00〜24:00

ショッピングエリアもあります

ショッピングエリアもあります

写真:吉川 なお

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ショッピングはSバーンとUバーンが通るハウプトヴァッヘから東に延びる歩行者天国の「ツァイル」へ行きましょう。通りの両側には「ガレリア・カウフホーフ」「カールシュタット」などの百貨店や、「ツァイルギャラリー」「マイ・ツァイル」などのショッピングビルが並んでいて、このエリアだけでフランクフルトのお土産が揃います。

「マイ・ツァイル」はガラス張りのファサードに大きな穴があいた斬新なデザインが目を引く建物で、思わず穴の中をのぞきたくなってしまいます。
反対側の西へ延びるグローセ・ボッケンハイマー通りにはレストランやデリカテッセンのお店が並び、平行するゲーテ通りには高級ブランドショップが集まっています。

旧市街にはおしゃれな雑貨ショップやカフェも点在しているので、ウィンドーショッピングしながら街の散策が楽しめます。

【マイ・ツァイル My Zeil】
住所:Zeil 106
電話:(069)29723970
営業時間:月〜水10:00〜20:00、木〜土〜21:00、 スーパー/月〜土7:00〜22:00 4階の飲食店/10:00〜22:00

半日あれば観光できます

フランクフルトは、ロマンチック街道やライン川クルーズなどドイツを代表する観光スポットに向かう起点地ともなっています。目的地に向かうため、足早に通り抜けてしまうことも多いですが、半日あれば充分街歩きが楽しめます。
フランクフルトを散策して、中世と現代を感じてみませんか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/03/24 訪問

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