秋の乗鞍で紅葉と穂高連峰を独り占め

秋の乗鞍で紅葉と穂高連峰を独り占め

更新日:2014/02/04 12:41

えんべるのプロフィール写真 えんべる
長野〜岐阜にまたがる乗鞍高原と乗鞍岳は、登山に自信がなくても北アルプスの眺望と、眼下の紅葉を両方楽しめる。何しろ乗鞍は車両で日本最高の標高まで行ける山なのである。
紅葉のトップシーズンは10月半ばだが、今年は残暑の影響でもう少し長く楽しめそう。
森林限界を超える標高2700mから穂高連峰の眺望を楽しんだ後は、色の移りゆく紅葉を見ながら歩いて下山が絶対おすすめ。大変?いやいやそれが実は…(笑)

日本で最もお手軽に行ける最高標高の山、それが乗鞍

日本で最もお手軽に行ける最高標高の山、それが乗鞍

写真:えんべる

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まずはちょっと乗鞍山頂への交通アクセスについて解説。

乗鞍岳の山頂、畳平への道路はマイカー規制があるため、専用のシャトルバスかタクシーを使って長野側か岐阜側から上ることになる。途中いくつかの停留所を経由しつつ、50分ほどかけてドンドコと上っていくのだが、通常はこのバスの車窓から紅葉見物となる。標高1500mの乗鞍高原観光センターから始まり、徐々に緑から黄色、紅に色づいていく紅葉を眺めながらの車窓の旅。ここから標高2700mの畳平まで、座席に座ったまま運んでくれるのだ。なんて楽チンな!
でも、これではあまりにももったいない。しかも紅葉時期で混雑するバスだと、補助席に座る可能性もあり、そうなると車窓からの紅葉どころか、見えるのは隣の人の頭ばかり・・・。
ここは、ちょっとガマンして、とにかくバスで畳平まで上ってしまおう。お楽しみはその後で。

乗鞍山頂あたりになると、いわゆる森林限界を超えるため高い樹木はなくなり、秋は荒涼とした岩肌と高山植物だけの景色となる。春から夏はお花畑が広がり、高山植物の花を見ながらの散策ができるが、秋はそういったものもない。
というわけで、秋の畳平は紅葉見物ではなく、そこから広がる北アルプスの山々を眺めて「人間なんてちっぽけだー!あとちょっと空気が薄いー!」と叫ぶような所なわけである。
そして晴れた日には、穂高連峰だけでなく、写真のような実に見事な雲海が一望できてしまうのだ。

畳平にはバスターミナルとレストハウスなどがあり、食事や休憩は十分にできるので初心者でも安心。また、そこから四方に点在する小高い岳が魔王岳や富士見岳。ここは岩道のやや急斜面だが、往復1時間弱で上り下りできるのでぜひ登りたい。もちろんスニーカーやトレッキングシューズはお忘れなく!

目の前に岩肌をさらけ出した穂高、眼下に見下ろす色づいた山々や、遠くに広がる雲海。360度異なる眺望が楽しめる。


■乗鞍岳山頂(畳平)までのシャトルバス
乗鞍高原観光センター(長野県側)〜畳平
料金:往復で2,400円
発着間隔:1時間に1本間隔。混雑時には増発あり。

乗鞍の紅葉を楽しむなら「上りはバスで、帰りは途中下車で徒歩」がおススメ!

乗鞍の紅葉を楽しむなら「上りはバスで、帰りは途中下車で徒歩」がおススメ!

写真:えんべる

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強者の登山者なら、上りを登山、バスで下山というコースもあるが、足に自信のない人はバスで上り、のんびり紅葉を眺めながら乗鞍エコーラインを歩いて下山というコースをおススメする。
というのも、きれいに舗装された道路はマイカー規制されており、1時間に1本しか通らないシャトルバスとタクシー以外、車の往来が全くないのだ。実に歩きやすい道を悠々と歩きながら左右と眼下に広がる紅葉を気ままに楽しむことができる。

また、シャトルバスの停留所が何カ所かあるので、疲れたら適当な停留所でバスに乗ってしまえばいい。(とはいえ、停留所間の距離は数キロ単位なので気を付けよう)

おススメは、まず畳平からバスに乗り、位ヶ原停留所で下車してから徒歩で下りていくコース。位ヶ原あたりまでが森林限界なので、ここまではバスで移動してしまおう。
位ヶ原停留所には山荘があり、ここで休憩することもできる。

穂高連峰を見上げ、色づく紅葉を見下ろしながら

穂高連峰を見上げ、色づく紅葉を見下ろしながら

写真:えんべる

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位ヶ原停留所から冷泉小屋停留所を経て、とりあえず目指すゴールは摩利支天停留所。ここまで約5kmほどなので、のんびり歩いて、途中足を止めて景色を眺めながらでも1時間半〜2時間ほど。しかも緩やかな下りなので体力も消耗しない。
位ヶ原から少し行くと、ちょうど前方奥に穂高連峰と、間近の紅葉の山が同時に見られる。眼下にはヘアピンカーブの乗鞍エコーライン。

なお、ここを歩く際には熊にだけは気を付けよう。
信州全域ではツキノワグマが出没し、このあたりでも目撃情報があるとのこと。
複数で話しながら歩いたり、熊鈴を鳴らしながら歩くように心がける。ツキノワグマは臆病なので、人間がいることを知らせながら歩けば向こうから襲ってくることはないと言われているので、できるだけ人間側で気をつけなければならない。
熊への対処法は、乗鞍に限らず、信州の山に行く時に必ず頭に入れておこう。

色も形も違う紅葉の競演

色も形も違う紅葉の競演

写真:えんべる

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遠くから眺める色づいた山々の遠景ももちろん美しい。
でも、すぐそばにある木々は間近でしみじみと眺めたい。
遠くから見れば、赤や黄色、緑が点描画のように散った風景。それを成しているのがこんな樹木たち。
信州の紅葉であちこちで見られる紅色が、写真奥のナナカマド。燃えるような赤や黄色に染まる。真ん中は、やや終わりかけのカエデ。渋みのある茶色に。手前の黄緑〜黄色に色づいているのが、紅葉風景の黄色担当であるダケカンバ。透き通るような黄色に染まる。

こんなふうに、同じ時期でも葉の形や色の異なる木々が一斉に秋を迎えることで、山全体のあの風景が出来上がってるのだと実感。歩き、触れることで分かること。

摩利支天停留所までもう少し!紅葉のトンネルを抜けて

摩利支天停留所までもう少し!紅葉のトンネルを抜けて

写真:えんべる

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摩利支天停留所に近づいてくると、こんな素敵な風景が。
左が真っ赤なナナカマド、右手には黄色いダケカンバのコントラストが美しい。
このトンネルを抜け、少し歩いたらゴールの摩利支天停留所。ここまで約5km。時間と体力に余裕があれば、このままもう少し下っていってもいい。1時間ほどさらに歩けば、レストハウスもある三本滝停留所まで戻れる。

さてここで、注意点。
ほとんど車が通らないこの道、逆に言えば、バスも1時間に1本しか来ないわけである。
停留所に着いて、いいタイミングでバスが来る可能性はほとんどないので、あらかじめ各停留所の時間を調べておくか、時間に余裕を持ってのんびりバス待ちができるようにしておこう。
また、畳平発の最終バスは10月以降は16:30発。これにはゆめゆめ乗り損ねないように。

秋の乗鞍、バスで往復するだけではもったいない。動きやすい服装で、ぜひ紅葉を体全体で感じながら歩いてみよう!

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/10/16 訪問

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