本宮映画劇場(定舞台)は福島県の「本宮市」という場所にあり、大正3年(1914)に地元の有力商店および事業家有志33名で共同設立されました。当時は「本宮座」という名称で芝居興行が行われ、地元の皆からは「定舞台」(福島弁でじょうぶでい)の名で親しまれていました。
当時最先端を行く歌舞伎座風の洒落た建物は、その時々の流行の映画歌謡ショーや浪曲等が多く興行されたことも手伝い、たくさんの地元の人の憩いの場として利用され地元一番の人気の娯楽場になります。
しかし時代は戦後を迎えると、日本中はテレビの普及や大衆娯楽の変化により映画館に訪れる客が次第に減少。昭和38年(1963)に本宮映画劇場もその煽りを受け休館を余儀なくされてしまいます。
本宮映画劇場閉館に伴い、劇場主の田村修司さんは家族のために自動車のセールスマンとして転職します。いつの日か映画館に再度明かりが灯り、スクリーンから映し出される映像に観客が惜しみなく拍手をおくる光景がよみがえる日がくることを夢見て、休みの日毎に映写機の手入れを続け映画館の保全管理に努めます。
その後一度だけ、平成20年(2008)に「カーボン式映写機」で映写会が45年ぶりに開催され、その模様は新聞各社の取材記事などで注目されました。全国でも数少ないフィルム映写機による映画館の再開に本宮映画劇場「復活」の機運が高まりましたが、その矢先に2011年3月11日に震度6強を記録した東日本大震災が劇場を襲います。
あと2年で100周年を迎える「本宮映画劇場」は東日本大震災により、建物の観客席である2階3階部分が大きく破損しました。(現在閉鎖中)しかし奇跡的に映写機・スクリーン・観客席に大きな被害はなく、現在は年に数回お客様を迎えての上映会を行っています。
デジタル化が進む一方で昔ながらの「フィルム」での映画上映が出来る映画館が、震災後も街から消えず、今も静かにお客様を待っていることを知ると「本宮映画劇場」の存在価値を深く感じることができます。
現在もフィルム映画上映の人気は変わらず、外観を見学する客や取材依頼は多方面からあるそうです。カーボン式映写機の手入れは劇場主の田村さんにより今も変わらず定期的に行われているため、映写フィルムも劇場内のスクリーンで見ることができますよ。
※カーボン式映写機とは、映像の光のもととなるカーボン(炭素棒)を、プラスとマイナス2本の距離を手で微調整しながら明るさを一定に保ちます。
※イベント・開館日程のお問い合わせは…
■定舞台を考える会
場所:福島県本宮市本宮字中條9
電話 0243-33-3756(事務局/安田)
福島県の奥会津地方、昭和村の廃校などをロケ地として制作した2013年公開予定の映画「ハーメルン」に映画館のワンシーンとして「本宮映画劇場」が登場します。
映画監督の坪川拓史さんが、大正時代建築の同劇場を気に入り撮影が実現したそうです。こちらも福島県の美しい自然と劇場の雰囲気をスクリーンで体感できますので要チェックです☆
※画像は映画「ハーメルン」の舞台
提供元:昭和村役場
http://www.vill.showa.fukushima.jp/この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/20更新)
- 広告 -