昔ながらの鄙びた湯治場【山口・俵山温泉】

昔ながらの鄙びた湯治場【山口・俵山温泉】

更新日:2014/02/04 14:32

温泉ソムリエぐっちのプロフィール写真 温泉ソムリエぐっち 源泉かけ流し温泉伝道師、温泉ライター
今となっては少なくなった湯治場。
そんな昔からの湯治場の文化が色濃く残っている希少な温泉地の一つが「俵山温泉」
以前から一度訪れたいと思いつつ、先日やっと念願叶い、訪れてきました。
そんな「俵山温泉」のレポートです。

街の共同浴場「町の湯」

街の共同浴場「町の湯」

写真:温泉ソムリエぐっち

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温泉は元来「湯治」をおこなう場所でした。
ゆえ、短くても1週間、長ければ1ヶ月ほど滞在するのが一般的でした。
しかし、時代の移り変わりとともに湯治文化は徐々に衰退してきましたが、ここ俵山温泉では、昔ながらの湯治宿が多数あり、古き良き日本の湯治文化が色濃く残っている貴重な温泉地です。
俵山温泉には現在2ヵ所の共同浴場があり、その一つがこちら「町の湯」
(他に「白猿の湯」という大型の共同浴場有り)
比較的最近建て替えられたのか、とても綺麗で、清潔感がありましたゆえ、昔ながら風情は無く、公共の日帰り的温泉施設のようでした。
また、内湯のみで、露天風呂はございません。
浴室内には、浴槽が2つあり、1号浴槽は嬉しいことに源泉かけ流しで使用されているとのことでした。
また、館内には飲泉場が設けてあり、飲泉させていただきましたが、とてもまろやかで飲みやすいのが印象的でした。

◆町の湯
◆泉質 アルカリ性単純温泉
◆営業時間 6:00〜20:00
◆料金 大人390円、小学生150円、幼児80円

情緒ある町並み

情緒ある町並み

写真:温泉ソムリエぐっち

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約30軒の宿から成り立つ俵山温泉。
町の風情はこのように、昔ながらの湯治場の情緒がございます。
湯上りに、カランコロンと町を歩くと、有名温泉地のような栄えた雰囲気は皆無ですが、懐かしい日本を感じることができます。

ただ、実は今となっては大変珍しいことですが、ほとんどの宿(正確には1軒の宿以外)に内湯、すなわち温泉がございません!

実はその昔、湯治場で湯治宿で内湯が無いのが一般的で、皆その温泉の中心にある「共同浴場」へ行くのが当たり前でした。

そんな昔ながらのしきたり?を守り続けてきた貴重な温泉地、湯治場が俵山温泉です。

宿泊は唯一の内湯がある老舗「冨士屋旅館」にて

宿泊は唯一の内湯がある老舗「冨士屋旅館」にて

写真:温泉ソムリエぐっち

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5年ほど前に、雑誌でこちらの「冨士屋旅館」を見かけ、ず〜っといつか泊まってみたいなと思っていました。
そんな「冨士屋旅館」へやっと宿泊。

宿泊が土曜日だったのにも関わらず、なんと宿泊は私たち夫婦だけ! とてもラッキーでした。

お宿は年配のご夫婦お2人で切り盛りされています。
建物はとても年季が入っていて、おばあちゃんちに帰ってきたような安堵感があります。
旅館というよりは民宿のような雰囲気で、部屋にトイレは無く共同です。

訪れた時期もよかったのか、お部屋の窓を開け、窓際の椅子にすわるとそこは特等席!
「あ〜気持ちいい〜!」

食事は豪華さはございませんが、どれもひとつひとつ美味しく頂きました。
特に「ごはん」が、めちゃ旨!
お腹も心も満たされました。

宿泊者のみだけが入湯できる冨士屋旅館の内湯

宿泊者のみだけが入湯できる冨士屋旅館の内湯

写真:温泉ソムリエぐっち

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冨士屋旅館へ泊まった一番の理由
それは、このお風呂に浸かるため!
立ち寄り湯不可ゆえ、宿泊者のみがこのお湯に浸かれます。

また、先述したように、他の宿では内湯が無く、2ヶ所の共同浴場へ行くしかありません。
ということは、俵山温泉で温泉に浸かれるお風呂は共同浴場2つと、冨士屋さんの内湯の合計3ヶ所だけです。
その3ヶ所のうちの1ヶ所を私たち夫婦だけで貸し切れるという、なんとも贅沢この上ない至福の湯浴みをさせて頂きました。

また、冨士屋さんは自家源泉をお持ちで、泉質は共同浴場とは異なり「アルカリ性単純硫黄泉」
私の一番好きな泉質です。
さらになんと足下湧出!たまりません!
源泉温度が約38度ゆえ、少々の加温はされているとのことですが、消毒無しのかけ流し!

ほんのりと硫黄が香り、湯ざわりも優しく、明らかに「いい湯でした!」

◆冨士屋旅館
◆1泊2食 7150円〜
◆泉質 アルカリ性単純硫黄泉

古き良き日本の湯治場・・・守り続けて頂きたいと

古き良き日本の湯治場・・・守り続けて頂きたいと

写真:温泉ソムリエぐっち

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日本にはほんと様々な温泉地があります。
温泉好きな私ゆえ、色々な温泉地に行きましたが、俵山温泉のような、今でも昔ながらの湯治場の温泉街は初めてでした。

ただ、この温泉地の10年後20年後と考えるとちょっと不安になりました。

ゆえ、皆さん!是非是非一度と言わず二度三度!
是非俵山温泉へ訪れて、日本の温泉文化、湯治文化を心と肌で感じて頂ければ嬉しいです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/10/06−2012/10/07 訪問

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