1つ目の「世界一」は、稲津町小里の荷機稲荷(かきいなり)神社にあります。天明の大飢饉(1782年)の際、京都の伏見稲荷に祭神を勧請し、文化元年(1804年)に創建された神社で、家内安全や五穀豊穣の守り神として地元の方々から敬われています。
広大な境内の中に、「瑞祥記念館」があり、その中に「世界一」のものが展示されています。
「世界一の大皿」としてギネスに認定されているのが「瑞祥」と名付けられた美濃焼のお皿です。絵付けに使われた筆と共に、瑞祥記念館に展示されています。また、大皿の製造工程も当時の写真を使い説明されています。
大皿は、直径2.8メートル、高さ30センチ、重さ1.2トンの大きさで、地元住民およそ150人が作業に携わり、10ヶ月の作業期間を経て、平成8年に制作されました。
そして、この大皿は地元住民による「ふるさと稲津いきいき会」の活動の一環として、まちおこし、文化育成を目的に作られたものです。
荷機稲荷神社から車でおよそ15分、陶町大川にある八王子神社に、2つ目、3つ目の「世界一」があります。
八王子神社の最古の棟札は寛永2年(1625年)のもので、この頃に建立されたと推測されている長い歴史を持つ神社です。別名「狛犬神社」とも呼ばれ、たくさんの狛犬が奉納されています。石製の狛犬が主流ですが、この地では窯業が盛んだったため、江戸時代中期以降、陶磁器製の狛犬が盛んに作られました。
八王子神社には、この神社ならではの「世界一」があります。
八王子神社の鳥居の隣に、巨大な狛犬が鎮座しています。八王子神社に残されている、享和2年(1802年)羽柴与左衛門景度銘(大川窯四代目)銘の残された狛犬をモデルとして、平成2年、約1,000人の地元住民の手により制作されました。
阿形、吽形の狛犬はそれぞれ、高さ約3.3メートル、使用粘土15トンの大きさの狛犬は、迫力満点です。
どのように作られたかと言うと、先に狛犬を成形し、狛犬を覆うように、更に巨大が窯を作りました。ドラム缶9本をつないで作られた煙突にある窯に火が入ったら、5,000束の松割木を約12日間(焼成時間273時間)住民総出で焚き続けました。その後、1週間かけてゆっくりと窯を冷やし、窯を壊した中から焼き上がった狛犬が姿を現したのが、制作開始から約5ヵ月後でした。
今でも、窯の一部と焚き口跡が残されています。
最後の世界一は、狛犬のすぐ裏側、神社の裏山を抜けたところにある茶つぼ「豊穣の壺」です。狛犬同様、羽柴与左衛門景度が作った茶壺がモデルとなり、平成11年に制作されました。
地域に永久なる豊かな稔りを約束し「豊穣の壺」と名付けられた壺は、延べ12,000人の地元住民が制作に関わり、1年をかけて作り上げられた壺です。
大きさは、3つの「世界一」の中でも最大で、高さ5.4メートル、直径4メートル、使用粘土は32トンにもなります。約10,000束の薪を使い、約13日間(焼成時間300時間)窯の火を絶やさずに焼き上げられた壺は、住民の明るい未来への願いが込められています。
長い歴史を持つ美濃焼という伝統産業を活かして、地元住民が一丸となって作りあげたのが、今回紹介しました、3つのギネス認定「世界一」です。現在でも多くの窯が残り、焼き物に携わる住民が多い町ならではですね。
是非一度、実物を目にして、その「世界一」の大きさを体感してみてください。
また、古代から現代までの美濃の窯業産業史をテーマに、各時代の焼き物や絵付けの道具などを展示し、屋外には登り窯のある「瑞浪市陶磁資料館」もあわせて訪れると、より一層、美濃焼を知ることが出来てるので、おススメです。
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