写真:乾口 達司
地図を見る北条鉄道の歴史は大正時代にさかのぼります。大正4年(1915)、当時の播州鉄道が粟生駅-北条町駅間を開業し、後に播丹鉄道に譲渡。昭和18年(1943)、播丹鉄道の国有化にともなって北条線となり、昭和60年(1985)、第三セクター方式で運営される現在の北条鉄道となりました。
北条鉄道の東の起点駅は粟生駅(あおえき)。JR加古川線や神戸電鉄とも接続する共同使用駅です。北条鉄道に乗り込むのであれば、粟生駅を起点にするのが便利でしょう。ご覧のように、列車は1車両のディーゼルカー。乗務員が運転手1人だけというワンマン列車で、乗り方は「後乗前降」。降車時、運転席横の運賃箱に必要な運賃を投入します。写真は、現在、稼働している3台の車両のうちの「フラワ2000-2号」。車体の長さは約18メートル。空車時の重量は29.7トンで最高速度は時速80キロ。内部はロングシートになっており、座席55人、立席65人の合計120人を定員としています。ちなみに「フラワ」という形式名は近くにある「県立フラワーセンター」の名称からとられています。
写真:乾口 達司
地図を見る粟生駅を出発した列車は終点の北条町駅を目指して走行しますが、その走行時間もわずか20分あまり。しかし、車窓の外に広がる田園風景には心が癒され、20分あまりの時間を忘れさせてくれるほど、魅力的!そして、それは途中で停車する駅舎の数々にもいえます。たとえば、写真は終点の一つ手前にある播磨横田駅。昭和27年(1952)に開業した駅舎ですが、ご覧のように、その作りはいたってシンプル。もちろん、無人駅です。遠くには集落が見える程度で付近一帯に田畑が広がっているだけというのも、牧歌的でローカルな雰囲気をかもし出していますね。
写真:乾口 達司
地図を見るそして、北条鉄道の沿線に点在する8つの駅舎のうち、何と3駅も文化財クラスの稀少価値を有しているのです!戦前、建築用資材として重宝された長石などを出荷していた長駅(おさえき)はそのうちの一つ。大正4年の北条鉄道開業時から存在する由緒ある木造の駅舎で、2013年12月、法華口駅や播磨下里駅とともに登録有形文化財に選ばれました。近代建築に関心のある方にも、ぜひ、ご覧いただきたい駅舎です。
写真:乾口 達司
地図を見る終点の北条町駅は株式会社北条鉄道の本社が位置している駅舎ということもあり、8つの駅舎のなかではもっとも大きな規模を誇ります。駅は列車の車庫代わりにもなっており、時間帯によっては、他の列車も停車しています。ピンクとメタリックで塗装された右側の車体はフラワ2000-1号。中央の貫通扉に地元・加西市のイメージキャラクター・ねっぴーを描いた緑とメタリックの車体はフラワ2000-3号。平成20年に廃線となった三木鉄道で使われていた車体です。
写真:乾口 達司
地図を見る北条町駅の構内には、北条鉄道にちなんだスタンプ台も設置されています。スタンプは北条町駅や法華口駅の駅名を記したもののほか、国宝・三重塔を擁する北条鉄道沿線の古刹・一乗寺のスタンプなど、北条鉄道を利用しなければ押せないものばかりであり、稀少価値のきわめて高い逸品そろい。北条鉄道を利用した折、ぜひ、記念にスタンプを押して旅の思い出としてください。
北条鉄道の旅がいかに魅惑的で心癒されるものであるか、おわかりになったのではないでしょうか。北条鉄道ではほかにも季節ごとにイベント列車を運行させたり、ボランティア駅長を公募し、各人に駅舎の管理や運営、イベントなどを任せたりとさまざまなアイデアを打ち出して経営努力が続けられており、その数々の独創的な試みも魅力の一つ。北条鉄道のワンマン列車に揺られ、ローカル線ならではの旅を満喫してみてはいかがでしょうか。
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(2024/3/29更新)
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