ここ松尾大社の境内の中にある松風苑三庭は全部で三つの庭からできており、一つ目が「曲水の庭」次に「蓬莱の庭」最後に「上古の庭」から成り立っています。
最初は曲水の庭からご案内致します。
曲水の庭は平安時代の貴族たちが行う、曲水の宴の舞台とされた庭を現代に表したものです。
曲水の庭には小さな蛇行した川が流れており、貴族たちはこの川を囲み宴は繰り広げられていきました。
上流から盃を流して盃が通るときに詩を読みあう宴を曲水の宴と言い、大変華やかなものでした。
この形式の庭は長年忘れられており、今回重森によって蘇ったのです。
2つ目は蓬莱の庭です。
蓬莱とは仙人が住むと言われていた仙境の一つに当たります。
不老不死で神通力を持つ千人を目指すといった蓬莱思想は鎌倉時代に最も流行していきました。
浅めの水上にそびえ立つ石は蓬莱の島々をイメージし、そして鎌倉同時期に代表される回遊式庭園を取り入れました。
私達は水の周りをぐるっと一周することができるので、庭は立つ位置によって表情を変え、私達に様々な美しさを与えてくれます。
そして最後は上古の庭です。
松尾大社の裏山に今でも眠る磐座。
この磐座には神が宿っていると信じられており、今回のこのお庭は磐座信仰をモチーフにしています。
ちなみに、冒頭で書いた石の要求のみで作ったと書き記したのはこのお庭です。
このお庭で見どころは人の手を一切感じさせない点にあります。
庭であるのに庭でない。
もはや鑑賞の域を超えているのです。
少し正面から見るだけでは遠く感じてしまうので別の目線の鑑賞をご紹介します。
庭の正面を通って順路を進んでいくとこのお庭の真裏を進むようなルートで構成されているのですが、私はその真裏の方から鑑賞することをおすすめします。
庭の正面から見ると左に転々と間隔が開いた林があり、その林の隙間から見る磐座が大変神秘的です。
冒頭で案内した言葉は重森が京都・龍安寺の石庭を見たときの言葉です。
龍安寺の石庭に大変影響を受けたことを本の中には書き記してあり、彼はきっとそこで自身の「美」というものを発見したのでしょう。
重森は大変直感というものを重視し、直感は広大な宇宙のある美と永遠の美とにつながっていると言い残しました。
今回は特にその瞬間を積み重ねて庭を作っていったのです。
彼はそこに思い描く永遠の美を生み出した時、何を感じていたのか。
是非このお庭を訪れて一人安らかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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(2024/4/20更新)
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