信州紅葉の代表格〜上高地で秋のトレッキングを楽しむ

信州紅葉の代表格〜上高地で秋のトレッキングを楽しむ

更新日:2014/02/04 14:30

えんべるのプロフィール写真 えんべる
長野・上高地は、おそらく初心者から上級者まで安心して楽しめる日本で最も美しいトレッキングコースと言っていい。
四季折々の顔を見せる上高地は、北アルプスに囲まれた標高1500mの堆積平野で、これだけの標高で10kmにもおよぶ平野は日本にはほとんどない。つまり、標高の高い自然を、平坦な道を歩きながら楽しめる日本でも数少ない景勝地なのである。
そんな上高地、おススメはなんといっても秋!

上高地トレッキングは朝が一番おすすめ。できれば上高地で宿を。

上高地トレッキングは朝が一番おすすめ。できれば上高地で宿を。

写真:えんべる

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テレビや雑誌で上高地の風景を見ると、その静寂な美しさに息を呑むわけだが、現実の上高地は残念ながら名勝の常識に従い、人がとんでもなく多い。特に、上高地が最も美しくなる紅葉シーズンともなれば、基点の河童橋付近は芋洗い状態である。

喧騒を逃れるなら、上高地トレッキングはなるべく朝の早い時間から始めるといい。なぜ朝がいいかというと、上高地独特の理由があるのだ。
上高地はマイカー規制があり、自家用車で乗り入れることができない。車で30分ほどの駐車場に停め、そこからはバスかタクシーで移動することになる。ほとんどの人はバスを使うのだが、朝一番からバスで来る人は少ない。外部から日帰りで来る人の大半は昼頃に上高地入りする。
つまり、朝の上高地は前日から上高地内に宿泊している人だけが独占できる貴重な時間帯なのだ。
上高地の宿は、そういう事情もあってか、比較的宿泊代も高い。が、それ以上のメリットは十分にある。上高地に泊まるなら、昼に来てトレッキング→宿泊よりも、前泊して翌朝トレッキングをおススメする。どこの宿でも荷物を預かってくれるし、朝食の時間が惜しい客にはお弁当を作ってくれるところもある。
早い時間に出発し、長くても3〜4時間で戻って来れるので、大勢の観光客で騒がしくなる昼頃には散策も終わっている算段だ。

さて、いよいよトレッキング開始。色とりどりの紅葉をじっくり楽しみながらゆっくり歩こう。
スタート地点はバスターミナル近くにある、上高地で一番賑わっている河童橋から。ここにはレストハウスや観光案内所もあるので、必要な情報や軽食、あと飲料水も忘れずに!

初心者におススメの3時間コース。河童橋〜明神池

初心者におススメの3時間コース。河童橋〜明神池

写真:えんべる

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上高地は梓川という清流沿いに歩くのが基本で、大正池→河童橋→明神池&明神橋という代表的なポイントをめぐる。
バスターミナルや宿のある河童橋がどうしてもスタート地点になるので、大正池方面か、明神池方面かで迷うが、幻想的な美しさを取るならぜひ明神池コースを。もちろん体力と時間に余裕があるなら両方踏破したい。

バスターミナル側から河童橋に来たら、橋を渡って梓川沿いに明神池方面に進む道と、渡らずに川沿いを進む道がある。橋を渡ってからの川沿いの方が紅葉の眺めが圧倒的に美しいので、往路はこちらから歩こう。

秋の上高地の紅葉は、紅葉した木や葉を単体で観るというよりも、周りの風景と渾然一体となったスケールの大きな眺めを楽しみたい。
遥か遠くにそびえる焼岳や明神岳など、荒々しい岩肌が露出した山、そこにかかる厚い雲、浅瀬が続く梓川、このキャンバスに黄色や赤、まだ緑の木々が溶け込んでいる、それが標高1500mの上高地の紅葉なのである。

明神池まで片道90分の紅葉浴

明神池まで片道90分の紅葉浴

写真:えんべる

河童橋を渡り、しばらく梓川沿いに歩くうちに、支流の小川沿いの、やや鬱蒼とした森の道になる。この道沿いは紅葉の競演。紅いだけが紅葉ではない、鮮やかな黄色。

多少のアップダウンはあるが、この道はほぼ平坦で、悪路には板を渡してあったりとトレッキングには実に親切な造り。往路はややアップダウンを楽しみながら木陰の道を明神池までのんびり歩こう。

■装備について:上高地程度であればスニーカーでも大丈夫だができればトレッキングシューズは用意したい。
また、10月の朝の上高地は気温はひとケタになる。着脱できる服を重ね着して調整しよう。個人的にはユニクロのヒートテックやフリースの重ね着が経済的でおススメ。

途中、欧米人の客にも何人か会った。自然の雄大さでいえばはるかに欧米の山々の方が凄いし、わざわざ日本で?と思うが、これだけのスケールできちんと整備された美しく歩きやすいトレッキングコースは海外にはあまりないらしい。そういう意味で、日本の上高地は外国人観光客にとても人気があるとのこと。
一歩入れば存分に自然が満喫でき、要所要所に休憩所があり、飲食もできる山など確かにそうそうない。

幻想的な水面の鏡。明神池

幻想的な水面の鏡。明神池

写真:えんべる

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河童橋から約4kmで明神池に到着である。
なお、ここは、隣接する穂高神社奥宮の拝観料と兼ねて300円の拝観料が必要になる。

明神池は、梓川が明神岳の崩落によって塞き止められてできた池で、現在も明神岳から湧き出る水で満たされているため素晴らしい透明度なのである。
大正池は明神池よりも大きいが、間近で見た時の幻想的な雰囲気はやはり明神池に軍配があがる。

早朝の明神池はさらに幻想的である。朝の明神池を観るなら、明神池周辺にも宿がいくつかあるので、そこに宿泊するとよい。明神橋を渡った先にある明神館が有名な宿である。

明神池周辺には焼き岩魚など、食事ができる店もあり、ここで一度休憩するとよいだろう。

明神橋から明神岳を望む

明神橋から明神岳を望む

写真:えんべる

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明神池の近くにある明神橋は、河童橋と並ぶ名物橋。ここが今回のゴール地点である。浅瀬の梓川の河原に下りて、お弁当を食べてもよい。

上を見上げると、守り神のように佇む標高2931mの明神岳が見える。
この日は朝から曇りで、ずっとガスがかかっていたが、明神橋を渡ったあたりからガスが消え始め、くっきりと山頂が姿を現した。

さて、帰りは梓川の反対側の川沿いを河童橋に向かって帰る。
明神橋を渡り、明神館を過ぎると、行きよりもさらに平坦で歩きやすい砂利道が続いている。

途中、撮影したり、休憩したりでのんびり歩いて往復3時間ほど。
朝出発しても昼には戻ってこられる初心者向けのコースだ。

紅葉と森林浴、トレッキング。また河童橋付近には高級ホテルもあり、そこで優雅な食事やお茶も楽しめる。老若男女に優しい秋の上高地、ぜひ訪れてみてほしい。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2012/10/18 訪問

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